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78話「竜王国から追放だとー!?」

 塔山(タワー)の断崖絶壁の窪みで、ハゲの半裸男が腕を組んで佇んでいた。

 のっぺりした表情でやる気がなさそうな気配だ。


「んー、エーニスック女神さまはアッセーとの接触を避けろとの命令だが……」


 首を傾げる。

 彼の視線ははるか向こうの砂粒ほどのサイツオイ竜王国を定めていた。他は辺り一面の銀世界。

 森林にも雪が覆っていて寒いにも関わらず、ハゲの半裸男は平然だ。


「まぁいいや。我らが天使族としては待つよ。何十年でも百年でも……ね」


 淡々とした口調。

 だがしかし本気で気長に待つつもりである。例え厄介なアッセーが竜王国へ永住したとしても、寿命が尽きるまで執拗に待つだろう。

 全ては長年かけて計画を成し遂げる為である。


「あー……、しばらく暇になるな」


 ふう、とため息をついた。

 しかし、視線はアッセーが滞在しているであろう竜王国から離さない。すると見開いていく。

 突然王宮が爆ぜたのだ。

 彼は千里眼のように、かなり遠くの場所まで視認できる。


「おや?」




 サイツオイ竜王国で、震撼が広がっていく。

 爆ぜた王城の破片が四散し、怒りに満ちたモットツオ王様と竜騎士ドラギトと焦るアッセーが空へ飛び上がっていた。


「我が姫を婚約破棄するなら、貴様は捨て置けぬっ!!」

「覚悟せよ! いかに妖精王といえど看破できない!」

「くっ!」


 すでにドラゴンのウロコのオーラで覆っている王様と竜騎士が飛びかかって、アッセーは太陽の剣(サンライトセイバー)を横に構えて二人同時の攻撃を受け止める。

 凄まじい衝撃波が広がって、遠くにまで雪煙が吹き荒れ、舞い上がる。


「ユミ、アルロー、マトキ、ローラル、ハーズ国を出ろ!!」

「は、はいっ!!」

「分かったのです!」

「ええ」

「分かりましたわ!」

「……っく!」


 アッセーは彼女らをかばうように立ち回っているので、防戦一方だ。

 それでも王様と竜騎士は怒りのままに容赦なく猛攻撃を加えて、大気と大地を震わせている。



「へぇ? ケンカしてるんだ? アッセーは仲間をかばっているから本気が出せないままか」


 ハゲの半裸男は薄ら笑みを浮かべる。

 事情は分からないが、険悪な様子を見るに取り返しのつかない決裂を起こしたのだろう。

 そのまま追い出せれば、我が計画がやりやすくなる。


「面白くなってきたな。できれば共倒れになって欲しいんだがねぇ」


 フフッとハゲの半裸男は面白そうに笑う。



「やめろォ!!」


 切羽詰った様子でアッセーは説得しようと太陽の剣(サンライトセイバー)で猛攻を捌いていく。


「うるさい! 無礼の極みをしておいて許されると思うな!」

「貴様はもう許されざる事をしてきたのだッ!!」


 モットツオ王様は竜のオーラで覆った大剣をかざし、莫大なオーラを更に注ぎ込んで光柱かと思うほどに天高く伸びていく。

 竜騎士ドラギトは槍を連続で突いて、雷の矢を無数乱射する。


「くっ!!」


 数百もの雷の矢を防ぐのに必死なアッセーへ、王様は巨大な光の剣を振り下ろした。


「受けよ!! ドラゴンフォース・ギガスレイヤーッ!!」

「サンライト・スパークッ!!」


 アッセーも最強最速の横薙ぎを振るって、互いの刀身が交差した。

 すると甚大な震撼とともに、衝撃波が広がって積雪から雪煙に巻き上げて、更に上空の曇が十字に裂かれて青空が見えた。

 ハゲの半裸男は歓喜に満ちた。


「これはいい見ものですねぇ!」


 アッセーは服がボロボロになりながらも、脱兎するように森林を駆け抜けてローラル、アルロー、ユミ、マトキ、ハーズと合流して竜王国から離れていった。

 追いかける龍人の兵がわらわらと群がっている。


「待て!!」

「くっ! なんて逃げ足の速さだ!」

「あいつら時速八〇キロ級の速さで走ってるのか!?」

「だが無法者は逃さんっ!!」

「追え追えーっ!!」

「姫を侮辱した罪を許すわけにはいかぬ!」

「一体たりとも逃すなーっ!!」


 そんな剣幕の龍人兵に、苦い顔をするアッセーはローラルたちへ振り返る。


「ちっと加速して走り抜けるが、大丈夫か?」

「走るのは得意なので、いけます!」

「一ヶ月も修行してたから大丈夫なのです!」

「ご心配なさらず、令嬢としての相応しい体力に鍛えてありますわ」

「聖女として時速一〇〇キロ越えは必須です」

「わたしもっと速く走れるよ」


 追っ手を振り切るようにアッセーたちはグングン大差をつけて逃げ切っていく。

 前々から速く走れるようにみっちり修行積んでるから、全員時速一〇〇キロでもいける。

 おまけに雪飛沫が舞い上がっているから、龍人兵も前にかかってしまって追いかけづらいだろう。


「待て!! 置いていくなー!!」


 なんとドラゴン化したカナーリ姫が飛んできて降りてきて、並走してきたぞ。


「なんでくるんだよおおお!!」

「婚約せねば帰れぬわー!!」


 押しかけ女房のように、必死な形相で追いかけてくるカナーリ姫には本気で恐怖する。



「あっはっはっはっは! いい気味だねぇ!」


 高みの見物とハゲの半裸男は上機嫌だ。

 これで厄介なアッセーはもうサイツオイ竜王国へ寄る事はないだろう。

 嬉々と、懐から多くの『魔獣の種(ビースト・シード)』を取り出してきた。


「さぁ、これで計画再開だ……。この最強のサイツオイ竜王国周辺でドラゴン化を大量発生して孤立させて供給を断ち、なおかつ亜人やモンスターが人類にとって百害あって一利なしと判断してくれれば分断作戦成功だな」


 アッセーの手が及ばぬところで徐々に外堀を埋めていけば、人類至上主義として大陸全土を支配できる。

 とはいえ、魔族や亜人どもはかなりの戦力だ。それなりに抵抗はしてくるだろう。

 だからこそ我ら天使族が手伝えば、救世主として崇められて真の支配者となるのだ。


「ふはは! 我らが天使族が世界の支配者になる第一歩なのだー!!」


 追われる惨めなアッセーたちを嘲笑い、計画成功も同然と歓喜した。

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