第21話 条件
セレナさんとカトレアさんはもの凄い鍔迫り合いをしながら話始めました。
「カトレアよ。一旦剣を下ろせ。さもなくばこの辺りが焼け野原になる。」
「フンッ……ハッタリではなさそうだな。何が貴様をそこまで動かすのだ?」
「セルリアは命の恩人じゃ。それだけで守る価値はある。」
「相変わらず義理堅い奴だな。」
そう言うとカトレアさんは剣を下ろしてくれました。そして左手を挙げて周りのエルフの方々に合図を送ると槍を下ろしてくれました。
「あ。あの……」
「勘違いするなよ小娘。貴様を信じたわけではない。セレナとは旧知の仲だ。そのセレナがそこまで言わせている。貴様の行動次第でセレナの信用も失う事を夢夢忘れるな。」
「ありがとう……ございます。」
私は腰が抜けてしまい。その場に座り込んでしまいました。
「すまんな。アイツはここの頭領だからな。仲間を守る必要があるのだ。根はいい奴なのだが人間への恨みが強いのも事実……お主が悪いわけではないのだがな。」
分かっていた事ですが、私たちの先祖は他の種族の方々を軽視していたようでそれが原因で今も揉め事は絶えないと聞きます。私は腰が抜けてしまってるのでセレナさんにおんぶされてエルフの里へと入りました。
カトレアさんの家に着くまでにカトレアさんとセレナさんで話をしていました。
「しかし人とは情けないな。あのくらいの圧にも耐えられんとはな。」
「すいません……」
「セルリアは非戦闘員じゃ。それに回復魔術だけならばこの里の者にも引けを取らんと思うぞ。」
「セレナは今其奴を贔屓目で見ている。そんな目で正しい判断が出来るものか。」
確かに元来回復魔術はエルフさん達の専売特許です。 私たち人間はそれを教わりそこから人に合わせた回復魔術へと進化させて来たのです。それでもなおエルフさん達の方が数100年先を進んでいます。
「さて、では聞かせてもらおうか。何故月輪草が必要なのかをな!」
「はい。」
私はこの前の事件のこと、先輩が毒に蝕まれてる事を話しました。そしてもう時間がない事も。
「なるほど……この前セレナに引き渡した奴らがそこまでの事をしていたとはな。」
「えっ?この前?」
「セルリアにはまだ言ってなかったな。あの院長親子を捕まえてくれたのはカトレアの里の者達じゃ。」
「えっ、そうだったんですか!」
私は改めて姿勢を正して頭を深く下げてお礼を言いました。
「すいません。先に御礼を申し上げるのが筋てしたのに。ありがとうございました。」
「ほぅ……意外と礼儀正しいな。セレナの友人とは思えん。」
「それはどういう意味じゃ?」
「まぁセレナが言い忘れていた様だし、今回はそれで良しとしよう。だが月輪草をタダでやるわけにはいかん。」
「はい、私に出来る事ならやらせて頂きます。」
寧ろ探す手間が省けるのでこの提案は願ったり叶ったりです。
「貴様も医療の心得があると言っておったな。」
「はい、エルフの皆様には遠く及びませんが……」
「よく分かっているな。だがこの問題は里の者でも易々と解決しない問題。貴様に解決できるかな?」
「出来ないと先輩を助けられないというのなら私は死ぬ気でやります!」
「そうか……では、これを作ってくれ。」
そう言って出されたのは小瓶でした。私はそれを受け取り蓋を開けて匂いを嗅ぐと嗅ぎ慣れた匂いがしました。
「これは……消毒液ですか?」
「そうだ。今これを作れる者が他の里に行っている。しかし期日を過ぎても帰ってきておらん。その為里の消毒液が底をつきかけておってな。」
「なんじゃ他の者は作れんのか?」
「貴様なら分かるだろうセレナ。エルフは酒に弱い。匂いで酔う者もおる。しかし殺菌作用のある消毒液は大掛かりな医療の時に大量に使う事が多いんだ。」
カトレアさんの話を聞いて納得した私は了承しました。
「わかりました!2日下さい。2日でこの小瓶1000本の消毒液を用意しましょう。」
「馬鹿な!2日だと?その小瓶10本作るだけでも2日掛かるのだぞ?」
「お任せ下さい。作業場所はどこですか?」
私は作業場所へ連れて行ってもらいます。しかしそこは埃まみれのとてもじゃないけど作業をする場所ではありませんでした。
「……なんですか、ここは?」
「作業場だ。1年近く立ち入っておらんからご覧の通りじゃ。」
私は頭を抱えてしまいます。そしてまさかと思い聞きました。
「まさかと思いますが……ここの薬品使ったんですか?」
「何を言う。使っておったぞ。」
「……」
「お、おい!大丈夫かセルリア!」
私は本当に意識が飛ぶという感覚を味わいました。倒れる私を慌てて支えたセレナさんでした。
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