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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
99/202

番外ネキ 奴隷商潜入調査編(中)

 前回のあらすじ



 ママァーーーッ!



 ……え? トンガリ違いナリか?



 ――――



 ――タマたちが運ばれている間の王城執務室――


 今日も認可の書類に判子を押すリレー作業の最中、


「しっかし、お前のあんな作戦で本当に上手くいくもんかねぇ……?」


「へーきへーき。そういや機会が無かったからダイモンにも言ってなかったな」


「なんじゃ? 手は止めるなよ」


「やたら強くて綺麗だったり格好良かったり可愛かったりする人間じゃない奴は、とんでもない怪物の可能性が凄く高い」


「根拠は?」


「吾輩の経験……かな。昔炎竜(グランド・)(フレイムドラゴン)が城に来て吾輩攫われた事件覚えてる?」


「ワシ含め皆お前の葬式挙げようと準備してたらしれっとお前無傷で生還してたやつな」


「そうそれ」


「えーと、確かお前を攫った理由が“人の王なら多少の知恵も有るだろう?”とかで炎竜王の娘が人化の術で魔力消費過多が原因の魔力風邪だったやつじゃろ? いい迷惑じゃて」


「まー吾輩も奴の気持ちは理解できるわな。吾輩とて愛娘が原因不明の病になったら慌てるわ。なまじ竜種は病気なんてまずかかんねーしな。娘が幼くて魔力の制御が不安定且つ、人化で能力下がってたのもあったんだろうね。 人と同じで安静にして栄養取ってたっぷり寝たら治るって適当に言ったら本当に治って良かったわ!」


「お前炎王竜相手に適当過ぎん?」


「いやー、どうにもならんもんはならん。人化してるなら吾輩らと大して変わらんのでは? って思ってやったら大正解よ! 内心冷や汗だくだくだったわい。 わーはは!」


「はぁー……豪胆なんだか適当なんだか……」


「んでな? そのままのデカさじゃ話がしにくいって言ったら人化してくれたし割と話通じる奴だったよ? “私の娘は若くして人化を覚えることができた! どうだ凄いことであろう?” なんて言ってたし親バカは人でも竜でも変わんねーのな。って思っても言わなかった吾輩褒めて?」


「死にたけりゃ言えば良かったじゃん(鼻ホジ)」


「吾輩まだ死にたくねーし」


「んで、その炎竜王とタマ君の関係性は?」


「あ、そうだったね。 じゃあ簡潔に言おうか。 炎竜王と魔王とタマちゃんは雰囲気というかあり方がなんか似てるんだよ。なんつーか、強者特有の余裕があるオーラとかな、逆鱗に触れない限りは怒らない感じが」


「はあ?」


「まー取り敢えず自分より強そうってのは解るでしょ?」


「炎竜は勿論、魔王も同じく、まぁ……タマ君は紙でも千切るようにアダマント鋼の首輪千切ったなぁ……怪力なんてもんじゃないぞありゃ」


「そこで相手がどのくらい強いのか? なんて測ろうとしたら駄目やぞダイモン。強いのを理解したうえで媚びずにある程度対等に話をすることがポイントね。炎竜王も魔王も吾輩の立場解ってるうえで話してくれるし、媚びすぎると寧ろ機嫌を損ねるぞい」


「普段からそれくらい賢い振舞いしてくれればなあ……ワシたちも楽なんじゃが」



「それはむーりー。 で、吾輩の経験則でタマちゃんのことを言うなら“気のいい隣人”だ、あの娘は。こっちが嘘つかなきゃいいタイプだよ」

 

