表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/31

風に吹かれる

 しばらく体調を崩していました。


 幼い頃に住んでいた町は

 周りには田んぼが沢山ある

 環境の良い所だった

 そしていつも

 風が吹いていた


 小さな手足で走り回り

 まだ見ぬ未来を

 まだ信じていた

 夏の田んぼからは

 蛙の鳴く声がしていた


 体はまだ動くものの

 病にかかりやすくなり

 走り回る体力もない今

 ふと幼い頃に

 戻りたくなる日もある


 その時々の不安はあって

 幼い悲しみもあった

 ではあるのだけれど

 あの頃の風に

 また吹かれてみたい


 風のあまり吹かない街

 そこに住んだ青年期

 銭湯の帰り道のわずかな風に

 夏は喜び

 冬は足を急がせた


 網戸の無い窓

 それでも夏は風を求めて

 虫が入るのを面倒に思いながら

 開け放っていた

 やはり未来を信じていた


 夢破れ

 なかなか立ち上がれずにいる今

 固く凍った雪の上を歩く

 戻れない過去を

 時々思い出しながら


 寒い夜の道で

 緩やかな風に吹かれている

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