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第73話 【美魔女、街なかで服を脱ぐ】

「素敵ぃ!」「え? 芸能人?」「綺麗……」


 通行人の女性達が足を止め、口々に噂する。

 タクシーを降りたばかりの人物に、大勢が見とれている。


「師匠、もしかして『認識阻害』をしていないんですか?」


 注目の人物をエスコートする全身しま○ら服の男――礼二郎が言った。

 

「うむ、お主との逢瀬じゃぞ。それにふさわしい振る舞いを、民草に見せつけねばならぬからな」


 その人物の正体は――真っ黒いタイトなドレスに、黒い毛皮のロングコートを着た女性――最恐のこじらせ魔女イライア=ラモーテであった。

 

 伝説のユニークモンスターと言われるダークネス・キングベアーの毛皮でできたロングコートは、金貨5000枚は下るまい。

 日本円にして実に5億である。

 

 ちなみに礼二郎は全身合計で1万円ほど。

 異世界通貨にして実に銀貨1枚である。

 

 一応、これでも礼二郎の勝負服だ。

 こず枝にもらったマフラーはさすがに巻いてこなかった。


 長い付き合いだが、イライアがこのコートを着ているのを見たのは二度目になる。

 ある有力貴族のパーティーに、礼二郎と招かれたとき以来だ。

 これはイライアの超勝負服なのだ。

 

「なんであんな男と……」「なんだあの全身しま◯らのダサいガキは!」「うらやましい……」


 イライアの手を取る礼二郎を見て、通行人の男性全員が怨嗟の声を投げかける。

 実に心地よい。

 だが、し◯まむらをバカにするのは許さん!

 って言うか、しまむ○だと見抜いたってことは、お仲間ですよね?

 そして、注目の的となった魔女と言えば、周囲の視線を意に介すことなく、礼二郎の手を取った。


「さて行くとするか。――ふむ、やはりこうじゃな」


 言って、イライアが礼二郎の左腕に、腕を絡めた。

 ムニッ! 高級毛皮越しにもかかわらず、柔らかいおっぱいが存在を主張してきた。

 1980円のジャケット越しのおっぱいにドギマギしつつ、礼二郎は紳士らしく振る舞った。


「はい。では参りましょう」


 言った礼二郎の身長が、171センチ。

 魔女イライアの身長は175センチほどだろう。

 しかも今日は10センチはあるヒールを履いている。

 一方、礼二郎は普通のスニーカーだ。


 そのふたりが腕を組んで歩く絵面は、まるで捕まった宇宙人、もしくはスーパーモデルと歩く羽目になったデザイナーといった感じだった。

 

 

  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 高級感溢れる店舗の入り口で、魔女は露骨に顔を(しか)めた。


「……なんじゃ、ここは?」


 イライアの声には、険が籠もっていた。

 おっぱいを堪能しながらも、礼二郎は全身に汗が浮き出るのを感じた。

 

「こ、この世界では高級な類いのレストランですが……」


 恋愛偏差値の低い最強賢者が、声を震わせた。

 今日のデートのため、チェリーなりに念入りなリサーチをして、厳選したレストランである。

 何がお気に召さなかったのか。

 イライアは、はぁ、と息を吐いた。


「それはわかる。――お主はこの店に入ったことがあるのか?」


「うっ……すみません。無いです……」


「謝らずともよい。なあ我が弟子よ。普段行かないような、こういった店を選択するのは、エスコートする相手に、いい顔を見せようとするからではないのか?」


「うっ……すみません。背伸びしていい顔を見せようとしました……」


「じゃから、謝るなと言っておる。ワシをもてなそうとしてくれる気持ちは、飛び上がるほどうれしいのじゃ。じゃが、ワシはもうお主に惚れておるのじゃぞ? ベタ惚れもいいところじゃ。 それを今更いい顔をして、さらに惚れさせる必要はあるまい」


「べ、ベタ惚れぇ!? で、でも普段僕が行ってた店なんて、ラーメン屋くらいしか……」


「ならばラーメン屋でよいではないか。ワシもラーメンとやらを食べてみたいのじゃ。お主と一緒にな」


「い、いいんですか? でも師匠のドレスが」


「なるほど。ワシの服装がふさわしくなかったのじゃな。これはワシのミスじゃ。では、これでどうじゃ? 《エルゴ・グッティーナ・イヴサール・シャナフ》」


 イライアが呪文を唱えるとコートが、そしてドレスがサラサラと細かい粒子になり消えていった。

 なんと今は街中にもかかわらず下着1枚の姿である。


「師匠ぉ! マズいです! それはダメです!」


 礼二郎が1980円のジャケットを脱いでイライアの悩殺ボディーを隠そうした。

 イライアの肌を他の人間に見られたくなかった。

 

「あわてずともよい。ここは結界の中じゃよ」


「はえ? いつの間に?」


「今なら誰も見ておらぬ」

 イライアが礼二郎の首に腕をまわした。

「いつぞやのように……触っても構わぬぞ?」


「むぐぅ!」


 ムニィ! 礼二郎の顔が豊満な胸に押しつけられた。

 通りのど真ん中、しかも真っ昼間である。

 企画物のアダルトビデオでもこのシチュエーションはあり得ない。

 いや、マジックミ○ー号という、ビンゴな企画物が……ゴニョゴニョ。

 ともかく礼二郎の礼二郎自身は、はち切れんばかりにマックスハートだ。


「むぐぅ! ダメです! は、早く服を! 服を着て下さいぃぃっ!」


「なんじゃ、つまらぬのぅ」


 言って、イライアが身体を離した。

 礼二郎は目を見張り、叫んだ。


「んなぁぁッ! 師匠、そ、その格好はぁぁぁっ!!」

 

※後書き)


★補足情報★


このデートは礼二郎が異世界組を傷つけたお詫びのデートです。

(参照:第42話 【第二回女子対策会議にゃん!】)

本来、今日デートするのは、サイコパス美少女ロリちゃんのはずでしたが、加代ちゃんから買い物に誘われたのでこじらせ魔女イライアに順番を譲りました。


かといってロリちゃんが、礼二郎より加代ちゃんが好きってわけではありません。

どっちも大好きです。ですが、やはり礼二郎ラブです。

譲ったのにも理由があります。


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