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44話「異世界転生の裏事情……?」

 炎上竜王マイシ。


 それが神々の作った世界を台無しにしたという分霊転生者の呼び名。

 ナッセも知ってる人で、ライバルとして何度も戦った仲である。過激な性格で闘争本能が極めて高くてヤバい人。


《ナッセと同等の、極レアキャラだとばかりに転生させたら、全方位にケンカ売り出して生命体を絶滅させ、なおかつ他の星にも攻め込んで草も生えぬ荒野にしていくわ》

《想像しやすい……》


 まるで某漫画の戦闘民族よろしく宇宙蹂躙してるなぞ。


《間違っても自分の世界に入れるなよ。こっちもめんどくせぇからさ》

《ないない。あなたが知ってるキャラだけなら光眼(ミツメ)カイガン、巌穴(ガンケツ)オオガ、照美(テルミ)カレン、柄鎖(ツカサ)スピリアなどそこレアなやつ入れてるから》

《役満じゃねぇか!》


 頭が痛くなった。

 カイガンはアレなやつだが一応無害……。


《特にオオガは魔族として、手当たり次第繁殖行為しまくって成功してるわ》

《そいつで魔人の分埋めてくれるんじゃないか……?》

《え? そう? それならいいじゃない? やったー!》

《だといいんだけどな……》


 オオガはカッパの魔獣で人智を超える強さを持っているが、性欲旺盛で過剰シスコン。

 異世界転生するとヤリチン化するんだな……。


《よりによってカレンも入れてるとは……》

《魔王の四天王として活躍してて、凄腕の勇者をことごとく返り討ちできてるわ》

《むしろ勇者の方が気の毒だぞ》


 女神さん的にすごいレアとしか見てないんだろうが、カレンはマイシに負けず劣らず凶暴だ。

 ダメージを受ければ受けるほどマッチョ度が増して際限なくパワーアップしていく厄介な『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』だぞ。

 某劇場版で言うとブ○リーみたいなやつ。

 オレ自身も単騎でよく勝てたなと思うほど、ヤバいやつ。


《スピリアは闇ギルドのボスとして、裏からヒトの社会を牛耳っているわ》

《やりそうだと思ったよ!》


 ものすごい短気でヤンデレ地雷女。束縛タイプにぴったりな鎖の能力者。関わりたくない。


《そろそろ帰すけど、魔族と同盟組んで欲しいの》

《オレが中庸の立場になるって事か?》

《あったりまえでしょ! 世界を左右するほどの力もってんでしょーが!》


 女神は頭突きで、変態イルカを上空へガツーンガツーン突き上げて、滞空中に海老反りに極めて、逆ブリッジに体勢を変えて後頭部から硬い地面へ落下してガガァン!

 それでも変態イルカは《も、もう一度……》と痙攣しながら泡を吹いていた。


《それより、アッセーの存在をなかった事にして、元に戻して欲しい》

《せっかく高額なGJ(ゴッドジェム)払っておいてできるかっ!》

《……GJ(ゴッドジェム)?》


 女神さん「あ、やべっ!」って苦い顔したぞ。

 つか、神様の世界にも金の概念あるのかよ……。


《説明しろい》


 カツアゲするかのようにオラオラ詰め寄ると女神は白状してくれた。


《え、えっとね……。あなたたちで言うソシャゲ内の通貨みたいなもので……、対象キャラ保有者へ払って『分霊(スクナビコナ)』させてもらって転生させるの》

《オレたちはソシャゲのキャラかよ……》

《他の神が保有しているキャラを勝手にコピペして自分の世界に入れるって事に制限を設けないと、あなたみたいな強キャラを誰もが手に入れられて好き放題できるでしょ? 保有者としても避けたいし、トラブル起きるからね》


 異世界転生にそんな事情があったなど初めて聞いた。

 オレたちは転生される側だから、神の事情なんて聞く事もないもんなぁ……。


《せっかく貯めてたGJ(ゴッドジェム)はたいてゲットしたのを、なかった事にできるかああああ!!》

《どうせならヤマミも連れてきて欲しかった……》

《セットだと相場の四倍になるし、そんなGJ(ゴッドジェム)ねぇよおおおお!! たくさんくれよおおおおおお!!》


 女神さん泣いて抗議してきてるぞ。

 どうやらオレとヤマミをセットで分霊転生させる場合は超高額になるらしいな。


《じゃあ、なんの能力もないヒトを転生させる時も払うの?》

《もちろんよ。コモンだからすっごい安いわ。でもただ転生させるとすぐ死ぬから、面接して適正するチートやユニークスキルオプションつける必要があるわけね》

《オレじゃなくて、そっちにすれば安くていいじゃん?》

《それだと、あくまで外付けチートだから遺伝には影響しないの》

《遺伝……?》

《そう。神の力でチートになってるだけで、元は普通のヒトだからね》

《そうなのかぞ……?》

《チートで無双してる本人にとってはありがたいんだろうけど、こっちとしては元手に何も残らないからね。緊急用。だからこそ元から強いあなたの遺伝子を私の世界で配りたいの》


 それが最大の理由か……。

 変態イルカが復活したので、女神は上半身が8の字を描くような高速フットワークしながらパンチの猛連打を叩き込む。ドンッドドンッドンッ!


《痛そう……》

《そういえばチートキャラが悪さしている世界に、炎上竜王(マイシ)を転生させる例もあったわね。面白いように阿鼻叫喚見れるわよー》

《そんな使い方されてんのかぞ……》

《ハーレム婚約できそうなナッセには期待してるんだけどなー? ふふふ》


 もし婚約しなかったら炎上竜王(マイシ)放り込むぞって脅迫か。怖……。


《ぜ……善処する》

《じゃあ、魔族との同盟ヨロ。ついでに魔嫁も複数貰っといてー》

《え……、ちょっ!? 待って待って?》

《魔王ちゃんにも啓示で言っとくから大丈夫!》


 変態イルカをアイアンクローしながら、女神さん微笑んで手を振ってくる。

 まためんどくせぇ事しやがって……。

 目の前が真っ白に染まっていって、遠のいていく……。嗚呼…………。

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