最終話「これからもオレたちの冒険は続くぞ!」
凶悪な八大悪魔は黒ギャルがガワをかぶっていたのが判明した。
大勢の手下悪魔は普通に悪魔だったのに、なぜ?
それはともかく、八大悪魔は紛れもなく悪魔族ではあるが見た目は完全に黒ギャルしか見えない。だからか見た目を強そうなのにするべき悪魔のガワを作り出して猛威を奮っていたのだ。
アッセーはそれを『偶像化』だと断定した。
己の欲望を体現させてモンスター化させるのが『偶像化』だ。
それで武力が二倍になるっぽいので、今の黒ギャル八大悪魔は半減した武力でしかない。
獄ギャル、エリアーン(エリっち)。武力六三万。
公ギャル、ヤギダヨーン(ヤギだる)。武力五三万五〇〇〇。
武ギャル、ギガダイーナ(ダイナン)。武力八二万五〇〇〇。
爵ギャル、オクトベアド(オクベン)。武力六八万五〇〇〇。
竜ギャル、ウラギカイン(カイちゃん)。武力七四万。
騎ギャル、ナイトメア(メアリん)。武力七八万。
双ギャル、ジサクジエンナ(まっちん)。武力四九万五〇〇〇。
王ギャル、ポットデボス(ポッデン)。武力は百十五万。
それから、どういうわけか『賢者の秘法』で極大化した浄化の鈴によって魔人に願った不老不死状態が解除されてしまったのだ。
なおかつドス黒い悪意や過ぎた欲望まで浄化されて、今や単なる黒ギャル集団となってしまった。
そして当然ながら欲望で体現できる『偶像化』も二度とできない。
なので封印する必要なくなってしまったぞ。
ちなみに大勢いた手下悪魔は全滅してた。
「ワンナイトの仲だし、婚約諦めないっしょ! よーく覚えておけネ!」
「最終決戦をワンナイト言うな」
「えへ」
黒ギャルのポットデボスは小悪魔的ウィンクした後、他の黒ギャルと一緒に地上へ飛び立ってしまった。
何百年も封印されていたので、眩しい新世界ではっちゃけるつもりである。
「これでいいんかな……?」
「アッセーは真性の女たらしなのです」
アルローのジト目ツッコミに、ローラルとユミとマトキはウンウン同意する。
……と悪魔の件が完全に解決してしまって、三大精霊王は使命から解き放たれたと安堵していた。
《これから何代も渡って新しい精霊王が役目を受け継ぐつもりだったが、もはや心配はないかもしれぬな》
《ほほほ……、アッセー殿には感謝してもしきれぬわ》
《うむ。これで安心して暮らせるであろう》
シンエン精霊里で満足げな三大精霊王を後に、アッセーたちは「またなー!」と手を振って出て行った。
他の妖精たちも《また来てねー!》と笑顔で手を振ってくれる。
ひと仕事を終えたかのようにアッセーはスッキリしていた。
ホビットの里へ戻って、ギルドで報酬を受け取った。
「こんなに!?」
「何代もわたって遊んで暮らせる額ですわね」
イロをつけてくれたようで、それが莫大な額なのにも驚きもした。
なんせ百年単位で封印を張り直す必要もなくなったので、妥当な報酬かも知れない。
「なーんか世界が平和になった気がするのです」
「あとは魔王と人類の戦いぐらいですね」
「やりきった感がしますわ」
「それでも聖女はまだまだ役目は終わってません」
「妖精王アッセーさすがでありますー! 婚約して良かったでありますー!」
和気藹々して賑やかなのはいいなぁ。
アッセーは悦に浸りたかったが、こいつら婚約者だと思うと……。
アッセーはローラル、アルロー、ユミ、マトキ、グングと一緒に旅立ったぞ。
再び商団馬車で交易路を通っていった。
他の妖精村や精霊里もあって、それが過ぎると『死霊都市コワイゾウ』が首都となっている心霊地帯に入った。
そこでは様々な幽霊や妖怪が暮らしている。火の玉がたくさん飛び交ってたぞ。
墓石を象った建造物が多く、ホテルのベッドはドラキュラが寝そうな棺桶。
幽令嬢トレハナコに婚約を迫られて逃げ切った。
ミイラ男やアヌビス獣人やカメンジンが住む『ピラアード王国』は転生前の世界で見たピラミッドとは似て非なるもので、キレイな四角錐の建造物が目を引く。
褐色の黒髪ロング美女のグレコパトラと婚約させられそうになった。
それを越えると破壊魔王シドカオスが住む魔族王国の地帯に入った。
約三四〇〇組の勇者たちが渋滞してて、長い行列を作っていた。
連続戦闘してる破壊魔王も苦労が絶えないようだ。
女勇者ソロコちゃんが職務を放り出して婚約求めてきたので逃げた。
確か世界天上十傑はもう判明してるっけ?
