35ネキ おじさんたちなにしてるん?
前回のあらすじ
はじめてのたのしかっただんじょん(こなみ)
ただしラトローおじさんにはストレス
――――
現在は別の日、 ギルド内。
マリーさんが仕事してるようなので、タマは空いている他の受付嬢の所に向かっていき、受付嬢に話しかける。
「ちわーす」
「はい。どうもこんにちは」
「そういえばいつもマリーさんとこばっかだからおねーさんとこ初めてやね。名前を聞いても?」
「はい、構いませんよ。私の名前はサフランと申します。フラン、でいいですよ? いつも隣から拝見していましたが、物凄く女性らしくないのに、とてもお綺麗で女性らしい不思議な方ですね」
「そう? まー俺は俺だからねー」
貶されてるのか褒められてるのかわかんないなこりゃ。
さして気にすることではないけど。
えーと、フランさんだっけ? おっとり系なマリーさんとは違ってフランさんは眠そうな半目所謂ジト目系のショートカット美人ですね。
こう、俺は御免こうむるが喜んで踏まれに来る人が来そうな感じ。
俺の独断と偏見なので実際は解らんが。
「いつも同じテーブルで酒飲んでるおっちゃんたちが居ないけど、どっか行った?」
「はい。あの飲んだく……ペドロさんたちは珍しくお仕事、ええ、本当に珍しくお仕事しに東の森に行きましたよ」
「へー……あれ? あのおっさんたち結構ランク高かったよな? 東の森は大して魔物出ないんじゃないの?」
(オーガーで驚かれるんだしな)
「ええ、仰る通りです。東の森はゴブリンや単独ウルフ系、偶にポークオークが出る程度の比較的安全な森ですからね。」
「じゃあなんで? おっさんたちが受けられる仕事ないじゃん」
ギルドに遊びに来た時に聞いた話なんだけど、基本的に低ランクが危険な依頼できないように、高ランクは逆に、雑魚狩り受けられないんだってさ。
高ランクが楽して低ランクの仕事根こそぎ奪った前例があるらしく、1ランク下のやつ以外はダメらしい。
もちろん基本的、な話なので前回のラトローおじさんのような初心者の付き添いとかは許可されるとかなんとか。
「それがですね、タマさんが東の森でオーガーに出会ったじゃないですか?」
「居たね」
そういえば居たな、なんでか。会った本人なのに忘れてたわよ。
「今度は三体も目撃情報が有りまして、今朝緊急で出ていったところですよ。タマさんの件で念のため調査隊送っていたみたいですが正解だったみたいですね、発見が遅れていたら間違いなく新人さんで死人が出てましたよ」
「そんなに居たのか」
「いえ。本来は1個体も居ないのが普通なので今回は異常です。ですから、そのための調査隊で、当たりだったわけです」
「そうだったのね。教えてくれてありがとう」
「いえ。私も噂の貴女とお話しできて良かったですよ」
「そりゃどうも。……噂?」
「公園でよくお昼寝してらっしゃるとか」
「え? まぁ、よく寝てるけど」
「最近では見守る会なども発足……おっとこれは本人には秘密らしいですねすみません口が滑りました。今のは聞かなかったことにお願いします」
「えっ」
「〜♪」
ふいっと明後日の方向を向いて口笛を吹いているフランさん。
随分古典的なことしますね……おっさんだと胡散臭いだけだけど美人がするとあざといよね。 可愛いからまあ良いか。
「聞かなかったことにするさ」
「助かります」
に、しても見守る会ねぇ……人が気持ちよく寝てるところ見て楽しいんじゃろか? 俺としては邪魔されなければ何でもいいけど。
俺の大切なお昼寝タイムを必要な用件以外で起こす奴はどんな奴でも許さん、 首だけ残して埋めて周りに鳥の餌撒いちゃる。
鳩つーか鳩。名前がたしかポッポーっていう鳥らしいけど、どう見ても鳩なんで鳩でいいだろあいつら。
「タマさん、精算終わりましたよ」
おっと、話してる間に終わってたみたいね。
「それじゃー帰るか。あ、フランさんありがとうね」
「仕事ですのでお気になさらず」
そしてギルドを出る。
もう夕暮れ時だし、特に用事もないので宿帰って飯風呂就寝だけどな!
普段も昼間から寝てるのによく夜も寝られるなって?
