表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/142

第75話 【美女とヤカラとハイキック】

「あれは魔法ではないのか? 人が空を飛んでおったぞ?」


 興奮したイライアが、礼二郎に掴まる手に力を込めた。

 ムニィ!

 豊満なオッパイを礼二郎の上腕部に押しつける。


「グハッ! 師匠ッ、胸が当たってます! あ、あれは魔法じゃありません。全部作り物なんですよ」


「当てておるのじゃ。なんと、あれが作り物じゃと!? あの巨大な魔獣もか!?」


「あ、当ててって! ほ、本物にしか見えませんが、あの魔獣――ゴドラという怪獣ですが、あれも作り物なんです」


「なんと、あれもか!? てっきりこの世界にも、ベヒーモスがおるのかと思ったぞ。ところで我が弟子よ」


「ええ」


「気付いておったか」


「3人、ですか」


「うむ、なんとも粗末な尾行じゃな」


「映画館を出てからずっとですね。もしかしたら僕を……」


「〝けいさつ〟のことなら心配いらぬぞ。〝チョーカン〟とか言う一番偉い奴に話をつけたからの」


「あ、だから監視の目が……。えっと、誰も殺してないですよね?」


「ワシをなんだと思っておる。ロリスじゃあるまいし無益な殺生はせぬよ。ただお主に関わらないよう言い含めただけじゃ」


「す、すみません。ではこいつらは……」


「直接本人に訊けば良かろう。ほれ、あの先で曲がるぞ。ほれ、行くぞ、ほれほれ」


「だ、だから、胸がぁぁッ!」「だから、当てておる」



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



 人気の無い裏通りに入ると3人の大柄な男達が、礼二郎達の前に立ち塞がった。

 

「ふへへ、自分でわざわざこんな場所に来るとはな。しかしたまんねぇ!」

「おい、兄ちゃん。お前は帰っていいぞ。この痴女の姉ちゃんは俺たちに任せな」

「近くで見るとなんつー格好だ。最高かよ! 安心しろ。一晩たっぷり楽しんだら帰してやるぜ。ひっひっひ」


 男達はギラギラした目で、最恐魔女イライアの全身をなめ回すように見つめた。

 どうやら純粋かつ不純に、ハイパーエロチックOLイライアをご所望らしい。

 

 手段は許せんが、気持ちはわかる。

 と、礼二郎は少しだけ、男達にシンパシーを抱いた。

 だが師匠は痴女ではない! 参考文献がアレだっただけだ!

 

「なんと! この平和な世界にも盗賊がおるのじゃな! しかも狙いはワシじゃぞ!」


 イライアが興奮気味に言った。

 なるほど、異世界ではイライアに絡む者などいないので、新鮮な感覚なのだろう。

 この凶悪な魔力を少しでも感知できたら、近づこうとも思わないはずだ。


「盗賊? うーん。ちょっと違うような。こっちの世界では〝チンピラ〟とか〝ヤカラ〟と呼んでますね」

「見たところ手ぶらじゃが、魔法を使うのか?」

「魔法なんて使えませんよ。素手で乱暴するつもりなんです」

「なんと! 魔法も使わず素手でワシを!? それは斬新じゃな!」


「なにゴチャゴチャ言ってやがる! いいから俺たちと、グエェッ!」


 イライアの肩を掴もうとした男が、後方に吹っ飛んだ。

 ガンッ! 壁に当たり顔面から倒れ、動きを止めた。


「汚い手で師匠に触れるな」


 男の腹を蹴った右足を上げたまま、礼二郎が言った。


「このガキが!」 男のひとりがナイフを取り出した。


「ン? 我が弟子よ。あの男が持っているのはなんじゃ?」

「ナイフですね」

「あんな小さな刃物を出してどうするのじゃ?」

「武器として使うのでしょう」

「なんと! あんな小さな刃物でチクチク刺すのか!? それは斬新じゃな!」


「な、なにを話してる……ブワッ!」


 ナイフを持った男が横に吹っ飛んだ。

 礼二郎の回し蹴りが顔面にヒットしたのだ。


「もしや足だけで倒すつもりか?」

「ええ、僕の手は美しい淑女をエスコートするためのものですから。汚すわけにはいきません」

「ど、どこで、そんなセリフを……。顔が熱くなるではないか」

「あとひとり!」


 ゴッ! 呆然と立ち尽くす男の顔面に礼二郎の靴底がめり込んだ。

 礼二郎が足を下ろすと、鼻の曲がった男が白目を剥いたままゆっくりと崩れ落ちた。


「無手の体術か。見事なものじゃ」

「エバンスさんに5年間たたき込まれま……ふへ?」


 チュッ。礼二郎の頬にイライアの唇が微かに触れた。


「姫を守った騎士へ、ご褒美じゃ」

後書き)


礼二郎は女性といるときは、チンピラ相手に手を汚さない(※物理的)ことを覚えました。

★参考:第15話 【15年振りの故郷とベタな悪党】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品を読んで頂きありがとうございます!
少しでも気になった方は、一度作品の評価をしてくれると、うれしいです、うれしいです、うれしいです!(☆☆☆☆☆をタップするだけです)

★★★★★で、応援していただけるとすごく励みになります!


ブクマもうれしいです! 超うれしいです!
気に入らなくなったら、遠慮なく評価を取り消して構いません(※同じ場所をタップすれば簡単に取り消せます)
script?guid=on<
『転生したら悪魔ハーレムでした!?~愛弟子に毒殺された錬成術師は魔人となり7人の美女悪魔を仲魔にして王族に転生する』
こちらもブクマ&評価で応援いただけると大変励みになります。
 小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