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【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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(早く時間が過ぎてくれないかしら……)


 スザンナから話を聞いていたエリルシアは、ちらと視線だけでアーミュの動向を時折窺う。

 相変わらず憎悪と嫌悪を露わにして、エリルシアを睨み付けている。


 王宮の厨房を預かる料理長の、新作菓子を楽しむだけで、それ自体はエリルシアもとても楽しみにしているのだが、無遠慮に突き立てられる視線のおかげで、無駄に疲れる集いとなっていた。



 今日はテラスでのお茶会となるらしい。

 夏の暑い盛りではあるが、室内より風が感じられて涼しいだろう。

 といっても権威を示す等の意味があるモノではなく、あくまで子ども同士の交流の為のもので、凝った趣向等はない。


「ウィスティリス嬢、これ、料理長が是非君にって。

 僕は知らなかったんだけど、いつも一言伝えてくれてるんだって? 料理長はそれが凄く嬉しかったみたいなんだ」


 時間も手間も…更に厳選された素材と技術までも、惜しみなく注ぎ込んで作られた料理の数々に、感謝と感想を伝えただけの事で、至って普通の事だと思うのだが、喜んでくれたのなら何よりだ。


 侍女が切り分けてくれたのは、夏という季節に相応しい、柑橘の風味と香りが爽やかなケーキである。しかも冷蔵魔具に入れられていたので、ひんやりとしている。

 淡い黄色からオレンジ色への移り変わりも、目に楽しい。


「それはそうと、この前の話……覚えてる?」


 アーミュの目がギリリと吊り上がっているのに気付いていないラフィラスは、笑顔でエリルシアに会話を向けてきた。

 ぶっちぎって逃げたい衝動にかられたが、あまりな態度では不敬を問われかねない。


「この前の話と言いますと、ネデルミス王国から戻られる公子様の御話でしょうか?」

「うん」

「随分と長く隣国にいらっしゃったと聞いています」

「そうなんだ。

 僕と年齢が近くて、側近候補だったらしいんだけど、幼い頃から隣国に行っちゃってたから、会った事もないんだよ」

「ネデルミスは大国ですし、学問機関も充実していると聞いています。

 其処(そこ)で研鑽を積まれた公子様でしたら、王子殿下の側近として華々しくご活躍される事でしょう」

「そっか、うん。

 ねぇ、ウィスティリス嬢はネデルミス王国について詳しい? 教えて欲しいんだけど」


 妹扱い子分扱いは仕方ないにしても、年下に教えて欲しいと(のたま)うのは、如何なものだろう…。

 そう言う事は学院の教師なり、両親に教えて貰うなりすれば良いのではないだろうか?


「私等より、学院の先生方や王陛下、王太子殿下御夫妻に教えを受けるのが宜しいのではないでしょうか?

 私はまだ学院にも行けぬ年齢でございますから、王子殿下にお教え出来る事等、あるはずもございません」


 最早慇懃無礼と言われても仕方ない物言いになってしまったが、そのくらい避けたい、関わりたくないと言う心情を、是非とも汲んで欲しいと切に願う。

 後、学院に行けないのは年齢云々(うんぬん)ではなく、主に金銭面だと言う話はする必要がないので、口を(つぐ)んでおく。


「そんな事ないよ。

 ウィスティリス嬢は博識だし、話してて楽しいんだ。

 この前の水路の話も、言われれば確かにそうだって思った。

 王都では大雨が降ると水が溢れるなんて、知らなかったし、確かに水路の拡張は急務だよね。

 その水路の工事なんだけど…」


 いずれ自分が治める事になる国の話に、これまでどれほど興味がなかったのやら……いや、話す相手が居なかっただけなのかもしれない。

 いつだったか……ラフィラスが伏し目がちに零していたのだ。


『アーミュは一緒に居てくれるけど、難しい話はわからないって嫌がるんだ。

 だから僕もつい避けてたんだけど……』


 流石にこれはラフィラスだけの責任とは言えないだろう。


 そんな一場面を思い出していると、侍女がお茶の入れ替えを勧めてくれる。

 ケーキも食べ終わった事だし、新しくハーブティーを仕入れたからと言われ、エリルシアとラフィラスが頷く。


「ではお持ちしますね」


 そう言って侍女が離れようとした所へ、声が飛び込んできた。


「これでいいんですよね?」


 アーミュが、ハーブティーらしきものを、なみなみと注ぎ入れたカップを手にしてやってくる。

 ソーサーやトレイに載せるでなく、手に直接カップを持ったまま、止めようとする侍女の脇をすり抜けて、彼女はテーブルに突撃してきた。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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