ボンボル品評会Ⅲ②
作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。
弘人「そういえば、進路の話は大丈夫だったの?」
村越「なんとかなりましたよ。最初は東大に行けとうるさかったんですよ。」
弘人「東大!?村越ってそんなにかしこかったっけ?」
村越「そんなわけないじゃないですか。模試のE判定を叩きつけてやりましたよ。」
弘人「(勝ち誇るとこなのかそれは?)」
村越「新潟のことをもっと知りたいと嘘をつき、新潟で1番の大学に行くことでなんとか手を
うってもらいましたよ。」
東大から比べるとレベルは落ちるが、それでも僕には到底手の届かないところだろう。
同じレベルでドルオタをやっていて、学業との両立ができているあたりやっぱり村越はやり手だ。
村越「近澤くんはどうだったんですか?今朝から変な空気を醸し出していて、ツバサちゃんの新曲談義ができなかったではありませんか。」
弘人「あはは、ごめんごめん。こっちはまだ話せてないや。」
昨日の出来事から僕の考えは揺らいでる。
本当に東京の大学に行きたいのだろうか?
心優と一緒に新潟に残るべきなのか?
グルグルと頭のなかで思考が巡る。
こんな状態で親に話したところで本当の正解にたどり着けるとは到底思えない。
心優「着いたよー。」
思考のマラソン大会は、心優の一言によって中断となった。
弘人「いってらっしゃい。」
村越「よろしくお願い致します!」
心優「うん。いってきまーす。」
心優はコンビニの自動ドアに吸い込まれていく。
隣で村越は念仏を唱えている。
村越「お米はたくさん。もうたくさん。お米はたくさん。もうたくさん。……。」
今のところ、今月のボンボルの新商品はすべてお米に関連したものだ。
お米農家による米騒動が絶賛進行中なのである。
ボンボル次期社長としては、なんとしてでもお米シリーズからの脱却をお願いしたいところだろう。
おさらいをすると、
まずはうるち米を使ったお煎餅。まぁこれは全然あり。
香ばしいお米の香りが食欲を刺激する素晴らしい逸品だと思う。
次にお米タブレット。ここらへんから雲行きが一気に怪しくなってくる。しかもまずい。
お米の粒をメンソールコーティングしたものが美味しいわけがない。
最後はお米サンドイッチ。
もはや無理やり結ばれた日米修好通商条約のようなもの。お米とパンが仲良く喧嘩している。
ここまでくるともうお菓子への冒涜といっても過言ではない。いや最後はお菓子でもないか。
ボンボルはいち早く、おそらく本社1階を占拠しているだろうお米農家達をどうにかしないといけない。
ボンボルの将来を心配していると、コンビニの店内からかすか女の子の泣き声が聞こえた。
弘人「!? 村越、いま声が。」
村越「はい。たしかに聞こえましたぞ。あれはおそらく……。」
弘人「心優の声だ!」
僕たち二人はコンビニの入口に向かって走り出した。
それと同時に自動ドアが開き、中から泣いている心優が飛び出してきた。
僕は心優の身体を受け止める。
弘人「心優!どうしたの?大丈夫?」
すんすんと心優が僕の腕の中で泣いている。注意深く心優を観察するが目立った外傷は特にない。
ただ1つ違和感をあげるとすると、心優が持っている商品が入ったビニール袋が妙に温かい。
心優「うぅぅ……、弘人くんありがとう。とうとう……夢が叶ったよ。」
弘人「夢? 心優の夢?」
心優「ううん。全人類のだよ。」
いきなりスケールの大きいことを言い放った。
心優がこういうことを言うのは、よっぽどご機嫌なときだけだ。
まぁこの状況で心優がご機嫌なのは非常に嫌な予感がする。
でも何かされたわけじゃなくて良かった。
ホッとして緊張がとけた途端に、今のこの状況を冷静に俯瞰することができた。
いまもしかして僕、心優と抱き合っている!?
一瞬で耳まで真っ赤になるのを、自分でもわかった。
こんなところ誰かに見られたら……。
村越「あ、あ、あ、そ、そ、それは……!?」
急に村越の声がして心臓が口から飛び出しそうになった。
心優を心配するあまり、さっきまで話していた村越の存在をすっかり忘れていた。
弘人「い、いや!!これは心優が急に飛び込んできただけで!!」
村越「そんなことはわかっているでござる!!それよりパイン様が持っているそれは!?」
弘人「え?」
さっきまで泣いてた心優が、ふっふっふ と不敵な笑い声をあげている。
心優「ふっふっふ!よくぞ聞いてくれたね!これは――! あ、弘人くん。もう離してくれて大丈夫だよ?」
弘人「あ、ごめんなさい。」
村越「で、それは一体なんなんでござるか!?」
心優「そうこれは!じゃーーん!!」
心優「The お米 だよ!!!」
弘人&村越「The お米ぇぇぇぇぇぇぇ!?」




