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長い説明回の連続で、本当に申し訳ございません><
今暫く付き合ってやってくださいませ( ノД`)シクシク…
[今、私の声を聞いているのはエリィかしら…ティルシーの可能性もあるけれど]
事務的な物言いが途切れ、感情が入り込んだ声が突然流れた。
[……どちらでも良いわ。
もしエリィかティルシーなら……いえ、多分エリィよね?
……ごめんなさい。
出来れば私達でどうにかしたかったのだけど、これを見て聞いていると言う事は、血の力が必要になったと言う事なのでしょう…]
ティリエラの声が沈み込む。
[頑張って調べ続けてはきたけれど、失われたモノはとても多くて……でも、この部屋の封印魔具を割る事が出来たのなら、魔法を発動出来るようになったと言う事…。
幼い頃からエリィは何処か違う存在感があったから、もしかしたら最後の最後には魔法発動に至るかもと思っていたのだけど……事態は酷くなってしまったのね。
貴方を残して逝くのはとても心残りだけど、私ももう長くはなさそうだから、ここまでで分かった事、もしかしたら…と思う事をこれに残して逝くわね]
エリルシアは唇を噛んで苦笑を浮かべる。
「……最後の最後って…全くそんな事はなく、王子殿下の……ラフィラス様の顔で思い出しただけですよ…。
ほんと…馬鹿みたいな理由でしょう…?」
何か言葉にしないと泣き崩れてしまいそうな気がした。
そしてエリルシアは自分の掌を見つめる。
(いつか贈り物…なんて………。
もう十分すぎる程貰ってるのですけど…ね…)
ふるっと頭を一振りして、祖母の声に再び集中する。
聞き終えた頃には壁に凭れていた。
疲労感が半端ない。
祖母が調べた事、予想諸々…魔法大戦以前は、こんな事態が頻発していたのではないかと言う事だった。
だから調整者が頻繁に各地を巡って状況を把握、各地の管理者と連携して大きな被害が出る前に対処していたのではないかと。
それというのも瘴気が持つ性質…と言うか側面に起因する。
どうやら人間にしろ魔物にしろ、魔力を使う事でも瘴気は発生するらしいのだ。
どう例えればわかり易いだろうか……。
静脈血と動脈血……そのイメージが一番わかり易いかもしれない。少なくともエリルシアがイメージしたのはそれだ。
血液は酸素を運ぶ。酸素を多く含んだ状態…動脈血は一般的に鮮紅色とも言われる色を呈している。それが各部位へ運ばれ、酸素と二酸化炭素の交換が行われた後は、暗赤色と呼ばれる色へと変わる。他にも老廃物などの運搬も担うが、まぁ平たくざっくり言うなら、未使用の血液と使用後の血液…そんな感じだ。
魔力にもそれが当てはまる。
魔力を使用する前と使用後では、其処に思念などの不要物が組み合わさったりするので、それを浄化すると言う手順が必要となる。
静脈血が肺へ送られガス交換が行われるのと似たような感じじゃないかと考える。
魔法大戦以前は人間も魔法を普通に使っていたと言う。
つまり…二酸化炭素や老廃物=瘴気の増産体制の出来上がりだ。
この為、人の手で管理する必要があった訳だが、現在魔法を使う人間は居ない。
エリルシアが異分子なだけだ。
その為、間隔が伸びた。瘴気の増え方が緩やかになったのだから。
結果、知も技も、血さえ断絶、散失するに至ったと言う訳だ。
現に祖母が調べたが蔓の血はウィスティリス家とヴィンデ家しか見つけられなかったらしい。
だからこそ魔法が失われた後の異変については、規模も何も、はっきりとはわからなくなってしまった。
そして、やはり管理者が対処できる異変は、限られているらしい。
祖母ティリエラは、ヴィンデの血の散失を良しとせず、ウィスティリスに迎え入れた。
つまりエリルシアと、もし魔法発現があればティルシーも、ロズリンドとネデルミスの異変は対処可能だと言う事だ。
エリルシアの内側の前世以前の記憶達が呟く。
『…やってくれたな……』
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