表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
最終章 これまで見てきたもの
371/383

もう一人の天才

 「貴方ですか……この街でひどいことをしているのは?」

 「如何にも」


 アリアは自分の前に姿を現したリオに問いかけた。それに対してリオは臆することなく堂々と開き直ってそう答える。


 「お前が噂に聞いた『悪魔の子』だな。悪いがここで排除する」


 リオはアリアに宣戦布告すると右腕に魔力を収束させた。相手が未知の異形を従えているということもあり、彼は最初から全力を尽くすつもりであった。


 「下がっていろ。ここは俺が、お前たちは人狼と化け狐の妨害に集中しろ」

 

 リオは仲間たちに退避を命令するとアリアとの一騎打ちに持ち込んだ。反エリアル団のメンバーたちは後退し、アリアたちから距離を離すように移動をするとそのまま爆音を響かせる妨害工作を続けた。

 仲間たちの退避を確認したリオが魔力を収束させた腕を振り上げると魔力は彼の腕を離れて頭上高くに浮上し、空中に停滞してアリアに狙いを定めているかのように佇み始めた。初めて見る魔法の挙動にアリアは目を疑った。


 「上を見てどうする。俺はこっちだ」


 リオは空中に停滞する魔力に気を取られているアリアを挑発するように攻撃を仕掛けた。アリアを抱えているビシャスは彼女を守るように移動する。


 「危ない!?」


 アリアは咄嗟に防御魔法で空中から放たれた一撃を相殺した。事前にリオが設置した魔力の塊はビシャスの移動先を狙い撃ちするように飛んできたのである。アリアとビシャスはリオ本人による攻撃と彼が設置した魔力による狙い撃ちによる波状攻撃に晒さることとなった。

 弾幕は反エリアル団の他のメンバーたちによるものよりはるかに正確かつ熾烈なものであり、アリアとビシャスは近づくどころか攻撃を回避することで手いっぱいとなってしまっていた。彼女の挙動を見たリオは相手が戦闘慣れしていないことを察知し、攻撃の手をより一層強めていく。


 防戦が続くにつれ、アリアに疲労の色が見え始めた。ただでさえビシャスを解放している間は虚弱体質を晒すことになる上、慣れない戦闘を行っていることによってかなり体力を消耗していたのである。

 足を止めれば波状攻撃に飲み込まれる極限の状況についにアリアは追い詰められ、ビシャスの左腕の中で息を切らした。リオはアリアが疲弊しているのを見逃さず、空中に停滞させる魔力の塊を増やして絶え間なく波状攻撃を仕掛け続ける。

 四方八方からの追い打ちを受け続け、アリアはついに体力の限界を迎えてビシャスの腕の中で意識を失った。ビシャスはアリアを守るように身体を丸め、リオの攻撃を身を挺して受け続けた。しかし耐久力のある精霊と言えど契約が第一である。ビシャスの契約は『主人の命を守ること』であり、このまま契約者であるアリアの身体に戻らなければ彼女の命そのものが危うかった。しかし弾幕の嵐に契約者を晒すわけにもいかない。八方ふさがりの状態であった。


 アリアは意識を失い、ループスは気絶状態から回復しない。まさに絶体絶命の状況に陥ったその時、誰かがリオ目がけて攻撃を仕掛けた。攻撃は弾幕の隙間を潜り抜け、リオの足元に着弾して爆風を引き起こす。爆風の勢いに押され、リオはよろけて尻もちをついた。


 「……?」

 

 リオが顔を上げて攻撃が飛んできた方角を見ると、そこには耳を伏せたまま銃を向ける狐の少女の姿があった。ハルトは騒音が頭の中で激しく反響し、視界が揺れているような状況になりつつもなお戦う意志と行動を見せたのである。

 ハルトは騒音に歯を食いしばりながら耐え、後退したはずの反エリアル団の団員たち目がけて大型銃の引き金を引いた。放たれた魔弾は地上に着弾すると広範囲に紫電を迸らせ、周囲にいた人物全員を巻き込んで麻痺させ、その身体の自由を奪う。

 団員の妨害工作が一つ消えたことで耳障りな音から解放されたハルトはアリアを庇うように駆けつけた。ハルトが駆けつけたのに合わせ、ビシャスは姿を消してアリアの背中へと帰還する。


 「よう。随分と味な真似してくれるじゃねえの」


 ハルトは耳を絞り、銃口を向けながらリオを睨みつけた。彼女は今回の一件の首謀者であり、さらに自分を狙って不快な思いをさせてきたということもあってリオに対して心底苛立っていた。


 「お前が化け狐か」

 「反エリアル団のボスっていうのはアンタで間違いないんだな?」

 「もしそうだと言ったら」


 リオが自分の正体を明かした矢先にハルトは銃の引き金を引いた。銃口から青白い閃光が迸り、リオの右隣を突き抜けて頬に痺れるような感覚を覚えさせる。

 ハルトが本気でこちらを攻撃しようとしているのを察したリオはすぐに反撃の態勢に入ると、それを見逃さずハルトはすぐに引き金を引き直して次の弾を撃ちだした。

 

 「なかなかやる」

 「お前こそ、エリアルに入学すれば成績優秀だろうな」

 「この化け狐め……!」


 攻撃の応酬の中でハルトはリオに対して皮肉めいた言葉を投げかけた。ハルトはリオが元エリアルの生徒だということをカーラを経由して知っていたため、あえて彼の神経を逆撫でするような言葉を選んだのである。

 案の定、リオはハルトの言葉に苛立ちを覚えた。


 「お前、エリアルの生徒だったんだろ?どうして退学なんてしちまったんだ?」


 ハルトはリオに退学の理由を尋ねた。するとリオはハルトの銃撃を弾き返すと攻撃の手を止めた。すでに銃に装填した弾が尽きていたハルトにとってはリオが攻撃してこない今はリロードの絶好のチャンスであった。

 


 「お前は……アルバス・アイムという人物のことを知っているか」


 リオは自分がエリアルを去った理由を語り始めた。彼の退学理由にはアルバス・アイムの存在が関わっているようであった。

 ハルトはリロードを続行しつつも攻撃の手を止め、リオの話に聞き入るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