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【だから、多分これまでは人間がその辺に手を加えてた……そんな記憶があるのよね】
つまり、濃度が上がり切らないうちに、誰か……例えば管理人が居て、その人が調整してた…みたいな?
【で、エリルシアは手を加えられる人って事ね!】
「………はい?」
【ほえ?
あ~えっと……わたしは言うなれば浄化装置というか、エネルギーの塊みたいなものだから、基本的には自分の意志でどうこうって言うのはないのよね。自然の流れで集められて…っていうのは可能だけど、意図的には無理って事!
だから手出し出来る人間がいたならお任せと言うかぁ…。
ま、魔素に起因してるから、魔力器官がない人じゃ話になんないのだけど】
『魔力器官?』と言う疑問が顔に出ていたらしい。
【そうね…後で良いから、他の人間を視てみてよ。
ぼへっと見るんじゃなく『視る』ね!】
「……はぁ…」
前世以前の記憶が戻った事で、エリルシアは魔法が使えるようになったと思っていたのだが、そもそも魔法が使える可能性のある人間は限られていたと言う事だろうか?
多くの人間は、最初からそんな器官がないとか、衰退したとかだろうか……もしかすると過去にあったと言う魔法大戦の影響もあるかもしれない。
尤も、それを確かめる術はないのだけれど…。
兎に角、ロザリーは元は単なる魔素…ただの物質にすぎなくて、エリルシアと言う偶々魔力器官を持った人間が居た事で繋がり、偶々人型を得た……そう言う事か。
全てが偶然だと言うのなら、はっきり言ってエリルシアはかなり運が悪い。
誰が好き好んで無駄に壮大な事象に関わりたいなんて思うだろう……少なくともエリルシアは思わない。
【…む……なんか、それ…違う】
「ぇ?」
【だ~か~らぁ~…違う!
誰でも良いんじゃないの!!
だって……】
違うと言うのはどう言う意味だろう?
互いにわからない事が多すぎて、これで良く会話が成立しているものだと感心してしまう。
「…だって……多分だけど…いつも似た気配の人が居た……そんな気がするんだよ」
似た気配……。
ふと浮かんだ可能性は2つ。
1つは、魔素の管理をするには、それに対応した能力や技能が必要である場合。
もう1つは、その能力や技能を継承する血脈が存在する場合。
【うん!
そんな感じ!!】
……また勝手に人の脳内を……はぁ…。
【でも、そういうのって人間側で……何て言うんだっけ?
えっと……う~~~~んと…そう!
引継ぎとか申し送りっていうのよね?
そういうの、するんじゃないの?】
言われれば確かに……。
ロザリーが本来はただの物質…魔素でしかないなら、その管理は人間側が勝手に行っていたと考えるのが自然だろう。
意識も何もないエネルギー体が、自分から『管理してくれ』等とは言わないはずである。
「そう……ね。
ただ残念ながら私は何も知らないわ」
【そっかぁ…。
まずはその辺を調べないといけないのかな……。
数百年とか数千年に一度は発生するんだから、きっと何処かに残ってるはずだよね!】
今、耳に入った単語を脳が拒否した気がした。
待て待て……数百年は兎も角、数千年…?
「そんなスパンじゃ、色々と途切れても仕方ないわよ!!」
エリルシアは視線を落とし、思考の中に入り込む。
(そんな長い間隔があるのなら、管理人は恐らく血脈と考える方が良さそう。
過去の誰かが血の中に能力や技能を組み込んだ。
この世界の過去、そんな事が可能だったかはわからないけれど、別の世界、別の時間では可能だった事を私は知っている。
となるとウィスティリス家自体が管理人の血脈だった?
じゃああの童話……いえ、こうなると童話かどうかも怪しい…マニュアルとか覚書とか、そんな側面があったのかも……そう考えれば、情報が散漫、断片的だったとしても頷ける
なら蔓の姫は管理人? でも、訪ね歩いてるだけで管理人? なんだか違和感を感じのは私だけかしら……まぁ、それは良いわ、それは……)
エリルシアはじっとりとロザリーを半眼で見据えた。
(5つの宝玉……。
こんなのが……あと4つも居るって事…?)
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