大魔王ブレズア、大魔姫ミトン、魔王へルドラー、魔姫ルビナス、暴魔カレン、龍族の長ゲキリン、妖精王アッセー、業火の精霊王ボウエルノ、水源の精霊王リュウエルノ、陸土の精霊王フミナルノの十体。
なので、同等レベルの猛者がいないから戦闘面では余裕だった。
ちなみに破壊魔王シドカオスの武力は三五万だけど人類から見れば、圧倒的脅威だ。
比較的善戦しやすいので、勇者行列になってたわけね。
普通、勇者たちで総攻撃すればいいじゃんって考えると思うけど、そうなると魔族と全面戦争になるので双方に被害が大きくなる。
なので魔族王国に限定して、破壊魔王と四天王が頑張ってクエストカーニバルを開いているんだそう。
そして魔族領もここまでとなり『ココカラ共和国』を境界に、人類領へ入った。
やはりここでも勇者たちが一二〇〇組が行列してた。破壊魔王へ挑戦するみたい。
破壊魔王たち過労死しないんかな?
その次は『エンジョー帝国』があって、結構な大国だった。
城壁が何重もあって国が分割されているように見えた。城付近は貴族など裕福地帯。真ん中は商人などか。
軍事に熱を入れているせいか、兵士が闊歩する国で窮屈そうだった。ピリピリした空気してると思ったら、海辺から『海底大帝国トーケツ』の軍勢が押し寄せてきたのだ。
半魚人と人魚が血気盛んに攻めて来て、当たり前のように帝国側も大勢の兵で迎撃体制を敷いてきた。
……どうやら日常的に国家レベルのケンカを繰り返しているらしいな。
ワイルドで逆撫で系アオーリ姫と冷酷そうなツーホ人魚姫がアッセーと婚約する為に争いだしたので、鈴を鳴らして逃げた。
追いかけてこないと思う。たぶん。
三ヶ月を経て、ついに故郷『アルンデス王国』へたどり着いた。一周旅行完了ォォォ!
ようやく我が家へ帰れたぞ。
いつもの変わらぬ家で「おかえり」と入ると、両親が迎えてくれた。
「あらあら婚約者が増えて賑やかになりましたわね」
「ローラル令嬢まで……??」
「婚約し直しましたわ。もう勘当されて平民の身ですけど」
すると両親は曇った顔を見せた。
……話を聞くに、末妹ローラル令嬢をイジめていたベータブル公爵家族は実は追放されていたのが明らかになったそうだ。
可愛がっていた長女と第一王子が婚約していたらしい。初耳。
で、その姉は溺愛されて育っていたために傲慢不遜で、我慢し続けていたらしい第一王子の堪忍の緒が切れて婚約破棄された。
それに対して、ベータブル家両親がモンスターペアレントでアルンデス王様に押しかけてきて数々の罵詈雑言と器物破損で大変な事になってたらしい。
なので王様の逆鱗に触れてベータブル家両親、長女、次女ともども身分剥奪&国外追放されたそう。
どっかで平民同然の身で細々と生きてるかも知れない……。
「そんな事がありましたの……?」
「そうそう、あなたは勘当されて家族じゃなくなってるので不問にされてるそうよ。望むならベータブル家当主になっても良いってたわ」
「つーかアルンデス王族も割と過激だよなぁ……」
ローラルとしては複雑な心境だったそう。
とりあえず貴族として体を成したいので、当主となってアッセーとの婚約条件を満たしておいた。
普通に当主としてやっていけばいいのに……。
「よう! アッセーさまも元気でなにより」
「……婚約者増えてねぇ?」
「ああ。増やした」
久しぶりのリッテ兄様は十二人の婚約者を引き連れていた。
これから結婚式が行われるらしい。ちょうど帰郷してきたアッセーにも参加してもらいたいとの事。
アルンデス王国の教会で盛大な結婚式が行われた。
リッテを夫に十二人の嫁が次々と誓いをして連続指輪交換&キッスをしてたので、引きかけた。
……ってもいつかオレもそうなるんかなとゲンナリした。
