32:お父様とお母様に会いたい〜モールナ〜
予告通りモールナ視点です。
相変わらずお花畑な思考なので、苦手な方は読まなくても全然問題無いと思いますので、明日の更新までお待ち下さい。
長めです。
わたし、ランスと結婚して毎日幸せなの! ランスってばわたしと一緒に居たいからお仕事したくないって言うの! だからキスをして「お仕事頑張ってね」って言わないといけないのよ? ふふ。わたし、ちゃんと奥さまが出来てるでしょ? だってお母様もお父様に「お仕事頑張ってね」ってキスをしていたもの。それを見た使用人が「奥様は旦那様を見送って素敵な奥様でございます」って言ってたわ。だからわたしも素敵な奥さまなのよ!
「モールナちゃん」
「あ、ランスのお母様!」
ランスのお母様もわたしのことをランスと同じくらい可愛いって言ってくれるの! うふふ。幸せ!
「モールナちゃん、あのね? 陛下がモールナちゃんに会いたいって言っているの。だから私と一緒に会いに行けるかしら?」
「ランスのお父様にお会いするの? もちろん! ランスのお父様は国王さまだから忙しくて会えないって言ってましたから、会えるのが楽しみです!」
「そう。でもね、モールナちゃん。一つ私と約束をして欲しいの」
「なんですか?」
「私がモールナちゃんにお答えしなさい。って言うまでは、モールナちゃんは挨拶以外喋らないで欲しいの。出来るかしら?」
「えええ! お母様にそう言われないとランスのお父様と話せないの⁉︎ ランスのお父様なのに?」
変なの。って思ったけどランスのお母様の頼みだから頷いた。ランスのお父様に会うのは初めてだしね! そうしてランスのお母様に先ずは着替えましょうねって言われて着たドレスは、わたしのドレスの中でも可愛くないやつなの。ランスのお母様がコレなら陛下も嫌がらないわね、と言うけど可愛くないのが良いって変なの。
それからランスのお母様に連れて行かれたのは、えっけんしつってところ。王族と会う場所だって言われたけど、わたしもランスと結婚したんだから王族なのに変なの。そうして中に入ってランスのお父様が来るのを待っている時にランスのお母様から挨拶の仕方を教えてもらった。そっか。ランスのお父様は国王さまだから偉い人だもんね! ちゃんと覚えたわ! って時にランスのお父様が来たの。わたしはランスのお母様に教わった通りに挨拶したのよ? だってわたし出来る子だもの!
「お前がランスベルトの愛妾か」
「えっ? わたし愛妾じゃないです。側妃です!」
ランスのお父様ってば酷い! ランスが言ってたもん。モールナは愛妾なんかじゃなくて側妃にする! って。なんで国王さまなのに知らないのかしら! そう思って口を尖らせたら(ランスが可愛いって言うから国王さまもきっとそう思うはず!)ランスのお母様が首を横に振ってた。……なんで?
「礼儀も知らぬのか。テルナル、コレが側妃だと?」
「へ、陛下、も、申し訳なく思いますが何卒ご容赦を頂きたく寛大なお心で」
「……まぁいい。時間が惜しい。本題に入る」
ランスのお母様が青い顔でランスのお父様に頭を下げているのを見てわたしは思い出したの。……あ、ランスのお母様がお答えしなさいって言うまで喋っちゃダメだったんだわ! でももう遅いよね。そう思ってたらランスのお母様がホッとした顔になったから大丈夫みたい!
「娘、お前の両親がこの度養子を迎えた。それを認めた。同時にお前が男爵家と正式に縁が切れた事も認めた。これより先お前が両親に会う事は出来ないと心得よ。仮令お前の両親が死ぬ間際でも会えない。分かったな? 話は以上だ」
それだけ言って国王さまが立ち上がって行ってしまおうとしたから、わたしは「待って下さい!」って呼び止めたの。ランスのお父様なのに国王さまは、わたしを見ないで行ってしまったのよ? 酷いわ。
「モールナちゃん!」
「ランスのお母様、ランスのお父様ってば酷いわ! わたしが待ってって言っているのに!」
「モールナちゃん! 言ったはずよ! 何故勝手に喋ったの! 陛下が怒っているわ!」
「どうして? だってわたし側妃なのに愛妾って言われたんですよっ! それにお父様とお母様が死ぬ時も会えないって……なんで会えないんですか?」
「モールナちゃん、あなた、ご両親から聞いてないの? 私も陛下もあなたと男爵家は縁を切りましたって報告を受けているのよ?」
「えっ?」
そういえば、もう帰って来るなってお父様とお母様が言ってた。あれは嘘じゃないってこと? なんで? どうして? もう、お父様とお母様に会えないの?
わたしは……お父様とお母様にランスと幸せにしてるって言えないの? 間違いじゃないって、こんなにも幸せだって、だからお父様とお母様も喜んでくれるって……。
どうして、会えないの?
お父様……お母様……
嘘よ、ウソ。二度と会えないってウソだよね?
いつもお読み頂きましてありがとうございます。
ようやく少しだけモールナは現実が見えました。あれだけ両親から二度と帰って来るな、と言われていたのに理解していなかったですからね。
男爵家に養子が入った事でモールナに帰る場所は無い、という事をきちんと理解させる必要がありました。きちんと理解したのかどうか……は、神のみぞ知るということで。
でも、帰る場所が無い事を教えた上で仕返しを発動させないと仕返しにならないですからね。いつまでもお花畑思考では現実は生きられませんから。
明日は……ヒュルトユウリ視点、かな。多分ですが。




