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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
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番外ネキ 自販機の温冷表示みてーな奴(後編)

 前回のあらすじ


 この作品美少女<酒飲み ばっかだな?


 ――――


 よく性別を間違えられる勇者視点の話。



 夜、貸していただいた部屋にて日課の剣の素振りをこなしていると、

「あのバカを探してくれ」とダイモンさんにお願いされ、断る理由も無かったので快く受けアイダホさんを迎えに「多分いつもの所だろう」と教えられた場所へと僕は向かう。


 ─だけど、僕が見た光景は驚きの光景。


 この間存在を確認したタマという転生者の人がアイダホさんの首根っこを掴み雑に引き摺って何処かに連れていこうとしていたのだ。


 僕はこの世界に生まれてからなんとなく人の善悪が解る。

 でも、何となくでしかないので希に間違えたりもする。綺麗に狂っていたりした人もたくさん居た。

 自身の生まれの国を変えるのに苦労した。 アイダホさんには返しきれないほどの恩がある。


 特に怪我はしていないようであったが、警戒は解かず彼女の能力を鑑定しながら近寄り、もしもの戦闘に備える。


 ――


 name タマ(ハ)


 種族 鉄人


 ATK やばぁ〜い


 DEF おかし〜い


 VIT すご〜い


 INT ふつ〜う


 MGR きかな〜い


 AGL そこそ〜こ


 LUK まあま〜あ


 スキル・超鋼体術

 ――



 ……ゑ?


 あまりの意味不明さに表記を疑うが、何度試しても同じ結果になってしまう。能力値がアルファベット以外で表示されるのは見たことが無い。


 前回の時と明らかに違っている。

 ……前回も大概だったけど。


 焦りを表面に出さず、能力値の件に関しては放棄することにして、気を取り直し彼女の唯一のスキル“超鋼体術”を鑑定に掛ける。


 ――


 超鋼体術


 鉄人が独自に研鑽(遊び)して編み出した他人には模倣不可能の唯一無二の体術。


 大前提として彼女のボディスペックありきのスキルなので他者が摸倣した場合ただの喧嘩殺法となる。


 大層なスキル名となっているが本当にただの喧嘩殺法である。


 ――


 ……えぇ?


 喧嘩……殺法?


 前回は彼女の大雑把な能力値だけ鑑定したが、スキルの詳細を見て更に僕は困惑した。


 内心結構な驚きであるが、何とか押し込め彼女に威嚇目的で多少の殺気を込めて問を掛ける。


「その人を……どうするつもりですか!」


「おん? アンタの家族か?だったら返し─


 彼女が何か言いかけたが、「た、たぁー助けて〜wヨシコやぁ〜いwww吾輩攫われちゃーうwww」


 アイダホさんからの口から“攫われる”の単語が聞こえた瞬間、僕は咄嗟に判断を切り替え彼女を無力化してから話を聞く方法を取った。



 先ずはアイダホさんを掴んでいる腕ごと切り落として彼を救出、彼女から引き離して安全を確保した(のち)負傷している彼女が戦意を喪失しているなら良し、失っていないようならさせるまで。

 と、僕は腰のダガーを抜き、彼女へと斬りかかる。


 だけど展開は僕が想像していたものとは全く違う展開へと転んだ。


 ヨシヒコが “切った” 手応えに違和感を感じた瞬間、魔法で刀身を強化していたミスリルのダガー小枝の様に根元から折れ、しばらく回転しながら宙を舞ったソレは、アイダホさんの臀部、プスリとお尻に落下。


「おっほォう!?」


「あっ!? ごめんなさい!」


「なーにコントやってんだこの親子。嬢ちゃんよ、こんだけ余裕の無い行動するってこたァこのじーさん身内かなんかだろ? 丁度いいから返すわ」



 彼女はそう言うとアイダホさんを離し、数歩下がった。

 未だ自体が飲み込めていないが先ずはアイダホさんの安否を優先することにした。


「アーウィンさん! お怪我はありませんか!」


「し……」


「し?」


「尻が……」


「あぁ……はい……」


 アイダホさんのお尻を〔治癒(ヒール)〕で癒す間も、彼女はこちらを見ているだけで行動を起こそうとしない。

 治し終えたのを確認したのか、彼女は


「んじゃ、俺は帰るわ。ったく……次からは変な所で寝るんじゃねーぞ?」


 そう言って踵を返す。


「あの……待ってください!」



「……あ? なんだ?」


「この人を攫おうとしてたのでは……?」


「なーに言ってんだお前、酔っぱらいじーさんの戯れ言に決まってんだろーよ。嘘だと思うなら聞けよソイツに」


 ……もしかして僕はやってしまったのだろうか? ゆっくりと振り向き、アイダホさんの方へと顔を向ける。


「ごめーんヨシコちゃん。今バッチリ酔いが消えたけど吾輩さっきまでベロンベロンだったわい! うん。完全に吾輩の冗談だねー」


 両手を合わせて気軽に謝罪しているアイダホさんからゆっくりとタマさんに視線を戻す。

 今の僕からはさぞ嫌な汗が出ているであろう。


「な? 言ったべ? 俺はほっぽるのも可哀想だから衛兵にでも投げちゃろーとじーさん運んでただけなンだよ」


 ……やってしまった。


 完全に僕の早とちりだ……ろくに話も聞かずに彼女に斬りかかってしまった僕を時間を戻して止めたい。

 どうしよう、きっと彼女はいきなり攻撃されて怒ってるだろうか?

 どうしようかと思考していると、彼女は軽いため息と共に


「……その顔だとやっちまってどーすっかなー、って感じだろ? 別にどうもしねぇし怒ってもいねぇよ。ま、びっくりはしたがな。……用事は済んだか? 済んだな。じゃあ俺は楽しみがあるんでもう呼び止めんなよ。 止められても聞こえねーからなー……」


 そう言って足早に去っていってしまった……


「よっこいしょっ……と。さ、ヨシコちゃんが来たってことはダイモンのお使いじゃろ? それじゃー城に戻って渋々頑張るかぁ……」


「渋々って……」



「ところで吾輩シラフに戻ったらさすがにあのねーちゃんに迷惑かけたなって思ってきた次第」


「僕もですけど結構な迷惑かけてかけたと思いますよ……酔い潰れていたアーウィンさん心配して運んでくれてただけみたいでしたし……」


「じゃあ後日城呼んで謝るか! ついでに仲良くなれば絶対得するって吾輩の本能が言ってるし」


「えぇ……? 本能はとにかく僕も彼女に謝りたいです……今は急いでる様子でしたし」


「とりあえずは城に戻ろうぜ! 早く戻らないとダイモンに焼かれちゃう!」


「あ! ちょ……」


 ダッシュで城へと戻るアイダホさんを僕も駆け足で追う。


 斬り掛かられても尚優先される彼女が言っていた楽しみが少しだけ気になりつつも、僕はアイダホさんを追ってその場を後にした。



 ――――


「マスター、やってる?」


「……やってるよ」



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