その頃ハルトとアリアは
カーラがエリアルの寮に移り、ループスが仕事のために離脱していた頃、ハルトとアリアはそれぞれ試験のための勉強に勤しんでいた。今はハルトがアリアの解いた問題の採点をしているところであった。
「ど、どうしたか?」
「百問中六十二問。まだちょっと危ないかもな」
ハルトはアリアに採点結果を伝えた。座学も勉強を始めたばかりの頃と比べると格段によくなっている。しかしエリアルの入学試験合格をより確実にするためには競合相手よりもより多くの点を取る必要があり、それを勝ち抜くにはやや心もとない数字であった。
「そっちはどうだったんだ?俺の点数は」
「ひゃ、百問中百問正解です……」
アリアはハルトの採点結果を見て驚愕させられた。ハルトの回答はほぼすべて模範解答通りのものであり、しかも実際の試験を想定した制限時間内に回答しきっている。並ぶ者こそいれど誰も右に出ることはない非の打ち所のない成績であった。
「今回はこれぐらいにして休憩だ。詰め込みすぎても覚えきれないからな」
ハルトはアリアに休憩を促した。人間一度に覚えられる量には限度がある。自分はともかくとして、自分よりも才覚に劣っているアリアが自分と同じ量の勉強をこなしたところでキャパシティを超えてしまうことはハルトの目には明白だった。
「疲れました……」
アリアは勉強疲れを感じていた。ずっと走り続けたのと同等の疲労感を覚えていた。基本的なフィジカルの強いハルトと比べると元々虚弱児であったアリアが疲れやすいのは仕方のないことである。
「疲れたときには何か甘いものを食べるといいらしいぞ。せっかくだから何か買いに行こう」
ハルトは広い回復を口実に甘味を求めてアリアを連れて外へと出ていった。疲労回復と気分転換を兼ねての外出のつもりであった。
「そういえばこの辺の店って知らないんだよな」
「知らないのに出てきちゃったんですか……?」
ハルトが見切り発車を決めたことにアリアは思わず突っ込んだ。これでは完全に行き当たりばったりである。だが目的地が決まっていないことなどハルトにとってはさしたる問題ではない。
「まあ適当にうろうろしてたらいいところの一つや二つぐらい見つかるでしょ」
ハルトは気楽であった。エリアルの街を散策するだけで楽しいのか、歩くたびに尻尾が左右にフリフリと揺れる。そんなハルトの隣でアリアは気を揉みながら歩く。
そんなこんなしている内に二人はエリアル魔法学院の前を通りかかった。久々に見る学校を前にハルトはふと足を止める。
「そうだ。ここの学食って確か一般の人でも使えたはず」
ハルトはエリアルの学食のことを思い出した。エリアルの学食は生徒であれば格安で利用できるのだが一般客も多少割高程度の料金で利用することができたのである。そして彼女の記憶が正しければメニューの中には甘味の多少ながら含まれていたはずであった。
ハルトとアリアは学食を求めてエリアル魔法学院の門をくぐった。
「うわ、懐かしいなぁ」
門をくぐり、通りかかる度に目に映る景色をハルトは懐かしがるのであった。




