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うろうろ
踏み出す足がひどく重い
久しぶりにうろうろと
あてもなく歩くと
しばらくぶりに通る道には
いつ出来たのか
知らない建物が目立つ
寒さの中で月の出を待った公園には
合歓の花が咲いていて
春を感じることがないまま
既に夏になっていたことを思い知らされた
蛙の鳴く声を聞きたくて
ただうろうろと
重い体を動かして雨の中を歩く
時間の流れがはやすぎて
ついてゆけないまま
どんどん取り残されている
流される勇気をしぼりだす間すら作れない
それでいいような
いけないような
ぐるぐる回る答の無い問い
そうして
うろうろしていたら
蛙が鳴く声を聞いた




