購読漆日目 前編/チャンバラへの経緯(いきさつ)
「ななにちめ」です。
買えた買えたっ!
「『番長クラクション』のキャラクターソング集……!」
星花女子学園中等部に入学して二回目の週末の今日は、前もって店頭予約しておいたアニソンのCDを受け取りに、空の宮市北部に建つ大型ショッピングモールにやって来ていた。
「CDも手に入ったことだし、次は……ザワメ堂のフルーツオレを堪能しに……!」
そんな風に、意気揚々とフードコートに向かおうとしていたそのとき。
「おい、どうしてくれんだよおい。オレのジャケット、お前らのジュースで汚れちまったじゃねぇか。弁償しろよおい。おいおい請求すっから、メルアド教えろよおい」
「え、あの、そっちがぶつかって……」
「こわ……」
女子高生らしき二人組が、何人かの男達に詰め寄られている場面に遭遇した。
「イイじゃんイイじゃんゆっちー。コイツら明らかに金無さそうだし、弁償なんてできっこないって。……それよりもさぁ……結構イイ体してんじゃん。オイラ達とちょっと遊んでくれたら、チャラにするよ~。イイ話じゃん?」
「コースケ、ゆっちー、その辺にしとけ。そんなことしたら犯罪になるだろ。コイツらの親に示談持ちかける方が、よっぽど真っ当だぞ」
「お、親……!?」
「じだんって、何……?」
「ちょっと! ふざけないでよ!」
「なんだよ?」
「ん?」
「どうした、娘」
あ、やば……つい我慢できなくて、突っかかっちゃった……。
「イイ体してんじゃん? なに、コイツらのお友達?」
「そ、そんなんじゃないけど……」
「俺達は二人と話し合いをしている。第三者の介入は、混乱を招く。下がれ」
「おいおい。つか、関係ねぇ奴は引っ込んでろよおい!」
「ひっ……!」
赤いジャケットにシミをつけた男が、アタシに殴りかかってきた。思わずアタシは情けない声を上げてしまい、身をすくめる。
「ごばっ!?」
すると、ファーストフード店のカップが飛んできて、男の顔面にコーヒーのらしき液体がぶちまけられた。
「熱っ熱っ!」
「なんだ……?」
アタシ達がカップの飛んできた方へ振り向くと、黄土色のジャンパーを纏った年上らしき女性が、今まさに歩み寄ってきていた。
「ちょっとなによこれ。主役の登場を盛り上げ過ぎじゃない?」
「……イイことしてくれんじゃん? アンタ誰?」
「私? 私は……通りすがりの浪人生よ!」
茶色がかったショートヘアの女性は、このショッピングモールのポイントカードを右手で構えながら、まるで自慢するかのように叫んだ。
次回、主役そっちのけでチャンバラコンバット。




