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春の嵐が過ぎて
真夜中、窓を叩く雨の音で目が覚めた
頭が痛んだ
まぶたを閉じて横になって
もう一度眠ろうとしたが
眠れなかった
何かに急かされるように
雨の中、部屋を出た
激しい雨の跡は地面に残ったが
うらめしい程に
空は青く
頭の痛みも落ち着き
まるで何もなかったかのよう
人を好きになることは
五月の嵐に似ている
その時は前も見えず
痛みを抱えて
強い雨の中を歩いている
行く先なんて考える余裕もない
青くなってしまった空の下
雨の中を無理に歩いて濡れた靴を乾かす
今日は
会えなくなった人の誕生日だった




