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【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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 何処(どこ)の手の者達か知らないが、不測の事態に連携が取れない程度の連中で助かった。

 現れた覆面達を制圧後、周辺も見回って居なくなっていた護衛兵の捜索もしておく。

 残念ながらローブを着込んだ男の姿はなく、逃げられてしまったようだ。

 先にやって来た覆面達の後方に位置していたのだから、仕方ないかもしれない。


 護衛の兵士達は路地の奥まった場所で発見された。

 不意打ちで斬り付けられたり殴られたりした後、一箇所に纏められていたらしい。

 ただ、残念な事に、既に事切れている者も居たようだ。中には殴打されて意識を失っていただけの者も居たようだが、無残な話である。

 


 騒動を聞きつけ、お使いに出した子供の身を案じたシスターは、思いもよらない状況を前に、戸の陰に隠れているしかなかったそうだが、収束したと察すると、出てきて縄の提供や負傷者の手当等の手伝いをしてくれた。



「エリルシア嬢…本当にありがとう。

 そして……ごめん…」


 ラフィラスが泣きそうな顔で目を伏せた。

 しかしエリルシアの方は何に対する謝罪かわからない。どちらかと言うと、護衛でもないのに乱入してしまった事を、エリルシアの方こそが謝るべきなのではないかと思う。結果的にラフィラス、レヴァン、ヨナス、そして子供に怪我はなかったが、一つ間違えば大惨事だったのだから。


「ぬ……ぃぇ、私の方こそすみません…事情も知らないのに割って入ってしまって……」

「事情も何も…見た通りで、子供を盾にされて僕達は動けなかった…。

 貴方に危険な真似をさせてしまって…どう謝罪したら……本当にごめん…そして感謝してる。

 嫌だな…こんなありきたりな言葉しか出てこない……」


 やっぱり生真面目で優しい人なのだろう。

 色々と不運も重なって、これまでは少しばかり不遇を強いられていたのは確かだろうが、これからは少しなりとも運気が上昇すると良いと思う。


 しみじみとそんな事を一人考えていると、気付けばラフィラスが無言で固まっていた。

 まさか怪我でもさせてしまったか…と慌てる。


「殿下、もしかしてお怪我を?

 も、申し訳ございません!!」


 平身低頭謝るしかないと、マナーも何も吹っ飛んで、深々と頭を下げた。

 だが、頭を下げたエリルシアに降ってきたのは、不可思議な言葉と布の感触。


「違う…僕は…その……。

 これで隠して……誰かに見られるのは、その…」


 恐る恐る頭を上げると、ラフィラスが赤くなりながら、エリルシアに自分のマントを羽織らせていた。


 そこでやっと気が付いた。

 スカート部分を破り捨てた事を…。

 一応ズボンと言うかブリーチは身に着けているが、貴族女性としてはしたないと言われても仕方ない格好だ。

 更には靴は女の子仕様と言うちぐはぐっぷり…。


 恥ずかしすぎて、頭が爆発してしまいそうである。

 穴があったら入りたい心境とはこの事だ。

 いや、下手をすると不敬で牢屋行きかもしれない…。


「ごめん、もっとスマートに渡せたら良かったんだけど…その…ほんと、ごめん」

「ぃぇ、は…反対にお目汚しで…出来ましたら不敬は問わないで頂けますと助かります……」


 『いやいや、王子殿下はなんにも悪くないデスヨ』と心の中で突っ込みを入れる。

 とは言え、激しく気不味いので、被せられたマントでありがたく身体を隠させて貰いながら、深く一礼すると誤魔化すようにレヴァンの方へ向き直った。


「こ、公子様も大丈夫…です、か?」

「ぇ、ぁ……ぁ、あぁ…申し訳ありません…」


 エリルシアが掛けた言葉に、ようやっと現実に立ち戻ったようだ。

 呆けてくれてくれていたようで助かった。

 こんな間抜けな姿は認識されたくない。


 それにしてもレヴァンの顔色は、血の気が失せた様に青白い。

 ラフィラスが宥める様にレヴァンの背を撫でているが、普段の様子からは考えられない程弱々しい。

 返事があった事にホッとしていると、これまで聞いた事のない、苦みを含んだ声が聞こえた。


「……側近が…聞いて呆れます……」

「…ぇ?」


 レヴァンは自分の両手を見つめる。








ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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