84話「天使族はトンでもなくヤベー種族!?」
気づいたら妖精王状態のナッセの全裸姿で、広大な透き通った海の上に立っていた。
海底の白い砂が透けて見える。水面はキラキラ反射光で美しい。周囲を見渡せば虹色の珊瑚礁みたいな神殿が浮いている。
《またかよ……》
自分の背後に浮いている妖精王の羽を一つ更に増やしてサッと股間を隠した。
振り返ると、やはり純白のキトンを着た金髪ロングのウェーブの女神さまが腕を組んでいた。
《あっちのはニセモノだからね!》
《まだ何も聞いてねぇぞ……》
《つーか、天使族駆除しちゃって! 思う存分蹂躙してやりなさい!》
到底本物の女神さまとは思えない発言だぞ。
むしろこっちがニセモノであっちが本物だと言われたら、大半は信じそう。
そんなジト目のオレを察してか、女神さまはため息をつく。
《そんな唐突に言われても困るわよね。でも、確実に言えるのは天使族がヤベー上位生命体って事は忠告しとくわね》
《どんくらいヤベーんだ?》
《そっちの知ってる世界でズズメバチいるでしょ? あれとほぼ同じ》
確かズズメバチは獰猛な性格で、女王蜂と巣を守る為に集団で攻撃的に襲う。また、ミツバチなどの巣を襲撃して幼虫や蛹と蜜を奪い尽くして壊滅させる。
毒針で刺すだけではなく、毒液を撒き散らすなど危険極まりない。
おまけに繁殖力や分布拡大能力が高く、しかも天敵が少なく、勢力拡大されたら手に負えなくなる。
《ヒトが持つ貪欲な欲望と性欲をそのまま残して上位生命体になる事があるから厄介なの。生殖機能は失われているけど、性欲によってもたらされる犯罪のおぞましさは分かってるでしょ?》
《あ……ああ……》
そういや竜騎士ドラギトは、マーエルが獣人の母娘を性欲のエサにしようとしてたと言ってたな。
《こちらからは手出しできない誓約と制約だから、駆除はあんたみたいなのに頼るしかないからね》
《つーか天使族って名の響きなのにえげつねェな》
《そっちがどんな認識してるか知らないけど、我々神々にとってもズズメバチと同じ認識なのっ! 自分の世界を荒らされるとマジで困るからっ!》
《悪魔族と天使族ほとんど差はないじゃん……?》
変態イルカがにこやかな顔で「おーっぱい吸わせろー!」と甘えて飛びかかってきたので、女神さまはにこやかな顔で「あらあら、しょーがない子ねー」と、天空より凄まじい落雷を落としてバリバリバリ派手に稲光が迸った。
骨が透けて見えるほど「あばばばばばばば!!」と感電してらっしゃる。
《ともかく、その通り。天使族と悪魔族は表裏一体。あんたのような不変の妖精王と違って、天使が悪魔に、悪魔が天使に変わる事があったりするの。天使は見た目がいいからガワ被る為に維持する場合があるからね》
《あいつら正義を主張してたもんな》
《そうそう。でも悪魔になれば一転して超攻撃的になって欲望剥き出しで始末に負えなくなるからね。ただ、そうなると敵を増やすから頭のネジが飛んでるサイコ野郎以外は控えるのよね》
つまりヒトの社会的で言えば、暴力団などの反社かプロ市民(国賊)かって感じか。
カルト宗教や悪徳政治家なども表向きは綺麗事などで飾ってるけど、実態は反社と変わらぬ国賊的存在。
こう例えればしっくりくるな……。
《めんどくせー連中だなぞ》
《そうそうそう、だから駆除して欲しいんだよね! あいつらほっとくと際限なく勢力拡大してくるから!》
変態イルカを卍固めでぐぎぎぎ絞め殺そうとする女神さま。
《そういや、天使族で三途界域や星幽界域に移住してきたりしないの?》
《欲深い連中にとっては敵が多いし、弱い者イジメしづらいのもあるけど、何よりも娯楽が少ない所だから敬遠するわ。でも、中には勢力を増やして自分色に染めようと無謀な侵略を企むバカもいる》
《ここって仙人の世界みてーなもんだしなぁ》
目の前の女神さまの行為を見てると、到底そう思えないかな。
聖剣で変態イルカを九頭○閃でメッタ斬りしてて、汗を垂らすしかない。
GJで極レア転生者云々言ってたのもあるし、少なからず娯楽はあるんだろう。
《あんたみたいに純粋なやつだったら、天使族でも悪魔族でも星幽界域へ昇華してもらえるんだけどね》
《みんながみんな悪党じゃないもんな》
《そうそう》
《純粋っても、オレもエッチな想像するから十分濁っているけどなぁ……》
《そういうなら現存のハーレムに甘んじて性欲のままにズッコンバッコンしてから言えやああああっ!!!》
女神さまがビシッと強く指差して語気を強めた。
元々は極レア転生者を自分の世界で入れて、繁殖させて出た極レアキャラを売り捌くのが本来の目的だもんな。
《まぁ善処する》
《そこは「ぐへへ、任せてください! 多くの嫁を孕ませてご覧に入れましょう」でしょーがっ!!》
初めて、自らスウーッと星幽界域を離脱していく。
女神さまが《あっ! まだ話終わっ……》と慌てるが、帰らせてもらう!
そして目が覚めると、ベッドに寝ている自分の上でハーズとユミがぐぎぎぎと取っ組み合いしていた。
「あのー?」
「はっ! あ……あのですね、アッセーの恋人として……」
「わたしが繁殖手伝う! やり方教えてもらったし、後は実践するのみ!」
ベッドのそばでアルローがドキドキしながらじーっと観察している。
「そのまま3Pいっちゃえなのです……!」
「あのさぁ……」
ローラルとマトキはいないようだが、どこへ行ったんだろう?
するとバタンと部屋のドアが開かれて、カナーリ姫が薄い下着姿で「夜這いさせてもらいますわー!」とハァハァ赤面で登場してきたぞ。
慌ててローラルとマトキが「ダメダメー!」と追いかけてきていた。
「……天使云々で疲れているから、後にしてくれないかな? ゆっくり寝たい」
こっちはこっちでめんどくせぇ……。




