85話「最終決戦か!? 天使大軍団襲来!!」
尖兵天使マーエルは鈴の力で一時的に改心しているので、縄から解き放たれていた。
「塔山の頂上へ行く方法は二つあります」
モットツオ王様と竜騎士部隊とアッセーたちは息を呑む。
元凶となる天使族のテロ組織ジャスティスメシアの根城が、大陸中心にある大きな塔山の頂上に構えていた事を知ったのだ。
マーエルは背中からバキバキと骨のウロコを連ねた白翼を広げて見せる。
「私のように飛べる者は直接頂上へ向かう。そしてもう一つは、塔山のふもとのどこかにある洞窟から通るダンジョンから登る」
「オレも飛べるし前者が楽そうだなぞ」
ボウッと妖精王化し足元に花畑を展開し、髪の毛が銀髪ロングに舞い上がり、背中に四枚の羽根が浮く。
マーエルはほおに一筋の汗を垂らす。
「申し上げにくいですが、アッセーさんでも我らが女神エーニスックさまを倒すのは難しいでしょう」
「ん? どういう事だ?」
「……単に天上の世界を気取って神殿を構えているのではありません。循環している大陸のエネルギーを頂上でなんの邪魔もなく吸収して無敵の肉体を保持する為です。つまり女神さまは『星杯』と一体化しているわけです」
「ニセモノ確定じゃねぇか……」
本物だったら、わざわざ一つの星杯を独占しても仕方ないもんな。
この世界そのもの創ってんだから……。
「問題はそこじゃないです。大地の力を我がものとする女神さまは、星杯によって無限再生を誇り、無敵化しているのです」
さすがにモットツオ王様は「ううむ……」と唸る。
「我々竜騎士部隊で総攻撃をかけても、倒せないか?」
「無理でしょう」
マーエルは目をつむって首を振る。
何百年もずっとずーっと頂上で引きこもっていた女神さまだからこその無敵化。
「そんなら問題ねぇな」
「「「えええっ!?」」」
アッセーが余裕と言ってのけて、一同を驚かす。
「こんな時もあろうかと、ヤマミがいなくてもドッキング∞に近い完成された奥義を完成させているぞ」
「ヤマミって誰ですの?」
「あ~言ってなかったっけ? 転生前の世界の妻だよ。だから婚約したくねぇの」
嫉妬の感情を見せるローラルに答えた。
「「「転生前の人間関係はノーカンで!!」」」
なんとユミ、アルロー、マトキ、そしてハーズも続いてそう言い出す。
カナーリ姫も得意げにウンウン頷く。
「あのさぁ……」
「だって、もう会えないんでしょ?」
「自分でヤマミがいなくても、って言ってたし」
「今はそういう話じゃねぇ。オレならニセ女神の無敵を打ち破れるって話だぞ」
ギャーギャー揉めているアッセーたちに、マーエルとモットツオ王様は汗を垂らす。
すると龍人兵士たちが慌ててやってきた。
「大変です!! 天使軍団が空から押し寄せてきました!!」
「なんだと!!?」
モットツオ王様は立ち上がる。
竜騎士ドラギトは「急いで我が軍総員で迎撃態勢をとれッ!!」と命令し、龍人兵士は「ハッ!」と敬礼し、急いで出て行った。
城の広い屋上に出ると、空一面に天使軍団がおびただしい数で広がっていた。
もう全力でサイツオイ竜王国を叩き潰すつもりだ。
アッセーは息を呑む。
「これでちんたらダンジョンで登る選択肢ねぇな」
妖精王アッセーは太陽の剣を生成する。
「アッセー!?」
「これを止めるには女王蜂を仕留めるしかねぇ! みんな、堪えてくれ! オレは奥義で頂上へ行く!」
「「「え…………!!?」」」
ローラル、アルロー、ユミ、マトキ、ハーズ、カナーリ姫は汗を垂らす。
それに構わず見上げたアッセーは掲げた太陽の剣の切っ先に太陽を模した風車を生成した。それを念力で回し続ける。
超高速回転を繰り返し、旋風を纏っていく。
そして徐々に大気も大地も震え上がっていって、浮いてきた破片が塵に流れていく。
「三大奥義が一つ『無限なる回転』!!」
超高速振動が響いてきて、誰もがその威力におののく。
竜騎士ドラギトは「出すには早いのでは……?」と疑問に持った。しかしアッセーは笑む。
「さて女王蜂を仕留めに行く! それまで堪えてくれ!!」
妖精王アッセーは床を爆発させるように飛び上がり、マッハを超えた勢いで天使大軍団へと突っ込む。
何百年も増殖し続けてきた天使軍団は圧倒的物量で蹂躙せんと嗤う。
突っ込んでくるアッセーへ覆いかぶさるように天使軍団が容赦なく殺到した。
しかしあちこち隙間から閃光が溢れて、破裂音とともに粉々になった天使軍団が四方八方に爆ぜていく。
「おおおおおおおおおおおおおッ!!」
アッセーは空へ太陽の剣を向けて、太陽を模した風車を超速回転させながら次々突破していく。
何度も何度も執拗に叩き潰さんと覆いかぶさる天使軍団をものともせず、アッセーは急上昇を続けていく。
それでも天使軍団の層は厚い。
ちんたら戦っていたら竜王国は壊滅するだろう。このまま突っ切るしかない。
静かになった頂上の神殿で待ち構える女神さまはヴェールの中で目を輝かせた。
「来るか! ならば、この女神さまの圧倒的力を地上に思い知らせるいい機会だ!」
なんと大神殿が砕け散って、巨大化していく。
引きこもりをやめてヴェールから抜け出した女神さまは、メキメキ巨大化を繰り返していく。
なんとあらわになった顔は超絶ブスで、まるで鬼のようだ。
背中から八枚の白翼がメキメキ広がっていく。
「女神エーニスックとは表向きの姿!! いずれは取って代わる新たな女神フェミニエル!!!」
そんな超巨大な姿を、マーエルは千里眼がごとしの天使の目で見て絶句する。
「そ……そんな……!! 女神さまは超激烈ウルトラブスだったのか……!!」
「そこ、やかましいわああああ────ッ!!」
聞こえたのか自称女神フェミニエルはギャオオオンと激怒した。




