61ネキ タマ、まっしぐら
前回のあらすじ
激昂。
パチ屋ならキュインキュインキュインキュイン! とか音がなって激アツ演出。
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「ぐわあぁぁ! なんだこの地震の音は!?」
「故障したゴーレムからの統計により、対象の咆哮によるものだと判明! 予備配置のゴーレム、新規稼働させます!」
「なんて声出しやがるんだあの女……ダンジョン内のゴーレムが負荷で壊れるとかおかしいよ!」
「不幸中の幸いですよマスター。ゴーレムがそのまま拾った音声をこの部屋に伝えていたら今頃マスターはロッミミヂに名前が変わってたと思います」
「語呂が悪ぅい! ……で、近寄ったゴーレムが、壊れる理由は解ったか?」
「はい。 ゴーレムを2機以上同時にけしかけて判明しました。……信じ難いでしょうが真実です。対象、目から光線を放つ模様」
「……ホワイ? は? 光線って言うと、目からビーム?」
「YES。対象の目から一瞬、他のゴーレムに向かって光の線が確認できました。スーパースローでご確認ください。尚、映像を撮ったゴーレムもこの映像の直後破壊された模様。
小型の監視ゴーレムを送るのは中止にし、ダンジョン内定点カメラとソナーマップにて現在地投写します」
カメラ映像とは別に大まかな間取りで映された地図にタマの位置が赤い点で表示される。
「……本当にスローで見るとビーム撃ってやがる……ゴーレムに穴が開くっておかしいだろ……」
「解析、完了。対象の攻撃は熱照射と断定。 被弾したゴーレムを此処に転送して確認しました。……これは“溶けた”と言うより“燃えて消し飛ばされた”が正しい表現ですね」
「蒸発ってこと?」
「概ねその解釈で正解です。そして対象、現在は迷路の壁を殴打で破壊し一直線に進行中。偶然か解りませんがこのまま進めば第5階層へと繋がる道にたどり着きます」
「ダンジョンの壁は壊れないルールだからダンジョンが成り立つんだぞぉ!? コイツ本当に生き物なのかぁ!?」
「第5階層は中ボス部屋でしたっけ?」
「あ、うん。中ボスって言ってもアダマント・ギガントっていうゴーレムで15mはあるから某機動戦士に近い大きさがあるよ。そんで、室内の定点カメラとリンクして死角なし、魔力路も足裏から受け取って稼働する方式に作ったんだよね。平たく言うと電車みたいな。 で、電源が外付けできる分、燃費度外視の超高機動型でアダマントの重厚な体躯も相まって無理ゲー感満載に作った! ……作ったんだけど、も!」
「真っ向からの力比べで勝って足払いで倒された後、野球の投球フォームのような動作でアダマントギガント、切削されてバラバラにされました。物理的に稼働不可能です。 ……マイクから “ガオン! ガオン!” と金属らしからぬ音が聴こえてきますが、どういう原理なんですかね?」
「こっちが聞きたいよぉ! 外部電源のアダマントギガントに正面から勝つってなんだアレ! 自分で作っててなんだけどね、あんなの(ギガント)自分でも無理ゲーだっつの!」
「対象、ギガントを撃破して第6に向かおうとしてます」
「もうダメだァ……おしまいだぁ……いや、待てよこの先には転移トラップ陣が敷いてある! 勝つる! 勝つるぞ!?」
「対象、下り階段手前の陣に乗りました」
「おっしゃ! 起動っと! ポチー」
─ドォン!
ダンジョンが、激しく揺れた。
「おわっ!?」
タマの足元が淡く輝き、陣が浮かび上がり、起動しようとした瞬間。
タマの震脚が炸裂、陣は床ごと砕かれ、機能不全で停止。
「転移トラップ、踏み砕かれ、不発。
あ、マスター先程の震動で今、立たれた椅子に座ると……」
ブスリ♂
カマリエラが適当に立て掛けていた槍が震動で動き、偶然ロッジの菊門へと吸い込まれる。
「アッー!?」
「ですから忠告しましたのに……あーあー、お尻が真っ赤じゃないですか」
「後少しでもズレてたら切れ痔待ったナシだったよ!? こんな所に槍が置いとかないでよぉ!」
「鮮ケツのマスター、ロッ痔……プスッ……」
「おっま!?」
「マスター、痔になってる場合ではありませんよ。残すは第6とボスルームとマイルームの2つがある第7です」
「ギガントが負ける道理は無いから第6は適当に一本道で16枚式特殊多重対魔力対物理電磁多重防壁、長いから纏めるとAT(転生者)フィールド張ってるんだよね。
道に結界張りまくっちゃ駄目なんてルール無いし、16枚もの複合結界だから僕でも触ったら死ぬし……」
「あの……マスター……ご覧ください」
ガキィ! バギ……バキバキバキバキ……バギャァーーン!
「AT(転生者)フィールドとやら、こじ開けられました」
「うん。見てる。定点カメラ置いてあって良かったね。(白目泡吹き) あばばば怖い、怖すぎる……周りの空気歪んでますやん」
定点カメラに映る姿は付着していた汚物や卵は熱により乾燥し、いつの間にか剥がれ落ちて、付着物が取れた髪は重しが無くなったことでタマの身体から出る熱の気流により騒めき。
顔は謎の現象で光が届かず。
真っ黒であるはずなのだが、紅く煌々と光る瞳、熱が時折吹き出す半開きの口だけははハッキリとカメラに映っていた。
「ままままままマスター、こ、この方は駄目です、今からでも土下座して許してもらいましょう(ガクブル)」
「そそそそそうだねねねね、い、今からでも謝ればなななんとかなるは……」
「(ボソリ)そろそろ近い気がすんぞぉ……見ィつけたら、尻から空気送り込んで破裂させてやっから覚悟しとけやぁ……」
「「……」」
モニターから聴こえてきた音声に無言で顔を見合わせる二人。
「破裂してもマスターはマスターですから、ね?」
「ほぎゃあぁぁぁ!? なんで!? なんで尻から!?」
ポン。とロッジの肩に手を置いて慈愛に満ちた表情でマリエが一言。
「お悔やみ申し上げます。マスター」
「まだ僕は死んでないィィィィ!」
ロッジが戦々恐々とする最中、扉に手を掛けようとしたタマの姿が一瞬にして消えた。
その様子を定点カメラで見ていたロッジは、一瞬何が起こったのか解らずキョトンとする。
「……は?」
「多分、私がマスター用に設置した落し穴に落ちたかと推測します。ええ、ストン。と」
「えぇー……」
タマ。 ここに来て落し穴に掛かる。
タマの安否は如何に。




