41:意外と覚えていたらしいわね〜ベリエット〜
側妃の条件を思い出した様子のランスベルトを見て、王子教育が無駄になっていないみたいで良かった良かった……と思っているベリエです。
そして気持ちを切り替えたベリエは清々しい程にランスベルトの事を何とも思ってません。
「側妃の条件を思い出されまして?」
顔色を真っ青にしているランスベルト殿下を見てももう何も思わない。寧ろ恋って愚かだわ……とつくづく自分の男の見る目の無さに溜め息をつきたくなる。前世で好きだった人も今考えるとそこまで好きでいた理由が分からない。それはランスベルト殿下に対しても同じ。この方のどこに惹かれていたのだろう。確かに優しい人だったから好きになったし年下だったから少し可愛いとも思ってた。だけど王子の自覚が無いこの人の事を私は正しく見つめられていただろうか。目が曇っていたとしか思えない。
「側妃は伯爵位以上の身分を持つ家の令嬢じゃないと側妃とは言えなかった……」
「王子教育をきちんと受けた、と豪語されただけの事は有りますわね。きちんと思い出されて何よりですわ」
ランスベルト殿下が肩を落として俯くので私は追い討ちをかけておく。あれだけボロボロになった私を叱ってくれたユウちゃんには本当に感謝だわ。おかげで客観的に見られる今はこんなランスベルト殿下を見ても慰めるどころか追い討ちをかけても爽快感しかないもの!
「ど、どういうことですか?」
あらあら。モールナさんは頭の回転があまり速くないのですね。私が分かりやすく教える気は無いので黙っておきましょう。
「モールナ……済まない。この国の法律では側妃を迎えるにあたり、女性は伯爵家以上の令嬢ではないと側妃になれない。つまり……モールナでは側妃にはなれない」
「そんなっ……。ランスは私を側妃って言ってくれたじゃない!」
「今のモールナは愛妾でしかないんだ」
「じ、じゃあ私は側妃じゃないの?」
「大丈夫だ! 伯爵家以上の家に養女として迎えてもらえれば側妃になれる!」
そこまで回る頭は有りましたのね、ランスベルト殿下。まぁ周囲が見えてないのはどうかと思いますけれど。今、何処に居て何をしている状況なのか思い出して欲しいですわね。手を取り合って見つめ合っている2人を白けた表情で見ている私と、冷たい視線を向けているハルト・ルーク・トホルスとユウちゃんに気付いて欲しいわ。
「で、では今から探して下さいます?」
「ああ! 任せておけ!」
その返事をランスベルト殿下がしたところでハルトが私を見てくる。その視線の意味は私が現実を突き付けてやるか? といったところか。いいえぇ。それはユウちゃんに任せますわぁ。
「そりゃ無理だな」
さすがユウちゃん! 私とハルトのアイコンタクトをバッチリ理解してるわ!
「な、何故だ!」
「はぁ? 何故? ランスベルト、お前俺の姉上に何を仕出かしたんだよ。婚約者である姉上を差し置いて好きになったからって結婚しますって婚約の意図をきちんと理解してないだろ。国王陛下が姉上に婚約を持ちかけて来た理由をきちんと理解していたら、好きになったからって理由だけで姉上を差し置いて結婚なんかしない。それをしたって事は理解してないってことで、それは即ち我がバルドル公爵家を敵に回すって宣言したのと同じこと。だったら報復されて当然だろうが」
うんうん。さすがユウちゃん。理路整然とした説明をありがとう! さて、ランスベルト殿下とモールナさんはユウちゃんの説明を理解出来たかしら?
「ベリエとの婚約の意図……?」
「ええっ! なんで好き合っているワタシ達が結婚して当然なのにホーフクなんて言うんですか?」
あらあら。ランスベルト殿下は私との婚約の意図を理解されていなかったのね。モールナさんに至っては恋愛至上主義なのかしら? モールナさんは全く何も考えていないのね。公爵家と男爵家の身分差も私と王家との婚約の理由もだから報復されて当然という意味も。理解出来ない人に報復って意味が無いのよね。意味を理解してくれなければ報復する醍醐味が無いわ。どうしたらいいかしら?
ランスベルトとモールナのお花畑思考に溜め息をつきたいベリエ。同時にここまでお花畑思考だと報復する醍醐味が無い事を懸念します。だって仕返し・報復・復讐……何でも良いですけど、その相手が自分がその対象になるという理由を理解していなければ、どれだけやり返しても相手に傷一つ負わせないですからね。
次話以降、2人が理解出来ているといいな……と作者が願っています。
次話はヒュルトユウリの予定です。




