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アラフォーおっさんはスローライフの夢を見るか?  作者: サイトウアユム


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Quest24:色欲を討伐せよ その2


「旦那、起きて下さいよ。旦那、旦那ってば……」


 そんなシェリーの呼びかけでマコトは目を覚ました。

 目覚めたばかりで頭がボーッとしている。

 二度寝の誘惑に負けてしまいそうだ。


「もう少し寝かせてくれ」

「もう! 皆、来てますよ!」


 ジャッという音が響き、光が眼球を焼いた。

 シェリーがカーテンを開けたのだ。


「うう、眩しいじゃねーか」

「旦那がなかなか起きないからですよ」


 マコトが目を擦りながら体を起こす。

 ちなみにマコトがいるのはカウンターの奥にあるシェリーの居住スペースではなく、『黄金の羊』亭の101号室だ。


「おはよう、シェリー」

「おはようじゃありませんよ」

「曲がりなりにも俺が借りてる部屋なんだから勝手に入ってくるのはプライバシーの侵害じゃねーの?」

「そりゃ、ノックして起きてくれるんなら中に入ったりしませんよ。さっきも言いましたけど、皆集まってますよ。さっさとベッドから下りて服を着て下さい。服は洗濯しておきましたからね」


 シェリーは矢継ぎ早に言い、枕元に綺麗に折り畳まれた服を置いた。


「口やかましくなったなぁ」

「旦那が日に日に駄目になっていくからですよ」


 シェリーは腰に手を当て、前傾になった。

 眉根を寄せているが、怒りは伝わってこない。

 怒ってますよというアピールだ。

 可愛い女だな~、と思う。


「駄目になってくはねーだろ、駄目になっていくは」

「ちょっと前までは一人で起きられたじゃないですか」


 マコトがベッドから下りようとすると、シェリーは体を起こした。


「シェリーが起こしてくれるからな~」

「もう、私が悪いってんですか?」

「そうは言ってねーよ」


 マコトはベッドから下り、枕元に置いてあった服を着る。

 自分ではもう少ししっかりしていると思っていたのだが、マコトは自分で思っていた以上にダメ人間だったようだ。


「まあ、甘えてるって自覚はあるんだよな~」

「そんな、別に甘えてるだなんて、私が好きでやってるんですよ」


 シェリーは取り繕うように言った。

 こういうのを共依存と言うのだろうか。

 マコトはシェリーに甘えて駄目になり、シェリーはマコトを甘やかして満足感を得るという奇妙な関係だ。


「悪い女だぜ、シェリー」

「そういう軽口はベッドの中だけにして下さい」

「……強くなりましたね」

「そりゃ、旦那に鍛えられてますから」


 シェリーは胸に手を当て、マコトを流し見る。

 艶のある仕草だ。

 ベッドの中では両手で顔を隠し、『もう堪忍して下さい』と相変わらずな訳だが。

 むしろ、普段ちょっと強気な方が屈服させる喜びみたいなものがあって燃える。

 そこまで意識してるんじゃねーかという気分になったりもする。

 蛸壺に入ってしまったタコはこんな気分かも知れない。

 抜け出さなきゃと思っても居心地がよくて抜け出せないのだ。

 やはり、シェリーは悪い女だ。

 マコトはシェリーの頬に触れた。


「化粧なんてしてたか?」

「前から化粧してますよ、客商売なんですから」


 シェリーは唇を尖らせた。


「さあ、ちゃっちゃと下に行って下さい。皆、待ってますよ」

「おう」


 マコトは部屋を出て、一階に向かった。

 シェリーが言った通り、皆――ユウカ、フェーネ、リブ、ローラは中央のテーブルを囲んでいた。


「おはよう」

「おそよう」


 マコトはユウカの嫌味を流し、空いている席に座った。


「行かないの?」

「ちょっとダベってからな」


