16:自信喪失
なかなか話が進みません……。
もう少し話を進ませたいのですけどね。すみません。
姉ちゃんが目覚めて3日。トホルスは毎日来てくれている。忙しいはずなのに。けれど何も出来ない俺たち家族にとってはトホルスの存在はありがたかった。
姉ちゃんが目覚めた事を報告した後、両親とハルトとルークがいっぺんに姉ちゃんの部屋を訪れて「まだ目覚めたばかりの患者に負担をかけない!」とトホルスが叱り飛ばしたのを見た時、ああトホルスが医者で良かった……と安堵した。そんな遣り取りを唇の端を少しだけ持ち上げるだけの微笑みしか浮かべられなかった姉ちゃんは、そのまま意識を失った。
トホルスが言うには精神的な負荷がかかり過ぎているから身体的にも負荷がかかっていて、結果身体も精神も休まらない状態になり発作的に自殺を図ったとのこと。先ずは両方を休ませるのが先決だから無理に何かをさせないように、とのことだった。それから3日。
トホルスは姉ちゃんの容体を診てくれているが、姉ちゃんは起きているより眠っている方が多く、起きても食欲が湧かないようでお茶や白湯で水分を取るのがやっとという状態。栄養も取れないし食べないから体力もない。目に見えて衰えているわけではないけれどこのままの状態が続いていけばその先は自ずと知れる。結局消極的な自殺になってしまう。
どうすれば生きる気力が湧いてくれるのか。俺は密かに頭を悩ませていた。また眠っている姉ちゃんを横目に見ながら俺は診察を終えたトホルスに声を掛けた。
「トホルス」
「なんだ」
「どうしたら姉ちゃんは生きる気力が湧いてくるかな。白湯やお茶だけじゃあ姉ちゃんは良くならない」
「何も食べていないのか?」
「全然」
「……困ったな。俺も友人を失いたくない。それにベリエは貴重な光魔法の使い手だ。その治癒魔法に助けられている者も多い。ベリエがその事を思い出してくれればなぁ」
トホルスが姉ちゃんを痛ましげに見ながらそっと呟く。
「多分、姉ちゃんの事だから頼られているって思ってないと思う。前世の話をしただろ? 姉ちゃんは自信を失っているんだ。前世の母親がアレで好きになった男に蔑ろにされたまま俺と一緒に死んだ。生まれ変わってもまた男に蔑ろにされたから姉ちゃんの自信は無いんだよな」
俺は大きく溜め息をついた。
「そうか。自信、か」
トホルスは何かを考えたまま帰っていった。その翌日起きた姉ちゃんは相変わらず食欲が湧かないようでお茶をゆっくり時間をかけて飲み干すとまた頭が枕に沈んでいた。そんな日々が続き目覚めてから1週間を超えた頃から、姉ちゃんの身体が徐々に徐々に痩せていった。
話の展開がのんびりですみません。
もう少しお付き合いを願います。
次話もヒュルトユウリ視点です。18話か19話までヒュルトユウリ視点で、19話か20話辺りにトホルス視点の予定です。




