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29:親子とは〜バイスルーク〜

バイスルーク視点でモールナへの仕返しについての話し合いと王妃サマ登場です。

最後がモールナというあの娘の事。正直私の中では既に“令嬢”にもならない。淑女とは程遠いのだから。婚約者の居る男に擦り寄る時点で淑女とはかけ離れている。いくらランスベルトに悪い所があっても。だがベリエは違うらしい。


「彼女も被害者なのよね」


などと優しい事を言うがベリエを傷付けた時点で私の中では既に同罪。それ相応の罰を下す必要があった。


「婚約者の居る男に擦り寄った時点で淑女とは言い難い。娼館行きで良いだろう」


私の発言にベリエが「待って!」と鋭い声を上げた。


「ルーク。それはいくらなんでも罰が重いわ」


「これくらい何とも思わないだろう」


どこが淑女だ。とんだアバズレだ。何もおかしい罰ではない。


「いやいやいや。ランスベルトとモールナ嬢とはどちらも同じ責任だ。だが娼館はさすがに行き過ぎだ。男爵家から既に除籍されている所を見るに痩せた土地の領主に据えたランスベルトと共に押し込めばいい。ランスベルトが領主の器にあるとは思わないし、きっと直ぐに困窮するだろう。だがその領地に幽閉ならば? ランスベルトには“王子”としての仕返しが決まったけれど“王子”から“臣下”に降りた後は決まって無かっただろ。痩せて開拓もされていない土地の領主に押し付けられたランスベルトをお花畑の脳みそで支える事が出来る娘とは思えないからな」


さすが兄上。文句を言われない綺麗な落とし所だ。これで文句を言うようなら陛下への反逆と見做されるな。私は兄上のその提案をヒュルトと共に了承した。取り残されたのはベリエ。ベリエが何か言いたそうだが、それを聞いてしまえば私はベリエの言う事なら何でも聞いてしまいたくなるから、聞かないことを選んだ。


話し合いが一段落したところで。

予想より早く心から嫌う女が現れた。

……義母。王妃だ。


「ハルトリッヒ。バイスルーク。あなた達は何をしているの⁉︎ そして何故ここにランスの婚約者であるベリエットと弟のヒュルトユウリが居るのかしら? 此処はハルトリッヒの執務室よ。王子の仕事の邪魔をしないで頂戴」


それを言うならあなたも邪魔をしないでください。義母。


「王妃。あなたこそ邪魔はやめてもらおう。大体何の先触れもなく私の都合も聞かずにいきなり現れる王妃こそ無礼だと思わないのですか。それとも義理とはいえ親子だから何をしても許される、なんて甘い戯言を口にするわけないですよね?」


兄上が冷え冷えとした低温の声で怒りを伝えているのに、王妃は何とも思っていないようだ。義理とはいえ母親だからといって何をしても許されるわけじゃない。その辺をこの王妃は気付いていなさそうだった。

そんなわけでルークはベリエが絡むと思考が過激で偏りがち。危険です。そして王妃サマ。あなたはもう少し親子の機微を学んで下さい。

明日はヒュルト視点です。その後王妃サマとモールナとランスの視点をヒュルト視点を入れつつ書く予定です。


お読み頂きありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

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