 フェーネとリブはともかく、ユウカとローラは別の場所で暮らしているのだ。

 ダンジョンで話し合うだけの関係は遠慮したい。


「フェーネ、リブに魔石を渡したか?」

「もう渡したッス」

「リブ、換金を任せても大丈夫だな?」

「おう、ちょくちょく顔を出さねーと忘れられちまうからな」


 打てば響くとはこのことか。

 いい具合に回ってるじゃないか、と満足感を覚える。


「で、シェリーとはどうなの?」

「どうって……」

「色々あるでしょ、色々」

「今、話すことか?」

「今しか話せないでしょ?」


 ユウカは眉根を寄せ、問い返してきた。


「どうって……普通」

「あ? 普通?」


 マコトがボソボソと呟くと、ユウカは顔を顰めた。


「二人ともラブラブッスよ」

「おう、シェリーは機嫌よさそうだしな。時々、鼻唄を歌ってるぜ」


 不意に沈黙が舞い降り、二階から鼻唄が聞こえてきた。

 機嫌がよさそうだ。


「砂を吐きそう」

「自分から聞いたくせに何を言ってるんだ」


 顔を顰めるユウカに突っ込みを入れる。


「湿気った薪みたいなんて言ったくせによ」

「それはあたしじゃないわ」

「同じようなもんだろ?」

「違うわよ!」


 ユウカは声を荒らげた。


「他人の恋バナ……と言っても片思いね、片思い。それは聞いてる分には楽しいし、無責任に煽ったりするけど、両思いになるとつまらないのよね」

「お前にとって他人の恋バナは消耗品か」

「と言うか、娯楽?」

「碌でもねーな」

「女なんてこんなもんよ」


 ふ、とユウカは鼻で笑った。


「ギスギスしてるのが嫌で宿を出たのに?」

「自分の家に火が点いたら笑ってられないわよ」

「質が悪ぃ」


 ユウカは女なんてこんなものと言ったが、対岸の火事は楽しいと言う女は初めてだ。


「女に幻想を求めすぎでしょ。ねぇ?」

「……姐さん」

「……正直過ぎるぜ」

「……あの、その、ははは」


 ユウカは同意を求めたが、残念ながら同意は得られなかった。


「予想外みたいな顔をするなよ」

「みたいじゃなくて予想外なのよ」

「姐さん姐さん、普通はこういう会話をしないんスよ」

「まあ、自分から敵を作るのはな」


 フェーネが窘めるように言い、リブは腕を組んで同意した。


「ろ、ローラはどう思う?」

「え、そ、その」


 あはは、とローラは笑った。

 愛想笑いだ。


「どう思う?」

「思いが通じ合ったという話を聞くと優しい気持ちになれます」

「……くッ」


 ローラが微笑むと、ユウカは小さく呻いた。


「どうして、呻いてるんだよ」

「価値観が違いすぎるからよ」


 ユウカは眩しそうに目を細める。


「お前は悪魔か何かか?」

「は?」

「いや、ローラの放つオーラに気圧されたんだろ? 悪魔よ、去れ的な?」

「誰が悪魔よ!」

「お前しかいないじゃん」


 対岸の火事は楽しいと言うヤツは悪魔でいいと思う。


「チッ、綺麗事を言って」

「お前はもう少し取り繕えよ」

「前も言ったけど、ちゃんと取り繕ってたわよ」

「取り繕い方が足りねーんだよ。もっと、自分の心を偽れよ。自分の心すら騙しきれば世の中、天国だぞ」

「自分の心すら騙しきるなんて無理でしょ」

「まあ、無理だけどよ」


 そんなことができるのなら苦しんでいない。


「自分にできないことを他人に要求しないでよ」

「分かった。自分にできることを要求する。もっと取り繕えよ」

「そこから?」


 マコトが居住まいを正して言うと、ユウカは困惑したように言った。

 それから気を取り直すように咳払いをする。


「だから、ちゃんと取り繕ってたの!」

「女子高生が何を取り繕ってたんだよ。嫌いな上司やムカつく先輩の機嫌を取ったり、悪質なクレーマーに丁寧な態度を取ったりするつもりで取り繕えよ。ブチ切れるのは二十年で三回だからな。念のために言っておくが、俺はやったからな」

