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34:知られざる過去の話

今回は前世の出来事をヒュルトユウリが夢に見るって話です。

あの方が死んだ理由。

前世の母オヤだった事が解れば遠慮する必要も無い。物に当たるようなオヤを親なんて思えるわけがない。自分に酔って姉ちゃんの恋を、友情を、未来を奪うようなのが親なわけがない。前世の分も含めて痛い目を見ればいい。とはいえハルトリッヒの執務室であのババァだけが痛い目を見るのもおかしい。やるなら3人まとめてだ。だからあのババァを追い出してハルトリッヒとバイスルークと姉ちゃんと4人で気持ちを確認しあって国王陛下に報告後許可をもらってから、という事になった。姉ちゃんを連れて帰りながら俺はふと思った。あのババァの死んだ理由ってなんだろう? と。


その夜、俺は夢を見た。……いや、見させられたと言うべきか。俺と姉ちゃんをこの世界に転生させた神か何かの意思を感じた。


それは俺と姉ちゃんが死んだ直後のこと。

先ずは結構な人の前で死んだから事故死なのは確かで俺の友達とかクラスメートとかがいっぱい通夜と葬式に来てくれた。だが葬儀を取り仕切っているのは母オヤじゃなかった。いや喪主は母オヤだが俺たちが死んだ事が受け入れられないのかボンヤリとしている。さすがにそんな母オヤを見るとちょっと胸が痛んだ。

じゃあ実際に取り仕切っているのは誰か、と言ったら叔父だった。母オヤの弟。ありがとう、叔父さん。で。その通夜と葬式の間に父親が来た。へー。俺たちに会う気もなかったくせになんだか呆けた顔してんな。あ、一応泣くんだ。ふぅん。まぁコイツの事はどうでもいい。姉ちゃんの中学時代の友達も来て悲しんでくれてた。


でも父親以上に違和感があったのは、姉ちゃんを虐めていた高校のやつら。虐めていたくせに来たのかよ。とは思ったけれどまぁ一応クラスメートだから来るのか。……姉ちゃんを虐めていたクラスメートのヤツらの顔は姉ちゃんが渋々見せてくれた行事写真で記憶済みだった。

その中で姉ちゃんが一度だけ嬉しそうに笑って指し示したのは、姉ちゃんの好きな男の写真。その男が通夜で号泣している事に驚かされた。


はぁ? 何を泣いてんの? 姉ちゃんは俺たちの母オヤが悪いとはいえ、お前や他のヤツらに虐められて精神的にいっぱいいっぱいで死んだんだけど?

イラつく俺に声が聞こえて来た。


『彼は里江子を喪ってようやく自分の気持ちを知った。彼女を好きだった気持ちに』


男とも女とも言えない不思議な声は、俺たちを転生させた神か何かの意思に思えた。


「今更だ」


『そう。その通り。だが彼はこの一件をきっかけに大切な人を大切にする気持ちを覚えた。それは彼の成長』


まぁ姉ちゃんがきっかけならば少しは姉ちゃんの死が報われたかな。そんな事を思っていたらいつの間にか俺たちの葬式が終わった。なんだかボンヤリしている母オヤは葬式が終わって一人になった家で背中を丸めている。ちょっとは堪えたのかね。


『ちょっとどころではなかった』


その声と同時に母オヤが家を飛び出してなんだか錯乱状態で車に飛び込んでいた。


「……は?」


『2人の母は2人の死に耐えられず死んだ。その時に今度こそ3人で仲良く暮らしたい、という強い願いにワタシは応えた。だから転生させた』


「……で、また姉ちゃんを傷つけて泣かせてますけど?」


『性格など心を入れ替えなければ直るわけがない』


うわっ。身も蓋もないな。つまり本人の資質ってことか。そして反省の気持ちが無いからああいう言動を繰り返す、と。まぁどうでもいいけど。取り敢えず俺たちは今度こそ幸せを掴むと決めたんだから。一緒にいたってあのままなババァなら意味が無いから一緒に居る気はない。こんなのを見たからといって手心を加えてあのババァの改心を待つ事はしない。

ちゃんと痛い目を見てもらおう。


『そなたの願い通りそなたの母が死んだ理由は教えた。後の事はワタシは知らぬ。干渉せぬよ』


つまりは自己責任という事だろう。まぁそれならそれで有り難い。そう思うと同時になんだか目が覚めるような感覚がしてきた。その感覚に身を委ねる前に声が『そうそう』と最後に爆弾を投げ込んで来た。


『里江子が好きになって里江子を喪ってようやく好きだったと気付いたあの男も転生しているよ。あの男は人生を全うした後にもう一度里江子に会いたい、と死ぬ間際に願ったからな。ではな』


ちょーっと待て。なんだって⁉︎ はぁ⁉︎ 誰だよ生まれ変わり⁉︎


『記憶は無いよ。今のところは。思い出すかどうかは彼次第だ』


その声を最後に俺は目覚めた。……目覚めてしまった。窓から射す光に朝だと知ったがそんな事はどうでもいい。知らされた衝撃の事実に眠気など吹っ飛んだ。

あの男が転生してるって⁉︎ マジかよ。えー、姉ちゃんに教えるべきか、コレ⁉︎


……いや、やめておこう。下手に話して姉ちゃんが疑心暗鬼に囚われても困るし。どうせなら俺も知りたくなかったことは俺の心の中に仕舞い込んで、俺は起き出す事にした。

そんなわけで、2人の母オヤは2人が死んだ直後に自殺した形です。

そして衝撃の事実。里江子の好きな相手も転生していました。……予想ついてますよね、きっと。

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