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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
113/202

93ネキ リザードとオセロと欲望の泥

 前回のあらすじ



 道中美味い焼鳥あったらつい買うよね。





 ――――





「え? タマさん帰っちゃうんですか?」


「うん? うん。 そりゃ帰るさ」



 タマと会話しながらも忙しなく動いていた受付嬢の羽根ペンの動きがピタリ、と止まる。


「タマさん結構有名人になっちゃいましたし、知名度有る分此処での生活に不足は無いと思いますよ? 実力的にも直ぐに家でも何でも買えるでしょうし」


「まァ、此処に住むつもりは()ーし帰る寄り道で道草食ってただけだしな」


「……また王都に来ます?」


「ん? そうさな。 今度は友達連れてきて遊びに来てーわな」


「ありがとうございます。 それで、シンシアへのルートでしたね。えーと……はい、現在地が此処、王都アイダホです。此処からこの街道を通っていきますと……王都から東南の方角、港町ニョッキに突き当たりますので、そこならシンシア行きの船もあります。 連絡は出しておきますから、仔細は向こうのギルドで何とかしてくれますでしょう」


 机の下から取り出した地図を広げ、王都の位置を指さして指で街道をなぞった先にある街をトントンと軽く叩き、港町ニョッキの位置を示す。


「そのニョッキまで結構距離あったりする?」


「ええまあ、大陸の端ですからね。移動用の馬車でしたらゆっくり行っても2週間……急ぎの用などで使用されるカムプス・ランナーなどなら半分の7日ほどで着きますよ」


「カムぷす……何?」


「あー。地域によってはカムプス・ランナーは生息してなかったりしてますもんね、失礼しました。 えーとですね、ざっくり説明いたしますと、王都から大分離れまして、魔国寄りの荒野地域に生息してる四足歩行のリザード種ですね。 結構厳つい見た目をしてますが荒野に自生しているサボンテ(サボテン)を主食に食べる草食の魔物です。 かなり賢いので人にも馴れますし、サボンテを食べて回るため発達した体躯を持ってますので馬よりスタミナが高い分、結果速くて更に頑健ですので多少の野盗や魔物も意に介しません」


「へー。面白いの居るんやね」


「で、馬よりいい所も多いですが。大人しいとは言っても魔物ですし飼い馴らすまでが手間なので絶対数が少ないんですよね。 運賃も倍掛かりますが……タマさん気にしないでしょうしねぇ?」


「そんな面白そうな奴是非乗ってみたいじゃん!」


「あ、タマさん。多分想像と違うと思いますが、馬車の馬部分がリザードにすり替わっただけの戦車ですよ。アレ」


「えー? 跨るんじゃないんだ……」


「やっぱり……そんなにお目目キラキラさせてしまって申し訳ないんですが騎乗には向かないですねー。棘が多いので」


「そっかー、乗れないならしゃーねーな……」


「それではカムプス・ランナー便の手配いたしますか? 料金金貨2枚の先払になりますが……」


「おうよ勿論」


 ッターン! と指に挟まれた金貨2枚がタマの財布袋からカウンターへと叩き付けられる。


「まータマ様なら即決すると思ってました。それでは手配しますので明日から出発可能ですが何時(いつ)からになさいます?」


「特に準備すること無いし明日でもいいぞ」


「承りました。 それでは明日、昼までに停留所へとお向かいください。 身分確認用として停留所の職員に冒険者証をお見せすれば案内してくれると思いますので……地図、要ります?」


「要る」


「ご説明させていただいてる間に描いておきましたのでどうぞ。 道が分からなければこの地図を近くの方に見せたら教えてくれるはずですから」


「おー、有難い」


「他、出過ぎた案かも知れませんが、明日の昼まで空いているのなら出会った人などに別れの挨拶などしてはいかがでしょうか(目逸らし)」


「そんなことないよ。そうだな……逢える範囲で挨拶しとくかァ……」


「それには心配及ばん。 代わりに私がタマ殿の知人に全て連絡しておこう」


「おー、ありが……リリーさんいつから居たんすか」


「少し前から居たが?」


「マージで? 本当に? 受付のおねーさん」


「ええ、まぁ……確かに少々前からタマ様の後ろにおりましたが……(眼光で気づいた素振りを見せるななんて威圧されてたのは言えない……)」


「リリーさんだしどっから生えてきてもおかしくねーわな……ところで何でここに?」



「定期の貼られている依頼で難度の高い物の消化だ。実戦も兼ねているので訓練にもとても良い」


「「「こんちゃーすタマ様!」」」


「あ、どうも戦乙女(ヴァルキリー)の皆さん」


「ところでタマ殿、挨拶は私が代行するとして夕方から錆停で1杯いかがかな? 無論私の奢りだ」


「お? イイねぇ。 奢るのも好きだが奢られるのも悪かねぇな……一応聞くけど仕事は?」


「抜かりない」


「さすが」


「はい! 団長! 質問の許可を下さい!」


「何だ。言ってみろ」


「私たちも同行していいでしょうか!」


「ふむ? タマ殿が許可すればの話だが……「えーやで別に」……だそうだ。但し、日帰りが可能な距離で難度の高い依頼は王都保有ダンジョンの1つのタイラントターキーの依ら……「イイャッフーゥゥゥゥ……」



 リリーが依頼を指定するやいなや神速のチームワークにて貼ってある書類をカウンターへと叩きつけサインをし、ダバダバと走りながら依頼へと彼女たちは向かっていってしまった。


「リリー様、アレ……美食家の依頼で難度相当ありますよ……大丈夫ですかね……?」


「知らん。 自分らで受けた依頼だろう、何とかするさ。馬鹿をして死ぬようには教えていない」


「で、リリーさんはどーすんのさ」


「そうだな……彼女たちが約束の夕方までに帰ってこられるか確かめるために此処で待たねばならんな」


「そう? じゃあ俺も付き合うわ」


「フフ……そう言ってくれるだろうと思って“オセロ”というゲームを詰所から拝借してきたのだ。ルールは分かるだろうかタマ殿?」


「“交互に置いて挟んでひっくり返す” っていうルールのヤツだったら俺の知ってるオセロやんな」


「うむ。その方式で概ね間違いない。では茶でも飲みながら勝負といこうか」


「おーけー。 椅子椅子っと……」


「面白そうな物持ってきてますね? 私も興味ありますので見学いいですか?」


「俺ァ構わんけどおねーさん仕事は?」


「そんなもの有給ですよ有給。 普段働いてるんですしこういうのは見なきゃ損ですよ」


「さよか」


「それではタマ殿が黒だ。 先攻後攻は?」


「コイン」


「うむ。ではトスするぞ…………






 ――


 一方その頃。


 闘気(テンション)を高めて剣に乗せる奥義を会得した彼女たちの前にはさしものタイラントターキーも多勢に無勢過ぎた。 悲痛な叫びを上げて遂には討たれる。


 余談だがB級冒険者でも10人〜単位で挑まなければ勝てない結構な強敵で……あるのだが


 剣圧の斬撃凄く黒くてドロっとしてるんだけど………それ聖杯の泥(ケイ〇スタイド)

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