「む、無理です」


 マコトが捲し立てると、ユウカは気まずそうに目を逸らした。


「なんで、無理なんだよ。世の中の大人はこれくらい普通にやってるぞ」

「……だって」

「だってじゃねーよ、だってじゃ」

「……うう」


 ユウカは涙目で俯き、ハッと顔を上げた。


「なんで、アンタに責められなきゃならないのよ!」

「お前が自分にできないことを要求するなって言ったからだろ」

「そりゃ、そうだけど」

「これに懲りたら年長者を敬え」

「ぐ、ぐぎぃ」


 ユウカは口惜しげに呻いた。

 それにしても、ぐぎぃはない。

 マコトはユウカから視線を逸らした。

 しょんぼりと俯いているローラの姿が視界に飛び込んできた。


「まあ、そんなことを言ってたからこの歳まで独身なんですけどね」

「ほら!」


 ユウカは満面の笑みを浮かべた。

 周囲が明るくなったと錯覚してしまいそうな笑顔だ。


「何がだよ?」

「人の幸せを喜んでいても幸せにはなれないのよ」

「とびきりの笑顔でクソみたいなことを抜かすな」

「世の中はイス取りゲームなのよ。幸福ってイスは人数分より少ないの」


 ユウカは何処かで聞いたような台詞をしたり顔で宣った。


「他人の幸せを喜んでるばかりじゃ駄目なのよ。自分の幸せを追求しなきゃ」

「ふぐッ!」


 ユウカの言葉がクリティカルヒットしたらしく、ローラは胸を押さえた。

 こうやって、善意の芽は摘み取られていくのだろう。


「姐さんは兄貴とは違う意味で人間が駄目になってるッスねぇ」

「そうだな」


 フェーネとリブは呑気に呟いた。



 司祭は祭壇の前に立ち、いつもと変わらぬ様子で迎えてくれた。

 と思いきや――。


「ようこそ、七悪の使い手とその眷属よ」


 文言が少しだけ違った。


「眷属ッスか?」

「お前のことだよ」


 リブが不思議そうに首を傾げるフェーネの背中を叩いた。


「やっぱり、この尻尾は兄貴の仕業ってことッスね」

「その通りです」


 フェーネがお尻を突き出して尻尾を振ると、司祭はクスクスと笑った。


「チューが原因スか?」

「いいえ、肉体的接触は必ずしも眷属の条件ではありません」

「そう言えばキングの手下は魔法の効果が薄かったわね。あいつらも眷属だったってこと?」

「分かりかねます」


 司祭は小さく頭を振った。


「手加減してたんじゃねーのか?」

「する訳ないでしょ」

「殺す気だったのか?」

「アンタと一緒にしないでよ。まあ、死んでも仕方がないかな~って思ってたけど」

「それが未必の故意だ」

「……」


 ユウカは顔を背け、髪を掻き上げた。


「あたいがマコトと肉体的接触を持ったら、その眷属ってヤツになれるのか?」

「分かりかねます」

「まあ、強くなれる可能性はあるってことだな」

「ええ、可能性はあります」

「よっしゃ!」


 リブは拳を手の平に打ち付けた。


「しかし、どういう理屈でレベル上限を突破できたのでしょうか?」

「この身は世界の管理――その一部を担っていますが、その全てを理解している訳ではありません」

「一部でも知ってるんならもったい付けずに教えなさいよ」

「構いませんよ」


 司祭はユウカに腹を立てた様子もなく、クスクスと笑った。


「精霊とは、この世界を維持・管理する力でもあります」

「けど、七悪ってのは精神を司る精霊なんでしょ?」

「ですが、精霊です」

「つまり、世界を維持・管理する力でフェーネを作り替えたってこと?」

「あるいは自らを作り替えたかです」

「どっちなのよ?」

「私にはそれを調べる権限がありません」


 ユウカは苛立ったように言ったが、司祭はいつもと変わらぬ口調で応じた。


