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白い月
冷たい風が吹く夕暮れ
白くて丸い月が空に浮かんでいる
とてもきれいで
きれいだから
少し悲しい
ゆっくりと色を変え
暗くなってゆく町に
街灯の灯がつく
歩道をゆく人は他になく
車道にはたくさんの車が走っている
自転車を降りて月を眺める
冷たい風に震えながら
しばらく立ち止まっているその間にも
空の頂に向かい
月は昇ってゆく
月は昇ってゆく
軽い絶望感を抱えて月を眺める
一年前も十年前もそうだった
二十年前は、軽くない絶望感だったっけ
でもまだ生きている
やっぱり月を眺めて




