61:仕掛けてみよう、と思っていたけど〜バイスルーク〜
ここで一気に仕掛けようと思っているルーク。はてさて。少しずつ少しずつ恋愛にシフトチェンジ出来るといいんですけどね……
ベリエに会いたい、と先触れを出して会いに来た。本来なら時刻まで伝えておく必要があるけれど訪問するのに常識的な頃に直ぐ会いたくて敢えて伝えなかった。私がベリエの家に行く事はあまりないがベリエと会っていたのは昼食後の方が多かったからベリエもそのつもりかもしれない。でもごめんね。君には一刻も早く会いたいから君の予想よりもかなり早く訪ねてしまったよ。ベリエが庭に面したサロンでお茶の準備をしておきます、と返信をくれていたから公爵家の執事に案内されながらサロンへ向かう。きっとベリエは未だ支度が出来てないって慌てているだろうな……とそんな想像だけでも既に楽しい。
だから想像に反してもうサロンに居る事を知ってベリエも私に会いたいと思ってくれていたのか。……なんて甘い考えを持っていた。驚かせたくてそっとドアを開けさせて中に入ったところでベリエの溜め息混じりの本音を聞くまでは。
「まだランスベルト元殿下への気持ちが落ち着かないのに他の方からの求婚なんて受け入れられるのかしら……。またいつ裏切られるのか考えてしまうのに。今のままでいるのは許されないかしら」
私はグッと息を呑み込んだ。
そうだ。私自身の気持ちだけで浮かれていたけれどベリエは婚約者に不貞を働かれて傷ついたのだ。
そこから立ち上がったし前を向いた姿は凛としていて怒ったところは正直少しだけ怖かったけれど、それでも益々美しいと思っていたが。
ベリエはあれほど傷ついたのだ。
その後の姿を見て大丈夫だと判断していたけれど傷ついた姿を見ればどれだけ異母弟が好きだったのか分かっていたはず。
吹っ切れたとしても裏切られた気持ちが無くなったわけじゃない。
なんでそんな簡単な事に気づかなかった?
ベリエを口説く前にベリエの心を修復する方が先だった。私はなんて愚かな……。
「ベリエ」
「えっ? ルーク? もう来たの? 早かったのね」
驚いた表情のベリエは可愛いけどその裏にある本音を聞いてしまった以上、私がする事はベリエの心を回復させること。
「うん。ベリエに早く会いたかったから。ベリエ。今度私とヒュルトと兄上と4人で……いや、ニルとマリアンヌ様も誘って6人で出かけないか?」
「……えっ?」
パチリと目を瞬かせた顔もやっぱり可愛い。ベリエに関すると私はついつい思考が冷静じゃなくなる。
「気分転換をしよう。何処に行きたいか考えておいて?」
私の唐突な発言にベリエはまたパチリパチリと目を瞬かせ……それからゆっくりと笑顔になって頷いた。ああこの笑顔を見たくて守りたいのだ。そのためならベリエを口説くのはもう少し先でもいい。ただトホルスを誘うだけの心の広さは無いから敢えて名前は出さなかったが。ベリエに言われたら誘うけど出来るならその名前は出さないで欲しいとは思っている。
やっぱりルークはヘタレのポンコツでした。
仕掛けるよりもベリエの気持ちを優先しちゃうし。
というかそこは2人っきりで出かけよう、と誘うところでは?と作者が思うのに6人で出かけようだし。ヘタレだ。
明日はハルトかヒュルトユウリの予定です。




