第65話 ロリエの猛攻
side カラーナ
「キャハハハハハッ! いい加減諦めて人形の餌食になりなよぉ」
ロリエがけったくそ悪い笑い声上げながら、大量の人形を放って来たで。四方八方からロリエの操る人形が迫ってきよる。その数の多さに辟易するで。
「ウィンドアロー!」
アイリーンの声が響くで。風を纏った矢が飛び人形を貫通して行きよった。あの威力、アイリーンもやるやないか。
「火印の術・息吹にゃん!」
ニャーコが口から火を吹いて人形を消し炭にしておるで。これはうちもまけてられへん!
「コインショットバースト!」
うちは次々とコインを弾き人形に当てていくで。うちのコインで人形の頭が粉々に砕けていったわ。
せやけど――どれだけ倒しても人形は次々と湧いて出てきよる。流石にちょっときついで。
「キャハハハッ! 無駄よ無駄。人形はまだまだあるし、お前たちの能力に合わせて人形は改良されていくのよ!」
ロリエが笑いながらとんでもないこといいよった。せやけど、それは事実――追加された人形にはアイリーンの魔法の矢が通じにくくなっとった。
「ウィンドアローで貫けない!」
「ニャーコの火でも燃えなくなったにゃん!」
ニャーコのスキルも効果が薄い、うちのコインも耐えよる。人形はギチギチと耳障りな関節音を鳴らし、うちらに襲いかかってきよるで。
人形の何体かが口を開くと火を吹いてきたやん!
「ニャーコの技を真似されたにゃん!」
「あはは! 私の人形ならあの程度実装するのは楽勝なんだよ! ぎゃはははは!」
こいつ更に下品になってきたで。愉しそうに馬鹿笑いしてほんま腹立つわ。
せやけど、火を吹くだけじゃなくて人形には鋭い牙が生えていたり何本も生えた腕に剣や斧を持たせてたり、全身に棘が生えてる人形もおる。
こんなのに囲まれたらたまったもんやない。せやけどこのままじゃ押し切られてまうッ!?
「姉御! 目を閉じてください! フラッシュアロー!」
アイリーンの声がしてギュッと目を瞑ったんや。すると何かが弾ける音がして瞼の上に明かりを感じた。
「ぎゃぁあああああ! 目がッ! 畜生目がぁああぁ! このクソアマがぁぁあああああ!」
悲鳴が聞こえたんや。この声ロリエ? せやけど、この感じ――
「あぶなかったにゃん。ニャーコにも声をかけるにゃん!」
「うるさいな。それぐらい察しろよ。それよりも姉御早く回避を!」
「――せやな」
アイリーンに言われ目を開けたら人形の動きも止まってたで。ロリエの動きが乱れた結果やと思うけど――
「でもにゃん。こんなの一時しのぎにゃん。すぐに人形が動き出すにゃん」
「だったらまた私の矢で」
「いや。二度目は通じんかもしれへんで。さっきの人形もうちらの攻撃に合わせて改良されとった」
「だったらどうするにゃ! て、もう動き出してるにゃん!」
「てめぇら調子のってんじゃねぇぞゴラァ! こんなの二度目はないからなぁあああぁあああ!」
確かにロリエが大声を張り上げとる。怒り心頭といったところやな。
「めちゃめちゃ切れてるにゃん!?」
「ニャーコ大丈夫や。うちの予感が当たってれば次で決着がつくで」
焦りが見えるニャーコにうちがこたえた。せや! うちの予感は当たるんやからな!




