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【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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 返事に窮するエリルシアに、ホメロトスが好機と見たのか、ほくほくと畳みかけてきた。


「ふむ…そうじゃ!

 王宮に留まってくれれば、王宮図書館への出入りを許可しよう。

 あぁ、魔具の保管庫へも!

 もしかしたら其方(そち)の領で役に立つ魔具があるかもしれん。

 どうじゃ?」


 ホメロトスは、これ見よがしに態々(わざわざ)腕組みをする。

 大根役者も真っ青だ。


「お待ちを…。

 流石に魔具保管庫については、マグノリア公爵を交えないと…」

「何も、無断で持ち出したり、壊したりしようと言うのではないんじゃ…事後報告でも問題あるまい」


 思わず声を上げたギアルギナ公爵リモンの焦った様子も、エリルシアの目には入っていないらしい。

 やはり腐っても王と言う事だろう…ホメロトスの言葉は想像以上にエリルシアに突き刺さっていた。


(なんですって!? マジですかっ!?

 王宮図書館……まさか…もしや…禁書庫も出入り自由になるとか!?

 …って、落ち着いて…落ち着くのよエリィ…。

 禁書庫がダメでも、王宮図書館に出入り自由と言うだけで、とんでもないメリットよ。だって、絶対に領邸の書庫とは比べ物にならないはずだもの!

 それに魔具の保管庫ですって!?

 そんなの……見たいに決まってる!)


「承知しましたっ!!」


 一瞬のうちに駆け巡った思考の後、反射的に返事をしていた。


「………ぁ…」


 後悔先に立たず…である。








 我に返り、してしまった返事のアホさ加減に凹む間もなく、エリルシアは御満悦のホメロトスに連れられて、庭の方へ向かう事になった。


「さっきは済まなんだな」


 庭園の中を縫うように敷かれた道を進みながら、前に立って歩くホメロトスが振り返らないまま話し出す。

 エリルシアは何に対する謝罪かわからず、首を傾げた。

 何と言うか…王太子に対する態度は兎も角、腰が低めの王様だなと思う。


「一部誤解して騒ぐ者がおるのも、本当の事ではあるんじゃがな…。

 ラフィラスは幼い頃よりあまり身体が丈夫ではなくての。

 その上、儂の息子ラカールとその妃のやらかしもあって、ずっと肩身の狭い思いをしておるんじゃ…。

 伏せる事が少なくなってからは、体力づくりと気分転換の為に、儂が王家の馬房によく連れて行っておったんじゃが、そこで儂の友人の孫と遊ぶようになっての。

 以来幼馴染となり、今はラフィラスの傍に仕えてくれておるんじゃよ」


 エリルシアはホメロトスの言葉を聞きながら、さっきの一幕を思い出す。


(なるほど?

 つまり…よ。

 庭に出る前に王陛下が言った『メイド』と言うのが、その幼馴染って事なのかしら?

 メイドと言うからには女の子よね?

 でもって公爵様が下位貴族とか言ってたから……そのメイド兼幼馴染の女の子は、本来王子殿下の傍に近づける身分ではないと言う事……。

 いやまぁ、別に本物の婚約者になる事はないと思うし、王子サマとメイドさんがどういう関係であっても、私に何か影響するかと聞かれれば……別にないはず。

 一番近くで見ているはずの王が、噂を否定してる訳だしね。

 とは言え、面倒事に巻き込まれるのは真っ平ごめんだわ。

 さっさと王宮図書館と魔具保管庫を制覇して、王宮からオサラバするのが最善ね)


 ホメロトスの話を聞いているうちに、庭園の端まで着いたようだ。

 ちょっとした広場のようになった場所にでる。


「お祖父様!」


 少年特有の涼やかさの中に、子供らしい甘えを含んだ声が響いた。


「おお、ラフィラス!

 此処(ここ)に居って良かったわい。

 紹介したい者が居っての」


 ホメロトスの促しに応え、エリルシアはカーテシーをする。

 エリルシアの、年齢に見合わない優雅で卒のない美しい所作に、ホメロトスも満足そうだ。


「王子殿下には初めてご挨拶申し上げます。

 ウィスティリス侯爵家が第2女、エリルシアと申します」

「初めまして。

 僕はラフィラス。

 頭を上げて」


 言葉に従いエリルシアはゆっくりと顔を上げた。

 その途端、脳裏に蘇る光景……、


 寄り添う少年と少女の影、そして言葉。



【(好きなんだ)】

【(あ…あの、あたしも好き……でも…)】


 まるで頭部を殴打されたかのような鈍痛に、エリルシアの意識が揺れる。


(ちょ……何なのよ、これって。

 え? え?

 待って待って、つまり私は惹かれ合う二人を引き裂く邪魔者ポジション…?

 あ…悪役令嬢って事!!??

 ………へ? あくやく…れい、じょう…って………何…?)


 今度こそエリルシアの意識が薄く、遠退いた。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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