「他にご用件は?」

「討伐報酬を受け取りにきたんだ」

「では、手を」


 マコト達は司祭の手に自らのそれを重ねる。

 ウィンドウが表示され、個人口座の金額が変わる。

 収入は一人400Aくらいか。


「他にご用件は?」

「特にねーな」

「またのお越しをお待ちしております」


 司祭が艶然と微笑み、マコト達は手を離した。

 ホールを抜け、受付に向かう。


「マコト様、おめでとうございます!」


 受付の少女はカウンターから身を乗り出して叫んだ。


「昇格でもしたのか?」

「名指しの依頼です!」

「お?」


 マコトは軽く目を見開いた。


「やったじゃねーか!」


 リブがマコトの肩に腕を回してきた。


「それで、どんな依頼なんだ?」

「領主様直々の依頼ですよ」


 受付の少女は嬉しそうに手を打ち合わせたが、嫌な予感しかしなかった。


「……ローラ」

「私は存じません!」


 視線を向けると、ローラは手の平をこちらに向け、否定するように左右に振った。


「な~んか、嫌な予感がするんだよな」

「領主様の、依頼ですよ」

「断ったら駄目か?」

「断るなんてとんでもないです」


 受付の少女はローラと同じように手を左右に振った。


「で、依頼の内容は?」

「領主様のお屋敷で詳しい内容を説明すると」

「それでいいのか?」


 教会の担当者が話を詰め、それから依頼という形になると思っていたのだが――。


「領主様ですから」

「まあ、そうだよな」


 マコトはボリボリと頭を掻いた。



 領主クリスティンの屋敷はロックウェルを東西に流れる川の上流にある。

 上流は富裕層が住むエリアなのか、大きな屋敷が建っている。

 マコト達はいつかのようにローラに先導され、屋敷の廊下を進む。


「貴族の屋敷は初めてだぜ」

「あわわ、高そうな調度品ばっかりッスよ」


 リブは堂々と、フェーネはおっかなびっくり通路を進む。


「二人ともお子ちゃまね」

「どうして、お前が自慢気なんだよ」


 マコトは自慢気に鼻を鳴らすユウカに突っ込んだ。

 ローラは立ち止まり、扉をノックした。

 しばらくして――。


「……入れ」

「失礼致します」


 ローラが扉を開けた。

 クリスティンは机に肘を突き、口元を隠すように手を組んでいた。

 マコト達――もちろん、ローラも――は執務室に入る。


「よく来たな」

「そりゃ、呼ばれりゃな」


 クリスティンはローラに視線を向けた。


「ローラ、調子はどうじゃ?」

「レベル21になりました」


 ローラは誇らしげに胸を張った。


「ほぅ、レベル21か。他には?」

「新しい技を覚えました」

「……」


 やはり、ローラは誇らしげだが、クリスティンは不満げな表情を浮かべている。


「その、マコトとの仲はどうじゃ?」

「進んでいません」

「……お前には失望した」


 クリスティンは体を傾げ、視線を背けた。


「な、何故ですか?」

「だって、マコトとの仲が進展しておらんのじゃもの。やっぱり、他人の恋バナを聞いてほっこりしてる女には向いておらんのぅ」

「ほらほら!」


 ユウカは目を輝かせ、マコトの二の腕を叩いた。


「ローラが転がり込んできた理由についてはスルーか?」

「才能を引き継がせないのはもったいないとか言ってたんだから、アンタの精――」


 ユウカは顔を真っ赤にして俯いた。


「もう少し考えてから発言しろよ」

「う、うっさい!」

「まあ、クリスティンが俺に子どもを作らせようとしているのは分かった」

「やっぱり、処女を拗らせた女は役に立たんの」

「ひ、ひどい! あんまりです!」