「許されない嘘を吐いたら?」


「……(ぐえー)」


 親指を首に当て、無言のまま勢いよく横へと掻き切る動作で持ってダイモンの問に応えるアイダホ。


「……ま、吾輩の憶測だからわかんねぇけどな」


「お前の直感は当たり過ぎるんだよなぁ……」


「まぁ、タマちゃんには個別で説明したしポティカスの野郎とっちめてくれるでしょ」


「“生死は問わない”とか言っといてとっちめるって言うかぁ?」


「だってダイモンよー、あの馬鹿ちん貴族吾輩がそれとな〜く何回も注意してやめてね?っつてんのに今年もやったかんな。もう許さねー。ヨシヒコちゃんに頼めたから吾輩行かなくていいけど、居なかったら吾輩が直接首落としに向かってるくらい怒ってるかんな?」


「仕事が滞るから彼に頼んだんじゃろうが。タマ君のおまけは想定外だったから、ま、ダメ押しじゃな」


「今頃ポティ野郎ん所についてる頃かなー。付近の村に騎士団駐屯させてるし騒ぎ起こしてくれればすぐ様乗り込めるし」


「それは後でわかることじゃ。 ほれ、手が止まっとるぞ」


「止まってるんじゃなくて全部判子押して終わったんだよ」


「そうか、なら次のがあるわい(ニッコリ)」


 ダイモンがとてもにこやかな笑みを浮かべながら綺麗になったアイダホの机へと書類を嬉嬉として積む。


「ほげーっ!? まだあんの!?」


「サボりよるからな。当然じゃ」


「ダイモンの鬼! 鬼畜! ゴブリン!」


「よーーーし。 もう一山追加な。 なんたってワシ鬼で鬼畜でゴブリンじゃからなぁ?」


「ヒィーーーーー!」




 今日も執務室の外まで聞こえる王の悲鳴。


 付近を掃除しているメイドや巡回兵はお互い顔を見合わせてやれやれ……仕事サボってまた大臣に絞られてるのか と、お互い苦笑いをした。




 ――――





 ――所変わりポティカス卿の別荘地――


 別荘地と聞けば夏休みや長い休暇で利用する湖が近くにあるお洒落で涼しそうな建物─ が、イメージにありそうだが、全く持ってそんなことは無く、深い渓谷に囲まれた侵入経路は建物正門から続く石橋のみ。

 となる半ば天然の要塞のような地形に建てられたこれまた砦のような建物─それがポティカス卿の別荘地である。



 否、別荘地と言うよりは違法購入した奴隷を更に高い値段で他国に流すまでの間奴隷を逃がさないための隔離施設。 の方が正しいであろう。



 裏マーケットで購入の後、一足早く別荘に着いていたポティカスは再度“商品”の状態を確かめるべく地下牢へと足を運ぶ。


「ぬホッ。 昨日買った“商品”は閉じ込めてありますか?」


「ハッ! 特に抵抗する素振りなく大人しく二人とも同じ檻に入れております!」


「大人しくてそれは結構結構。ぬホホホ、結構な高い買い物でしたからねえ……確か珍しい鬼人種の“姉妹”を欲しがっているお得意様が居ましたし、とても良い値で売れるでしょうなぁ……おや、二人とも疲れて寝ているのですか。まぁ、私の専用馬車以外は揺れてしょうが無いですからねぇ〜、起き次第反抗は無駄なことを伝えて、それでも暴れるようなら“命令”で黙らせなさい」


「ハッ! 了解しました!」


「それでは後は任せましたよ? ぬ〜ホホホホ……」



 何処からが顎で何処からが首か分からない顎をさすりながら独特の笑い声でポティ卿は地上の自身の部屋へと戻っていった。


 寝ていると思われていたタマたちだが、ヨシヒコは疲れて寝たフリで、タマの方は、割と本当に寝ていた。


 一見寄り添って寝ているようだが、実は単にタマの謎の鼻提灯が出ないようヨシヒコがキュッとタマの鼻を摘んでいただけである。


「……摘まれても起きないんですねタマさん……」


「フゴッ……zzz」



 余談ではあるが、この後出される飯が水とパンと薄いスープだけでタマが怒って暴れそうになるのをヨシヒコがなだめることとなる。


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