53:俺と婚約者と彼女の兄
ヒュルト視点です。
若干甘め……? 回です。
正式に俺とニーナが婚約した。
互いの気持ちを確認し合って……その辺は敢えて詳細に語る必要は無いだろう……まぁ両思いってヤツだって事を知りお互い顔を赤く染めた。
「な、なんなのよっ! 私が好きならもっと早く言いなさいよね!」
と真っ赤な顔で文句を言うニーナが可愛かった事は俺だけが知っていればいいわけで。あーこれはツンデレだ。と俺は前世の知識から直ぐに素直になれないニーナの心情を理解した。うん、俺が世話焼きタイプだから全然何の問題もない。そんな俺達の婚約はニーナに兄がいるので当然ニーナが俺の所に嫁に来れば良いのだが、このニーナの兄が問題だった。
「それにしても相変わらずニーナの兄上は印象深い人だよな」
「……ごめん」
「いやいいけど」
正式な書面を交わした所でニーナの兄がニーナと俺を罵倒していく。
「フン。バイスルーク殿下に捨てられた女と婚約させられても何も言わないどころか喜んで受け入れているような軟弱者には恥晒しの妹が似合いだな。だが一度でも婚約を無かった事にされた以上二度目は我が公爵家でもあってはならない。貴様ニルナーレとの婚約を無かった事にしてみろ。全力でバルドル公爵家を潰しにかかるからな!」
と。昔からニーナの事を「出来損ないの妹」とか「可愛げのない女」とか「気の利かない娘」とか言ってたのは知っているけど。婚約の場くらい言わなければいいのになぁ。
「お兄様は昔から私の事がお嫌いなのは解っているんだけどルークもそうだったけれどヒュルトにもあんなに文句を言うなんて思わなかったわ」
「うん? アリトラは別にニーナが嫌いじゃないだろ?」
「は? 何を言ってるのよ! 私いつもああやって文句ばかり言われて嫌われているじゃない!」
「……そりゃあれだろ。ニーナと同じで素直になれないだけ」
「は? えっ? 違うわよ! 私は可愛げのないとか出来損ないとかしか言われた事ない!」
……あー。アリトラが悪いけど、アリトラの妹愛が肝心の本人に伝わってない。アリトラってハルトより年上の筈なのに本当に不器用なヤツだなぁ。まぁ兄妹揃ってツンデレなのは分かったけど。口じゃあどんだけニーナを罵っててもそのフォローをしているのを見ていた俺達はアリトラがきちんと兄として妹を大切にしているのを知っているんだけどなぁ。肝心のニーナが全然気付いてないや。
お節介を焼く気はまるでないからまぁアリトラ頑張れって事で。
アリトラがわざわざ俺に言った言葉の裏にある本音に俺は気付いている。
要するにルークと婚約を解消したニーナが今度は俺と婚約した。王命だからといってまたニーナが婚約解消になったら二度も婚約が無くなった娘という評価を受ける。しかも第二とはいえ王子と婚約していて、次に公爵家嫡男の俺と婚約して。その俺との婚約が解消されれば身分の高い2人に婚約解消された娘と婚約したい、なんて男は出てこない。そうなればおそらくニーナは修道院くらいしか行き場が無い。そんな思いをニーナにさせるな! そんな思いをさせたらバルドル公爵家を許さん! というぶっとい釘を刺しているだけなんだよな、アリトラの発言って。
でもその身内としての心配がニーナに届いていないんだから意味無いよなぁ。アリトラ頑張れ。俺は協力なんかしないけどな。だってなぁ。アリトラがそういう態度ばかり取るから俺がニーナに「可愛い」って言うだけで真っ赤になってて甘やかし甲斐があるからな! 是非アリトラにはそのままでいてもらえれば俺は楽しい!
お読み頂きありがとうございます。
新たなキャラが出てきましたが彼はこの先出てくる事は無いかと思われます……。今更ですが毎度適当に名前を付けているので他作品と被っているキャラがいたらすみません。
ヒュルトの腹黒さが少し出てる……?
偶にはこんな話も良いかな、と。
次話は全く考えてません。視点を誰とか内容とか……。ヒュルトは、簡単に幸せを見つけちゃったからベリエの幸せを見つける必要があるんですけど。さてどう話を持っていこう……。考えますが明日の更新に間に合わないかもしれません。途切れたらごめんなさい。




