第578話 建国システム修正アップデートライブ
『あーあー、あ、オッケー?
あ、すいません。はい、皆さんお待たせしちゃってすいません。
Iris・Revolution・Online、アップデート解説ライブを始めていきたいと思います。
司会は私、ゲームマスター統括の雑賀ちよこ、GMチョコ。解説に総合プロデューサーの山崎美沙、ミシャPでお送りしていきます。
よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』
結局、午後7時10分からスタートになったアップデート解説ライブ。
相変わらずゆるい感じなせいか、コメント欄も早く解説しろっていうのであふれてるし。
『えー、建国システムの修正アップデートですが、すでに本日午後6時に適用されています』
『ホットアップデートだったので、特にメンテナンスはありませんでした』
へー、もう適用されてるのか。
『さて、どう変わったかの解説なんですが、まずは今までの建国システムについて、こちらをご覧ください』
画面にどーんと現れたのは、建国システムの『建国に必要な条件』の部分。
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☆建国に必要な条件☆
・一定以上の広さのセーフゾーンを支配下に置くこと。
・隣接するエリアに対しても、自勢力の支配力が優勢であること。
※支配力とは建国宣言を行うプレイヤーと、その傘下にあるすべてのキャラクターの総合力を合計したものになります。
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「書いてあることはわかるけど、具体的にどうなのかさっぱりよね、この説明」
「ですよね」
そんな話をしていると、
『えー、まずは「よくわからない」とのご指摘をいただいた、この条件について説明していきましょう』
『お願いします』
とのこと。
まず『セーフゾーンを支配下に置く』だけど、セーフゾーンをマイホームに設定しているプレイヤーの中で一番立場が上であることを指すと。
次の『隣接するエリアに対しても、自勢力の支配力が優勢である』は、その支配力がすぐ隣のエリアに負けてるようだとダメと。
それでもわかりづらいってコメントが、ずらーっと流れていく。
『はい。わかりづらいと思いますので、ここで例を挙げて説明しますね。チョコちゃん、お願いします』
『えーっと、シトロン王国を例にとってお話しましょう。あ、例に出すにあたり、関係各プレイヤーからの了承は得ていますので』
シトロン王国、つまり、ラムネさんが建国した時のことを順を追って話すGMチョコ。
聞いていたとおり、廃村のアンデッドを倒しきり、そこでセーフゾーンを確保。この時点で『セーフゾーンを支配下に置く』が成立。
そして『隣接するエリアに対しても、自勢力の支配力が優勢である』も満たしたので、建国宣言ができるようになったと。
『次に、ケイオス帝国のパターンですが、こちらはすでにご連絡できないプレイヤーが含まれていますが、それ以外の関係各プレイヤーの了承を得ています』
「やっぱり、押し入った人たちは退会したようね」
「まあ、今さらキャラを作り直すほどの熱意もなかろう」
死霊都市から転移魔法陣を使って押し入り、古代遺跡からサバナさんのセーフゾーンへ移動。そこでマイホーム登録することで、人数的にも多い彼らの勢力が一番になったらしい。
『ここで「隣接するエリア」なんですが……』
転移魔法陣が通じている状態なら、死霊都市が隣接扱いになって建国できないんだけど、押し入ってすぐ封印されていたせいで『隣接じゃない』扱いだったらしい。
『ミシャP、これは想定漏れではないんですよね?』
『そうですね。どの島にも転移魔法陣があるわけではないんですが、封鎖している場合は繋がっていない扱いにして、隣接エリアとしては扱わないようにしていました』
なるほど……
それで押し入った連中が建国できちゃったのか。
「ふーむ。となると、まず修正すべきは転移魔法陣がどのような状態であっても、その先を隣接エリアとして判定することではあるが……」
「サバナさんが建国できなくなる可能性が高そうよね」
あー、そうなるのか。でも、死霊都市って誰がリーダーってわけでもないような。
『今回のアップデートでどのような変更を?』
『はい。繋がっていなくても、転移魔法陣を封じてあっても隣接エリアとして扱い、支配力の優劣を確認するようになりました』
セスの予想通りの修正が入ったらしい。
『加えて、建国に必要な支配力を引き上げました。まあ、その……、建国を悪用できてしまうのもありますし』
『ある程度、国と呼べる力を持ってからということですね』
『はい。こちらは次の修正の解説で説明します』
とのことで、かなり建国はしづらくなったっぽい。
コメントを見ると「そらそうよ」とか「今までが建国しやすすぎ」って意見が流れてるし、順当な修正なのかな?
『質問に関しては後ほどということで、先へ進みましょうか』
『はい。お問い合わせの多かった「建国によってできること」について解説していきましょう。チョコちゃん、お願いします』
『はい』
こっちの説明は、ベル部長から聞いていた話とかわらず。
コメント欄からは「修正後をはよ出せ」とか「スタート地点になるやつ消せ」とか流れてるし……
『で、修正後はこうなりました』
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☆建国によってできること☆(修正後)
(廃止)・国家レベル1:新規プレイヤーのスタート地点の設定。
(廃止)・国家レベル2:新規プレイヤーのスタート地点の追加。
・国家レベル3:建国者限定スキルの獲得。(滅亡時に失います)
・国家レベル4:公的役職の任命。(任命された相手は限定スキルを獲得します。滅亡時に失います)
・国家レベル5:NPCの増員。(供物の神饌を必要とします)
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『この(廃止)というのはどういうことか説明をお願いします』
『はい。先に話した建国の条件に加え、「自勢力が50人以上」という国家レベル3に相当する条件を追加しました。
これに伴い、国家レベル1と2の新規プレイヤーのスタート地点の設定や追加は任意となりました』
「「え!?」」
「おおっ!」
俺たちの驚きと同じように、コメント欄もすごい勢いで流れていく。
『もともと、少人数で建国し、新しいプレイヤーさんを率いてもらうつもりだったんですが、理由が意味不明だというご意見を多数いただきましたので……』
マジか……
うーん、悩むなあ……










