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もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~(旧題:Iris Revolution Online)  作者: 紀美野ねこ
以芸会友

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閑話:臨時推し活会議

 土日月の三連休の最終日。

 お昼過ぎと言うこともあり、死霊都市にはこれからクエストや狩りに出かけるプレイヤーであふれている。


「もうかりまっか?」


「ぼちぼちでんな、でいいの?」


 マスターシェフの答えに笑うリーパ。

 南の島の産物を運んできた彼も、この『リヴァンデリ』で遅い昼食を取っていた。


「南の島の探索はまだかかりそうかい?」


「せやねえ。北側は大丈夫そうやけど、南側がしばらくかかるんちゃう?」


「そうかあ。サトウキビとかカカオとかあるといいんだけどねえ」


 そうため息を漏らすマスターシェフ。

 それでも、南の島から新鮮な海の幸が得られるようになり、それを活かした料理が並ぶようになっている。


「今日はこれからどこまで行くの?」


「魔王国行って、共和国で大旦那に報告行って、その後は公国のモルトはんのとこ行くで」


「ありがとう。じゃ、ここにある調理器具は全部二つずつ発注してくれるかな? もし、ショウ君が使わないってなったら、うちのメンバーがお店出す時に贈ればいいし」


 その手にはマスターシェフが把握している調理器具一覧が書かれていた。

 ショウのためにリストアップされたそれに、リーパがざっくりと目を通す。


「作るんは全然問題なさそうやけど、この代金、全部足しても金貨100枚にもならんのちゃう?」


「だろうね」


 マスターシェフも肩をすくめる。

 調味料の方は今後も継続的な取引が行われるとはいえ、その額は微々たるもの。

 ショウの島へ吸われて行った金は、このままだと死蔵してしまうことになる。


「なんかええ方法ないの?」


「そこはまあ……、デイトロン氏あたりに知恵を借りるしかないよ。今はまだ慌てなくていいって話だしね」


 そんな話をしていると、


『すいません、総長。急ぎ知らせたいことが』


「アケルちゃん? ごめん、ちょっと待ってな」


 リーパのギルド、アイリスポスタルのメンバーからギルド通話が入り、マスターシェフに断りをいれる。


「おけ。なんかあった?」


『ショウ君が南の島に来てます』


「なんやて!?」


 翠竜エメラルディアが飛来し、その後、ルピやリゲル、妖精たちを伴ったショウが島の教会へと向かっていることが報告された。

 慌ててそのことをマスターシェフにも報告するリーパ。


「どうしよう? 今から行くべきかな?」


「待ってな。副長が大旦那のとこにおるはずやから、どないするか聞いてみるわ。この話、あっちゅーまに広がりそうやな……」


 そう言って別のメンバーへと連絡をとるリーパ。


「ちょっと下の様子を見てくるよ」


 マスターシェフは下の階、食堂形式になっている店舗一階の様子を窺いに出る。

 その一階にもすでに情報が回り始めているようで、急いで食事を終わらせて会計へむかうパーティも出始めていた。


「まいったなあ……」


「大旦那と連絡とれたで。今から南の島へ行ってもしゃーないやろし、現地におるアケルちゃんにライブしてもらう方がええんちゃうって」


「なるほど」


 ショウがもしマスターシェフに会いに来たのであれば、それはそれで連絡が来てから動けばいいし、そうでないなら余計な気を回さない方がいいとのこと。


「確かにね。じゃ、ここで見ようか」


「ワイは届け(もん)あるし、さっきの話もあるから行くわ」


「あー……、気をつけて」


「ありがとさん。ほなまた!」


    ◇◇◇


 所変わってマーシス共和国。


「総長は配達があるので、ライブは見ずに移動するそうです」


「了解。少しぐらい遅れても良さそうなのにね」


「ああ見えて律儀なんですよ」


 そう苦笑いで答えるのは、リーパの右腕でもあるシアノ。

 貴重品を専門に配達する彼は、かつてはギルド『未来の覇権』に属し、死霊都市を発見したトッププレイヤーだった。

 未来の覇権による死霊都市の占有に反対し、ギルドを抜けた彼は、攻略メインのプレイングからは距離を置き、配送がてら本土各地の開拓地を回る旅を楽しんでいる。


「おっ、始まったみたいだね」


「俺は見ますよ?」


「当然だよね」


 メニューを開き、アケルのライブ配信を開く二人。


「これはまた大所帯だなあ」


「女神様は居ないようですね。さすがに騒ぎになると思ったかな?」


「今でも十分騒ぎになってるようだけどね……」


 そんな話をしつつも、食い入るように画面を見る二人。

 教会へ行って加護を受けると、即席のレイドパーティを結成し、森でウィザーレーシーとコボルトを撃破した。


「いやー、強いね! プレイヤー同数と勝負しても勝ちそうじゃない?」


「勝つでしょうね。ルピちゃんやリゲル君もそうですが、ケット・シーやキジムナー、他のプレイヤーとの連携もいい」


「ショウ君自身の強さはどう?」


 その質問に少し考え込んだシアノだが、


「スキルや装備を考えるとトッププレイヤーに並ぶかと。ただ、本人はあまり前に出るタイプではなさそうですし、それよりも戦況の把握と指揮が的確なことの方に驚きますね」


「視野が広いし冷静だよね。妖精の友のナット君とは以前から知り合いなのか、意思疎通も阿吽の呼吸って感じだし」


 ルピやリゲルといった相棒だけでなく、妖精たち、さらにはナットをはじめ、参加しているプレイヤーたちにも的確な指示を出していたことを評価した。


『シアノ副長。まだ、デイトロンさんのところにいます?』


「ええ。何かありました?」


『戦利品の中サイズの魔石をみんな遠慮しててですね。これショウ君に渡しちゃって大丈夫でしょうか?』


 その話に思わず「ああ」と納得するシアノ。

 天然で中サイズの魔晶石は非常に価値が高く、今回の迷いの森攻略を主導してくれたショウに渡すのは筋ではある。

 だが、昨今の魔石のあれこれがあって、そのまま渡していいものかと悩んでいるらしい。


「そうだね……。じゃあ、もしショウ君がいらないって言うようなら、僕が買い取って、そのお金をみんなに分ける形を提案してくれるかな?」


 シアノがデイトロンの提案に納得し、そのまま伝える。

 結局、ショウはその魔石を受け取ることとなったが、それを聞いたデイトロンは、今後も魔石の重要性は高いと判断したという。



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― 新着の感想 ―
話題の人の動向を見て今後の予測をするとか流石すぎる
ショウ君と敵対すると世界中の妖精とドラゴンを敵に回すことになるので生きてはいけない気がする
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