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46:着いたケリと先へ進む一歩

ヒュルトユウリ視点です。

少し長めでようやく一区切りつきました。

トホルスが立ち会った理由も言及してます。

ハルトとルークがランスベルトとその愛妾のモールナって女に対して相当怒りまくっていたから、前世の母オヤで現世の王妃を含めてかなり罰が厳しくなった。最もルークの執務室を出るなり王妃の方は自ら刑を重いものにして欲しいと願い出たらしいが。後から聞かされた。毒を呷るのは優しい罰だと理解出来て何よりだがランスベルトとモールナという娘はどこまで理解出来たのか。まぁこれで関わらないからいいけど。


「終わったな、姉ちゃん」


俺がホッと息を吐き出すと姉ちゃんも「ん」と頷く。それから深呼吸をした姉ちゃんはハルトとルークと殆どその場に居ただけのトホルスを等分に見て頭を下げた。


「ありがとう。私も気持ちに区切りがついたわ」


姉ちゃんの笑顔に報われた、と思ったのは多分俺だけじゃないはずで。


「あ……」


と声を洩らしたのはトホルスだった。


「トホルス?」


姉ちゃんが首を傾げる。


「あー。そうか。そういうことか。……まだ終わりじゃないよ、ヒュルトユウリ。ベリエット」


トホルスが顔を歪ませてから諦めたように言葉を落とす。何が?


「まだ前世の決着がついてないだろ。私……俺が最後の1人だよ。里江ちゃん」


りえちゃん。

そんな呼び方はトホルスが初めてだ。俺が姉ちゃんを見れば「まさか」と呟いて顔色を青く変えながらトホルスを見ている。


「姉ちゃん?」


俺が呼びかければ姉ちゃんは我に返ったようで「筒井君」と呼んだ。姉ちゃんが高校生の時に好きになったアイツの名前。は? え? どういうこと?

混乱する俺に構わずトホルスが泣きそうな顔で姉ちゃんをジッと見ていた。そういえば……と俺は思い出す。あの夢を見た最後の時。俺達を転生させた存在が姉ちゃんの好きだった男も転生させたって言っていた。それがトホルス?


「トホルスが筒井君なの」


「今記憶が蘇った。俺は君が事故で亡くなって初めて気付いた。君の母親からあることないことを言われてムカついて君を虐めたけれど、本当は君が好きだった。里江ちゃんって俺だけが呼んでいいことが嬉しかった。けれど君の母親に責められて俺はガキだったんだよな。君が全て悪い気がして虐めてしまった。それが君と弟が死んだって聞いた時にようやく自分の気持ちに気付いて生まれ変わったら君に会って謝りたい。謝らなくても想いを告げたいって望んだ。そんな事は無いだろうと思っていたけれど今こうしてここにいて記憶が蘇ったのだから、俺の願いは叶ったってことだね。……あの時はごめん。許して欲しいとは言えない。言わない。ただの自己満足だと分かっているけれどすまなかった」


「……私、今は混乱して何も受け入れられない」


「うん」


「でもベリエットとしての記憶はトホルスに助けられてきたから」


「……っ。うん、うん」


「だから。もう少し待って。少なくてもベリエットとしてトホルスと過ごした時間は大切だし。それでも里江子として筒井君を許せるか分からないし謝罪も受け入れられないかもしれないけれど。ベリエットとしてはトホルスを友人だと思っているから考えさせて」


「……ああ。考えてくれるって言葉だけでもう十分だ」


トホルスは泣きそうな表情で姉ちゃんに笑ってルークの執務室を出て行こうとする。きっと姉ちゃんが望まない限り二度と会わないつもりなのだろう、と解る背中だった。

おそらくだが。

この場に立ち会って姉ちゃんが全てに決着をつけて前を向く事でトホルスは前世のアイツの記憶を思い出したんだろう。前世は姉ちゃんの未来を奪った……と思っていたのかもしれない。だから今度は姉ちゃんが未来へ向かうところを見たかったんじゃないだろうか。それを見届けたから記憶を思い出した、とか。

俺はトホルスじゃないから分からない。ただの推測だけどなんだかそう思えた。


「ハルト、ルーク。ありがとう。今日はこれで帰るわ。また後日ゆっくり話しましょう」


姉ちゃんが公爵令嬢の顔で綺麗に笑って俺に帰ろうと言うから俺もただ頷いた。

これで夏月の中では第一部が終わりました。次話から夏月の中だけで第二部が開始です。タイトル通りヒュルトユウリとベリエットの幸せ探しの話がスタート予定。

ヒュルトユウリ視点から始まります。引き続き宜しくお願いします。

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