ブルームバレーはどんなところ
「次はどこへ行くんですか?」
エミリーがいた村を出発して間もなくアリアはハルトに次の行き先を尋ねた。エリアルまでの道のりをハルトがまっすぐに行くはずがないということは予想がついていた。
「ブルームバレーだ。一年中咲き誇る花畑が有名な街だな」
「ほう。それは興味深い」
「あれ?カーラはブルームバレー知らないのか?」
「初めて聞くよ。俺が生きていたときはそんな場所は聞いたことなかったからね」
カーラはブルームバレーのことを知らないようであった。曰く、彼が生きていた時代にはブルームバレーという街そのものが存在していなかったようである。その言葉の真偽はどうあれ、初見であるということに間違いはなかった。
「街のことを知ってるってことは、ハルトさんはそこに行ったことがあるんですよね?」
「あるぞ。花畑もその時に見てきた」
ハルトはブルームバレーでの体験と知り得る知識を語った。アリアは年頃の女の子らしく花畑に興味津々な反応を見せた。
「お花畑は綺麗でしたか?」
「もちろん。花畑は時期によって色が変わってな。俺が見たときは青い花が辺り一面にぱーっと」
「素敵です……今はどんな花が咲いているんでしょう」
「さぁな。行ってみるまでのお楽しみだ」
アリアはもうブルームバレーに行く気満々になっていた。彼女が興味を抱いてくれたようでハルトは安堵を覚える。というのも、ブルームバレーに行くのはハルトの過去の旅の振り返りという面に加え、魔法の勉強で詰め込みがちになっているアリアの気分転換のためのいう思惑があったためである。
「ハルト。お前が過去に立ち寄った場所ってことは昔向こうで何かやって来たんだろう」
ループスはふとハルトに尋ねた。つい先日まで滞在していた村もハルトが過去に何かを起こした場所であった。ブルームバレーも何かを起こしたことがある場所に思えてならなかったのである。
過去の出来事について隠す必要もないと判断したハルトはそれについても教えることにした。
「前に立ち寄ったときは確か観光のために来たんだったかな。でも当時の花畑は上流階級の人間に金稼ぎの道具にされててさ、気に食わなかったから現地の人間がやってた解放運動に参加してた」
「なるほど。そういうことか」
ハルトはブルームバレーの現地民と共に花畑の解放運動を行っていたことがあった。それによって大きな犠牲を払いつつもハルトたちは花畑の解放を勝ち取った。そこで出た犠牲はハルトにとっては苦い記憶である。
「現地に着いたらいろいろやりたいことあるから、そこのところよろしく」
ブルームバレーでの出来事について話している内に何かを思い出したハルトはそれ以上は詳しく語ることなく、適当な言葉で締めるとブルームバレーへの再訪への歩みを進めるのであった。