 ローラは涙目だ。


「で、依頼ってのは何なんだよ?」

「そうじゃった、そうじゃった」


 クリスティンは居住まいを正した。


「実は……隣の領地で村がモンスターに壊滅させられるという事件が多発しておってな」

「他人のことなら放っておけよ」

「ワシだって放っておきたいんじゃが、モンスターに襲われた時は助け合うと協定を結んでおるからそうもいかん」


 クリスティンは苦しげに呻いた。


「冒険者はどうしたんだ?」

「駆け出しから中堅どころまで複数のチームが問題解決に乗り出したんじゃが、返り討ちに遭っておる」

「別に俺達が行かなくてもいいんじゃね?」


 そういうのは軍隊――騎士団の仕事ではないだろうか。


「お主らが行かなかったらワシの部下が死ぬぞ」


 クリスティンは真顔で言った。


「で、どんなモンスターなんだ?」

「武装した人面兎じゃ」

「兎なのに武装しているのか?」

「二足歩行らしいぞ」

「それは兎じゃねーよ」


 二足歩行している時点で兎ではない。


「おまけに女を攫って、孕ませるらしい」

「なんで、孕ませるって分かるんだ?」

「うむ、命からがら逃げてきた娘の証言じゃ」


 マコトは溜息を吐き、右手で顔を覆った。


「俺のチームは女ばかりなんだが?」

「そ、それは分かっておる」

「どう考えてもマズいだろ」


 人間を孕ませるようなモンスターと戦わせたくない。


「他の騎士団と連携してくれるだけでいいんじゃ」

「王都からも来るの?」

「来るはずじゃ」

「……」


 ユウカが思案するように腕を組んだ。


「受けるわ!」

「多数決を取るぞ」

「なんでよッ?」

「どう考えても断る案件だろ?」


 お前が断れと言いたい。


「ここで復讐せずに何処で復讐をするのよ」

「でも、多数決だ。俺は反対だ」

「おいらもできれば避けたいッス」

「あたしは構わねーぜ」

「これで賛成二、反対二ね」


 ユウカはニヤリと笑い、ローラに視線を向けた。


「……私は依頼を受けるべきだと思います」

「ふふん、あたしの勝ちね」

「そりゃ、ローラはな」


 なんだかんだと言って、ローラは貴族――クリスティンの部下なのだ。


「うむ、決まりじゃな。報酬はどうする?」

「好きな額でいいのか?」


 うむ、とクリスティンは鷹揚に頷いた。


「1000万A」

「めっちゃ足下を見るの!」


 クリスティンは立ち上がって叫んだ。


「好きな金額でいいって言ったからな」

「ぐ、ぐぬぬ」


 クリスティンは口惜しげに呻いた。


「あと、馬車とか、宿泊……要するに経費な、経費。経費はそっち持ちだ」

「うぐぐ、さらに要求を上乗せするとは……」

「受けたくない依頼だからな」


 うぐぐ、とクリスティンは呻き、唐突に脱力した。


「分かった。ただし、前金で500万A、成功報酬で500万Aじゃぞ」

「なんだ、呑むのか」

「呑むわい!」


 ムキャーッ! とクリスティンは吠えた。

 流石に断ると思っていたのだが、これならばもう少し吹っ掛けてもよかったかも知れない。

 ともあれ、この依頼だけで200万A――スローライフに大きく近づいたことになる。


「出発は?」

「明日じゃ!」


 クリスティンは再び叫んだ。


「ついでに魔石を買い取ってくれよ」

「3000Aで頼むぜ」

「も、もう好きにするがいい! ワシは強い部下がいるって知ってもらえれば満足じゃもの!」


 クリスティンは自棄っぱち気味に叫び、駄々っ子のように手足をばたつかせた。

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