寝る子は育つからいいんだよ。細かいこと気にしてると禿げるぞ。
鼻歌混じりに機嫌よくタマが帰ってしばらくすると─
「フラン! タマさんは!?」
「さっき帰っていった」
「ぬわわーーーーーっ!?」
「……マリー。そんなにショック?」
「そんなに。私の楽園……」
「機会があれば少しだけ髪束貰えば?」
「貴女天才!?」
一方、東の森にて。
静かな夕暮れの森に魔物の雄叫びと冒険者の指示が飛び交う。
「ペドロ、1匹は仕留めたぞ! 調子は大丈夫か!?」
声をかけたのは杖を持った男。
「久しぶりの仕事だが問題ねーよ。って言うかこっちに増援に来いよオロロソ!」
対するは長剣を担でいる男。
「おっとすまん、先に3人で1匹仕留めてきた。そして元気そうだな、残りもいつもと同じ手順で片付けるぞ! 俺が目をやるから頼む!」
「おうさ! 後の1匹の方はどうなってる?」
「奴はフィノとアモンテの2人が引き離してるから余裕だ」
「おーし。 じゃあさっさと片付けて1杯やらなきゃな!」
「俺たちはいつでも飲んでるだろ?」
「わはは! そうだったな」
特にお互い合図するわけでもなく、2人は目の前に居るオーガーに向かって駆ける。
「ガオオォォ!」
威嚇するかのように2人に対して咆哮するオーガーだが、それを意に介さず2人は突っ込む。
威嚇が効かないと判断したオーガーは、敵を一撃の下に叩き潰さんと拳を大きく振り上げる、が。次の瞬間、1人の男から指向性の強烈な閃光が放たれ、モロにソレを視界に入れてしまったオーガーは堪らず硬直してしまい反射で目を閉じてしまった。
ほんの一瞬の出来事だったが、もう1人の男が懐に入り込みそのまま流れるようにオーガーの足首の腱を切り裂き、それと同時にその場から離脱も行う。
「ガァッ!?」
「うひー、やっぱり硬いねえ。剣だけに腱切るの大変だよ」
「冗談言ってないで畳み掛けるぞ! 後つまらん!〔爆炎弾 〕!」
杖を持った男が感想と共に魔法を打ち出す。
魔法はオーガーの足元に着弾し、爆音と同時に地面を抉り体勢を崩させる。
「ガオ!?」
目くらましからの自身の脚に痛み、更に踏ん張りが利かなくなっている時に崩れる足場。
為す術もなく、一間置いて自身が倒れたのだと魔物は知る。
知ると同時に自身の喉元に剣が突き立てられ咄嗟に反撃に出るが既に刺した者はそこに居らず、すぐ様喉元から噴き出る大量の血液のせいで立ち上がろうにも、力が入らず片膝辺りを立てるも失血が致死量を超え、そのまま力尽き地面に倒れ込んでしまう。
「おーし、一丁上がり。いやーオーガー君は真っ直ぐ来るから楽よね」
「そうだな。後1匹も同じ手順で行くが剣は持つか?」
「何とか。でもこれ終わったら研ぎに出さなきゃね……はーオーガーの皮膚は硬くてヤダヤダ」
「……タマちゃん連れてくれば良かったか?」
「それだ! 絶対もっと楽できたじゃん!?」
「まあ、俺たちが全員腕相撲で一回転したほどだからな……」
「クッソー! 勝ったらおっぱい触らせてくれるって言ったのに! 詐欺じゃん詐欺!」
「……許容した彼女も彼女だが頼んだお前も大概だと思うぞ?」
「うっせー! お前触らしてもらっただろ!? ラッキー野郎には発言権は無いのです! ついでに仕事の報酬も没収だ没収!」
「……アレは悪酔いしたお前が突き飛ばしたから起こった事故だ。彼女は笑って許してくれたが……確かに凄かったな。反射的に掴んでしまったが、いやはや掴みきれんとは」
「むっきいいいいいいい!! お前だけいい思いしやがって! 帰ったらヤケ酒だ畜生!」
「……日頃の行いだな……マリー嬢ちゃんにしばかれない程度に飲めよ?」
「あっハイ」
「……此処の女性は強いからな。新人のタマちゃんといい」
「そうねー。受付の子たちもそうだしノーンちゃんがヤバい」
「所長と同じか、それ以上かもしれないしな」
「うへぇ、この話は止め止め。早くフィノたちん所行こうぜ」
「そうだな、倒したオーガーは調査隊が運ぶだろうし夜までには帰れるだろう」
「でもなんでこんな所にオーガーなんて居たんだろうね」
「知らん。それは調査隊の仕事だ。俺たちは狩れば良いのさ」
「そうだねー」
オロロソと呼ばれた男が開けた場所で信号弾を空に打ち上げた。
すると、しばらくして少し離れた場所から返しの信号弾が上がる。
「……あっちか、よし。行くぞ」
「あいよー! ……今度は土下座で頼めばタマちゃん触らしてくれっかな?」
「腕相撲で勝てば、な。今度は3回転くらいでもしろ」
「俺は諦めないぞ! 不屈こそが冒険者の売りよ!」
「……ブレないなお前」




