55:宣戦布告される〜バイスルーク〜
今回で少し話が進むと良いなぁ。
ルークが宣戦布告されます。
トホルスが第五王子だった。
それを知った時、私は嫉妬で身を焼かれそうだった。私は第二王子という立場。トホルスよりも自由がなくて初めて自分の身分を疎ましいと思ってしまった。この立場だからこそベリエットに会えたというのに。あの男からすれば第五王子なんて柵が多くて嫌なのだろう……と思っていたが王位継承権が第二位という複雑な立場に同情もする。だがそんな私の思いはどこ吹く風で着々と自らの足元を固め、私に自信たっぷりの微笑みを見せながら宣った。
「第五王子の位を返上して自由を貰った。向こうでは表向き公爵家の息子で向こうの役に立てるように医者になりたいとは思ったが。ベリエットが国外を出られないなら連れて帰れない。だからこの国への永住権をもらう。全力でベリエットを奪いに行くから取り敢えず宣戦布告をしておこうと思ってな。よろしく。バイスルーク」
……嫌なヤツだな。堂々と宣戦布告なんかしてきた。あれか? 私が慎重にベリエとの距離を縮めようとしている事への嫌がらせか? まるで遅々として進まない関係を嘲笑っているのか? いやトホルスはそういう性格では無い。ダメだな。ベリエが絡むと誰でも性格の悪い男に見えてしまう。
しかし宣戦布告をされて指を咥えて見ている程、私もお人好しではないつもりだ。
「私とベリエの付き合いは長い。そう簡単に渡すわけにはいかないな」
受けて立ってやろうではないか。
ベリエの気持ちが落ち着かないだろうからまだ口説くのはやめておこう、などと悠長な事を言いながら本当は今の関係の居心地の良さから抜け出すのが怖くて尻込みしていただけだ。
だがもうそんな事を言っている場合ではない。
何もせずトホルスに奪われるなんて見ている気にはなれない。ベリエは私の初恋だ。ずっとずっと彼女を思い続けてきた。やっとランスベルトを排除したのだ。それなのにまた他の男にベリエが奪われる? そんなの、我慢出来るわけがない。
物分かりの良いフリをしてベリエの気持ちが落ち着くのを待つなんてもう無理だ。全力で奪いに行こう。
それに私の婚約が解消されたしベリエも婚約解消をしている。何の問題も無いのだから本気を出したって許されるはずだし、正直なところベリエの気持ちを無視するなら再び「王命」で婚約を締結する事も出来る。
婚約さえ結んでしまえば誰であってもベリエを奪う事なんて出来ない。
……ああそれもいいかもしれない。
ベリエは誰にも奪えないし、ベリエを振り向かせるのは婚約してからゆっくり口説いていけばいい。何故そんな簡単な事に気づかなかったのか。兄上に相談してベリエとの婚約を取り付けてしまおう。
トホルスには感謝しかない。
私を本気にさせたのだから。
敬意を表して全力で妨害させてもらうよ。
ベリエを手に入れるのはーー私だ。
なんかルークが腹黒くなってきた……?
ちょっとずつ恋愛方向に話が進みます!
いや進む……はず?
次話は多分トホルスかな……。多分。




