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もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~(旧題:Iris Revolution Online)  作者: 紀美野ねこ
以芸会友

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第582話 なんだかんだ頼れる友

土曜日

「じゃ、スウィーお願い」


「〜〜〜♪」


 カムラスのコンポートを口いっぱいに頬張りつつ、ぐっとサムズアップするスウィー。

 南の島、ガジュたちのところに行くのは、結構久しぶりだよなってことで、昨日、ミオンが作ってくれた分を持ってきている。


「ワフ」


 ルピに続いて神樹の樹洞を潜ると、そこはもう南の島。


「ジュジュ〜♪」


「ガジュ、久しぶり」


 ようこそと出迎えてくれたガジュとハイタッチ。

 おっと、後ろがつかえてるので避けないと。


「ワフ〜」「〜〜〜♪」「ニャ〜」


 今日、こっちに来たのは、俺、ルピ、スウィー、シャルの4人。

 コボルトたちが活発化してるって話をガジュたちが知ってるのかを聞きに。あとは今日のライブのためにエメラルディアさんを迎えにきた。


「えっと、今日はガジュとエメラルディアさんにも話があって来たんだけど……」


「ジュジュ」


 あっちと指差したのは集落の奥にある川の方向。

 ガジュの話だと、キジムナーたちに食べられる野菜を教えてくれて、それを使った料理の作り方を教えてくれてるらしい。マジか……

 さっそく、みんなでそっちへと移動。


「ジュ〜」


「ぁ、ぁぃ」


「どもです」


 エメラルディアさんが料理してるのも驚きなんだけど、その手元にあるのは……


【カロ】

『大きな葉を持つ多年草植物。大きく育つ根茎は食用可能。葉は蒸し焼きの道具としても使われる。

 料理:根茎は各種料理の食材となる』


 カロ? 里芋っぽいし……、ああ、タロイモ!?


「それって、どういう料理になるんです?」


「ぇ、蒸して、捏ねて、茹でて、蜜をかける……。アレケスのミルクと食べても、美味しい……」


 ほうほう。芋もちみたいなものなのかな? あとで調べてみよう……


「ジュ?」


「あ、ごめん。まずはこれ。お土産持ってきたからみんなで食べて」


 まずはカムラスのコンポートが詰まった壺を渡す。

 あとはグレイプルビネガーだったり、オリーブオイルだったりと、普段良く使いそうな調味料を持ってきた。


「ジュジュ〜!」


 受け取るたびに頭上に掲げてから、周りに渡すのがちょっと恥ずかしいんだけど、その度にエメラルディアさんがパチパチと拍手するのがまた……


「で、それはそれとして、最近、近くでコボルトを見かけることが多いって聞いたんだけど」


「ジュジュ〜。ジュ!」


 ぐっと両拳を握り込み、やる気を見せるガジュ。

 やっぱり話は聞いていて、もし、コボルトが大攻勢を仕掛けてきたら、自分たちも参戦するつもりらしい。


「ぅぅ、危ないこと、しないで欲しぃ……」


「ジュジュ!」


 エメラルディアさんがそうお願いするんだけど、ガジュたちはやる気満々。

 まあ、因縁の相手って感じだからなあ。


「ニャニャ?」


「え? シャルたちも手伝いたいの?」


「ニャ!」


 う、うーん……

 前に戦った時には全然勝てそうだったからいいんだけど、そうなると俺も参戦しないとだよなあ。

 ミオンが島に来たことを公表したし、俺がこっちの島に来れるのもバレてると思うけど。


「ごめん。今すぐオッケーは出せないから、ちょっと考えさせて」


「ニャ」


 シャルは真面目なので、ここでわがままを言ったりはしないんだよな。ちゃんと理解してくれてるのが嬉しい。


「ジュ。ジュジュ?」


「ニャ!?」


「ジュジュ〜」


「え? そうなの?」


 ガジュ曰く、こっちの教会に住んでるケット・シーたちも参戦するつもりらしい。

 それにシャルの知り合いっぽい?


「〜〜〜?」


「あ、そうだね。島に戻ってから、みんなと相談しようか」


 今日明日ってことはないと思うけど、早めにみんなと相談しておかないとだな。


***


 夕食後、ガジュたちがやる気満々だし、シャルまで参戦しようとしてることを美姫に相談。

 俺としてはやる気なのを止めたくはないんだけど、別の島とまたがってもパーティとかアライアンスが繋がったままなのかが気になるところ。


「本土と島で離れておっても、パーティが解散したりはせんぞ。もしそうであったら、転移魔法陣を潜るたびに面倒なことになるであろう?」


「あ、そりゃそうか。じゃあ、一応、そこは大丈夫なのか……」


「ログアウトしても、パーティは維持されておるしの。そのあたりは運営もしっかり考えておるのであろう」


「なるほど」


 あんまり想像したくはないけど、最悪の事態は避けられそう。

 ただ、ガジュやシャルたちを戦わせておいて、俺だけ安全そうなところで見てるのもなあ……


「それほど心配なら、兄上も参戦すればよかろうて」


「うーん……」


 やっぱり、ミオンも交えて相談しよ……


 ………

 ……

 …


「それなら私たちも行った方がいいかしらね?」


「日程次第よの。アミエラ子爵との面談予定があるとユキ殿が言っておったゆえ」


「そうだったわ……」


 さすがにギルドマスターで、繋がりも深いセスは顔を出さないとまずいらしい。

 それでベル部長だけ参戦するっていうのもなんだしなあ。


「まあ、行ってすぐ解決するかもわからないんで……」


 まずはどうなってるかを、こっそり見てこようかなと。

 ただ、それでもミオンはちょっと心配そう。さすがに一緒にってわけにはいかないからなあ。


「ふーむ、ではナット殿に連絡しておくのはどうだ?」


「あー、確かに。連絡しとくか……」


 シャルやガジュたちのことも任せられるしなあ。

 奴にはたっぷり貸しもあることだし、俺が行く前に下調べも頼むか……


「こんばんはー。もうすぐ午後8時ですがー、ライブの準備はいいんですかー?」


「あ、やべ!」


 ライブの前に、魔導転送箱がアズールさんところに届いたか確認しないと!



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