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【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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54 狭間の物語 ◇◇◇ レヴァン4

独り言ちる:誤用とも言われますが、辞書にはも掲載されているようなので使用しています。誤字ではないとお考えいただければ幸いです。



「閣下、申し訳ございません…この前の会議の書類についてなのですが…」

「割り込むな、此方(こちら)が先に話しているんだぞ」

「ロージント公爵様、警備の見直しの件なのですが…」


 レヴァンはスンと無表情で目の前の喧騒を眺めていた。

 どうやらこの国の王宮には、人手が足りていないらしい。


「す、すまぬ…レヴァンよ、どうも時間切れらしい。

 一人で戻れるか?」

「はい、問題ありません。

 公爵閣下、ありがとうございました」


 血の繋がりはあるが、これまで殆ど面識もなかった祖父だし、何より此処(ここ)は王宮である。

 礼儀を重んじるべきと考えたのだが、一瞬ジョストルの表情が曇ったように見えた。

 あまり他人行儀なのもいけないのかもしれない…。


 文官や武官達に囲まれて去っていくジョストルを見送りながら、レヴァンは『加減が難しいですね…』と(ひと)()ちた。


 王太子夫妻他への挨拶という王宮での用は、先んじて全て終了している。

 父ウッカーが勝手に話を進めていた見合いらしきものも、ジョストルのおかげであっさりと終了した。

 尤も、原因となったウッカーの短慮の尻拭いに来ただけで、レヴァンには見合いのつもりは欠片もない。

 開口一番、断りを告げると令嬢の方は盛大に泣き始めたが、付き添いの子爵本人はあからさまにホッとしている様子だった。


 なんにしても『令嬢』という生物は、本当に面倒で()(がた)い。

 婚姻等政略の一つにすぎないにも拘らず、あぁも一喜一憂出来ると言うのは、一種の才能なのかもしれない。


 既に嫁いだ姉がいるらしいので、後継問題はクリア出来そうな気がしている。つまり、可能ならば自身は一生独身でいたいと思っていると言う事だ。

 ちなみにその『姉』と言う人物とは、まだ顔合わせをしていない。

 随分と年も離れているようだし、姉とは言っても『令嬢』と言う生物に違いはなく、合わずに済むならその方が良い。


 それにしても馬車止めまで遠い…。

 王宮が広いのは当然で、初めての場所でもあるし、来た道をそのまま戻っていたのだが、このままでは先だって見合いもどきをした場所に出てしまう。

 あの子爵父娘(おやこ)はもう居ないだろうが、出来れば可能性も残したくはない。

 レヴァンは少し道を逸れる事にした。


 それにしても本当に、無駄に広い……気付けば庭園に出てしまったらしい。


「困りましたね…」


 向かうべき方角は把握しているので迷った訳ではないのだが、如何せん広すぎる。

 もう少しショートカット出来ればと、レヴァンは足を止めた。


 庭なら庭師くらいは居るだろうし、その人物に聞いてみるのも手かと、周囲を見回す。

 すると動く何かが目に入った。

 動いていたのだから人だろうと考え、足を向ければ其処(そこ)に居たのは侍女。しかも複数人居るのがわかり、レヴァンはむぅと半眼になってしまう。


 庭、侍女数名……導き出されるのは令嬢達の集い…。


 至った考えに、レヴァンは思わず嘆息した。

 これは反転180度が妥当だろう。

 だが、その時だ。


「これでいいんですよね?」


 令嬢にしては品のない…いや、侍女だとしても品がなさすぎる声が飛び込んできた。

 大きな声で、到底王宮の庭と言う場所に相応しくない声。

 少女の声に聞こえるが、礼儀の覚束ない幼女とは思えない声だ。


 レヴァンは嫌な予感に一瞬躊躇う。

 いや、躊躇った気はするが、考えるより先に身体が動いていた。

 王宮内であんな大声を出す存在に、警戒しない者等いないだろう。


 斯くして、その判断は正解だった。

 令嬢達の集いだからと避けていたとしたら、レヴァンは出会えなかっただろうから…。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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