3:魔法が存在する世界だった。
魔法が使える世界である事を書いておきたかったので、1話目の続きにしました。多分……この設定が活かされる……はず。
姉ちゃんは部屋に下がった。きっと部屋の中で号泣しているだろう。姉ちゃん付きの侍女に姉ちゃんを託す。父上と母上に抗議しても仕方ない。俺が出来る事をしなくては。
さて。王太子殿下宛に手紙を書いて風魔法で送りつける。……そう。この世界には魔法が存在している。厨二病が疼く? 疼いたが何か? だけど実際魔法を使いこなせるようになると「ククク。俺の真の姿は闇の魔法を駆使する……」的な黒歴史は、寧ろ頭から追い出される。前世のああいうのは結局のところ無い事が分かっているから憧れてやらかすのであって、実際にあって使えるとあんなやらかしはしない。
恥ずかしい、というより、使えない。
という意味で。魔法を使うには相性……所謂属性というものがある。光・闇・風・火・土・水の属性に分かれるのだから。俺は高位貴族のお陰か、属性が風と火と闇である。俺、闇属性有ったんだよね。風と火は説明せずともどういうものか分かるだろうが、じゃあ闇属性って何に使えるのかって言えば……人の影を操って身体を動かす事と人を閉じ込める事。
充分怖い? いやいや。人の影を操るって言っても影が出来ないと意味無いから。影の出来ない曇りや雨の日は無理だし、灯りの無い場所の夜も無理。これで身体だけ思い通りって言っても。よっぽど悪知恵が働かない限り意味ないし。人を閉じ込めるのも闇で囲うくらいだから。正確に言えば外からは闇で囲われているのが分かるけど、中は外の景色が分かるから闇に囲われて精神的恐怖……とか有り得ない。マジックミラーみたいな感じと言えば分かりやすいか。マジックミラーで周りを囲われて術者が解くか光属性の人が解く以外は囲いから出られないだけ。
闇属性の何に期待すれば良いのさ?
というわけで、俺は基本的に闇属性は使わない。ちなみに姉ちゃんは光属性一択だが、光属性だけあって抜群の治癒魔法の使い手。泣き虫で優しい性格の姉ちゃんらしいと思う。ただなぁ……俺もそうだけど、姉ちゃんも顔は怖い。2人して吊り目で唇が薄い所為か冷たい顔って言われてる。色合いも南極で見るような分厚い氷並みに白い髪と青と言うより藍色の目が余計に俺達を怖い人間だと思わせるらしい。
あのクズヤロウも姉ちゃんのその外見が怖い、と小さい頃から敬遠はしていた。ただ婚約者の義務として会う機会が増える度に、実は姉ちゃんが泣き虫で優しい性格なのは気付いていったはずなのに。
泣いてる姉ちゃんを見る度に駆け付けて、ハンカチを出して涙を拭っていたのに。
3歳年下である事を悩んでた事もあったくせに。
「泣き虫で年上の私ですが、ランスが好きです。一緒に居ても良いですか?」
って姉ちゃんが言ったら
「第三王子だからそのうち臣籍に降るけれど、一生ベリエを守るよ」
って誓ったくせに。また泣いた姉ちゃんの涙を姉ちゃんが一所懸命刺繍したハンカチで拭っていたくせに。それから2年で気持ちが変わっちまうなんて……とんだクズヤロウだ。
俺じゃあ姉ちゃんを一生守ってあげられないからランスベルトに託そうと思っていたのに。まさかアイツが姉ちゃんを泣かせるなんて本当に許せない。
姉ちゃんだって年上である事を悩んでいた。それでもランスベルトが好きだから勇気を出して告げた言葉を受け入れたんじゃ無かったのかよ!
次話は転生して自我が芽生えた以降の幼少期の話になります。……多分?




