33:国王として父親として〜スティレグ〜
スティレグって誰⁉︎
って思いますよね。……いや王妃と同じ流れだから分かりますかね。
予想通り国王です。ヒュルトユウリに戻る予定だったのですが、昨日のモールナが読み返してみてもお花畑だったので、まともな思考の持ち主を投下したくなったもので。昨日の話の裏話的な。
ハルトリッヒとバイスルークから抗議を受けてランスベルトの婚約者であるベリエットとその弟のヒュルトユウリに会ってランスベルトとベリエットの婚約解消に同意してから数日。ランスベルトとその母である王妃が「側妃にする」と迎えた娘の実家が養子を迎えたのでその養子を跡取りにする、と書類を出して来たのでサインをしておく。宰相経由で書類が渡るだろう。それで終わったはずの話が何故か続く事になったのは、宰相が執務室に農政担当の大臣を連れて来たからだった。
「宰相。何故農政担当を連れて来た?」
農政担当は文字通り国の農地に関わる政を担当している。しかしここ数年は災害等が無いため作物は豊作で新たに農地改革をする事も無いためわざわざ執務室に連れて来る必要も無い。
「陛下にお願いがございますれば……」
宰相が頭を垂れる。こういう時下手に出て来る宰相はロクな事を言い出さない。面倒くさい事を察知しつつも農政担当の大臣が共に居る事を踏まえれば無視をするわけにもいかない。
「なんだ」
「実は第三王子・ランスベルト殿下の側妃様の件で」
農政担当の大臣が口火を切って来た。それは終わったはずの話じゃないのか。話を聞けば農政担当の大臣の妻がランスベルトの側妃と言われているあの男爵家と関わりがあるらしい。どうも夫人同士が学園時代に友人だったという。その伝手を頼って男爵家が言うには娘の物知らずさに恥じ入るばかりで止められなかった事を悔やんでいるとのこと。既に娘には男爵家と縁は切る、と告げてあるため、娘がどのような目に遭っても不平も不満も無い事を伝えたかったらしい。
ふむ。既に縁を切った、か。
その覚悟があるのであれば娘にどのような処分が下されようとも男爵家に咎めは無しとしてやろう。元よりベリエットには何をしても見て見ぬフリだ、と言ってある。後は男爵家は無関係である事を伝えておけば良いか。
男爵家が娘と縁を切ったならば男爵領の領民達は今まで通りの生活が出来る。領主として出来る最善策を講じて来たと言っていいだろう。
何しろ公爵家と王家の契約に割り込んで来たのだから。公爵家がどんな対応をしてきても文句のつけようが無い。それこそ男爵家など捻り潰せるだけの権力も財力もあるのだから。無論ランスベルトに非がある。それでもあの娘に非はないとは言わない。
父親としては息子の軽挙な言動に何の責も負っていない事は申し訳ない。国を導く立場の者としては、アレは王子として些か足らずその軽挙さに不安が残る結果しか生まないため、早々に表舞台から引き下がらせる予定だ。
だがそれだけでは父としては足らぬか。
では甘いかもしれないがランスベルトの父として男爵家の娘に未来を突き付けてやる事が、ランスベルトを放置していた事への詫びになるだろうか。
というわけで、国王は当然ながら国第一です。そりゃそうだ。国の主である民を守るためにその座に就いている人だもの。
ただ家族もきちんと思ってます。って事は書きたかった。立場として家族優先というわけにはいかないけどね。
だからモールナに現実を見せるためにわざわざ男爵家が養子を取った話と帰れない事を伝えたわけです。父親としてランスベルトを止めなかった事を男爵家に謝るわけにはいかないから、せめて……といったところ。結局国王も親としては子であるランスベルトに甘いのでしょうね。