ついでに家族として複製アッセーズと魔妻ズと魔鏡も同席してた。しかも子供できてた。
ローラルがヒロインぶって、アッセーの手に自身の手で重ねてきた。
「こんなふつつかな私だけど……、頑張りますわ」
「まぁ……」
最初に出会った時は最悪な婚約者で、リヘーン王子と婚約する為に婚約破棄した上で処刑に陥れてきた。
なんの間違いか、別人かってくらいにキャラが変わってしまった。
エルフ姉妹が約束を実現したせいで婚約してしまった。
「そうはいっても古参なのは私ですからね」
ユミが負けじと腕に組み付いてきた。
ヤンバイ王国で追放パーティーに酷い扱いされていて内気だったが、アッセーに惚れてから強気な言動が目立つようになってきた。
これもエルフ姉妹のせいで婚約2。
「調子のいいこと言ってられるのも今の内なのです」
座っているアッセーにちょこんと座ってくるロリエルフのアルロー。
オダヤッカ王国で出会ったエルフ。元気が良くてお調子者。なぜか押しかけてきて旅のお供に。
これもエルフの姉妹のせいで婚約3。
「聖女として妖精王さまとお似合いなのは当然でしょう」
後ろの席から抱きついてくる聖女の娘。
シーンジロ王国で聖女の娘として、穏健派によって箱入り同然に育てられた。
独裁法王を懲らしめた後に一目惚れされて同行してきた。
これもエルフの姉妹のせいで婚約4。
「絶滅した同胞の悲願のために、ワタシも頑張って子だくさん産むでありますー!」
この星杯外知的生命体は、滅んだ故郷を後にして数千年も箱舟で何世代も繰り返しながら、住める星杯を目指し続けてきた末裔。
妖精王ランスピアの頼みにより婚約させられてしまった。
「「「「幸せになりましょう!!!」」」」
「あのさぁ……」
リッテ兄様は十二人の新妻を連れてきて「頑張れよ」と片目ウィンクしてきた。
そっちよりマシかもしれないなぁ……。
あれから半年が経った……。
妖精王国タノシティで、スーパー箱舟二号が浮き出してくる。
種族混合で大勢の人々が喝采し、紙吹雪を散らす。
龍人の長ゲキリンや妖精王ランスピアやドラゴン娘ハーズなど、知ってる方も見送りに来てた。
大魔王や魔王も勇者も関係なく、新たな旅立ちを応援してくれているようだ。
「よし! 行くか!」
「どこまでもお供いたしますわ!」
「当たり前でしょう! 私はアッセーとならどこへでも行きます!」
「もっと壮大な旅をするのですー!」
「ふふっ、聖女としてアッセーとラブラブしていきましょう」
「子だくさん産むでありますー! もっともっと種の弾幕張るでありますー!」
「今度こそアッセーさまと一緒に旅できます!」
「同じく!」
「キャハー! 悪魔ギャルでーす! ヨロヨロピー!」
アッセーはローラル、アルロー、ユミ、マトキ、グング、アルテユミ、アルディト、ポッデン(なぜか加入)と一緒に遥かな世界へ飛び立つ……。
数え切れないほどの星杯が点在する宇宙のような未開の空間。そこではどんな冒険が待ち受けているのか。
胸にそんなワクワクを秘めて、アッセーたちスーパー箱舟二号は出航した。
「さぁ、新しい冒険の始まりだ────────!!!」
「「「お────────────────っ!!!!」」」
シュパ────ン! 空の彼方へ一点の光と化す……。
~Fin~
あとがき
無事完結しました!
読破してくださった皆様、ありがとうございます。
なんか微ヒットしてたみたいで、筆者も驚いております。
それから銀河帝国が星杯列強を連ねて、宇宙規模での婚約バトルが繰り広げられて婚約者が増えていくという第二部は予定しておりません。なんじゃそりゃ。
というわけでターバン先生の次回作にご期待ください。ではまたー!




