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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
14章 魔法使いの始祖
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アリアの学校見学

 カーラの封印を解いた翌日のこと。ハルトとループスはアリアとの約束通り、事前に申請を通していたソルシエールの魔法学校の見学に訪れていた。そこには成り行きでカーラも同行している。


 「あの、申し上げにくいのですが事前の申請がない方の見学はお断りさせていただいていまして……」

 「なんと。見学にはそんな手続きが必要であったか」 

 

 ハルト、ループス、アリアの三人が手続きに則って見学許可証を受け取る中、カーラは受付で足止めを食らっていた。学校の見学は事前申告制であり、三人が申請を終えた直後に封印が解かれたカーラはその手続きをできていなかったのである。

 図らずも魔法使いの始祖を門前払いにしてしまったことに対してハルトとループスは申し訳程度の罪悪感を覚えた。


 「あの……これ渡すんで俺たちが戻るまで街のどこかで時間潰しててくれませんか?」


 ループスは懐から約五千マナを取り出すとそれをカーラに握らせた。一文無しでいつ終わるかわからない学校見学の間の暇つぶしをさせるのは酷であると考えたため、せめてもの餞別のつもりであった。

 カーラは手渡された紙幣を興味津々に眺める。彼はループスから手渡されたそれが通貨であることが理解できていなかった。事情を察したループスは彼に説明を施した。


 「これは今のお金です。食事から嗜好品まで欲しいものはこれで買ってください」

 「ほう、これは通貨であったか」


 渡されたものの価値を理解したカーラは手にした紙幣をポケットに突っ込むと意気揚々と校内を出ていった。カーラがここに戻って来られるかは別として、ひとまずはこの場を納めることに成功したハルトたちは改めて学校見学に臨んだ。


 「学校の中ってこんな風になってるんですね」


 アリアは初めて見る校舎の中に目を輝かせた。ハルトとループスにとっては二度目であり、どこか懐かしさを感じるようなものだったがアリアにとっては話は別である。

 三人が廊下を歩いているとちょうど生徒たちが授業を受けている教室の前を通りかかった。

 

 「あそこに人がたくさんいます……みんな同じ服を着ていますね」

 「あー、制服ってやつだな。あれを着ているのがこの学校の生徒たちだ」

 「制服……いい響きです!」


 アリアは制服を着た生徒たちを食い入るように眺めていた。授業に集中しているのか、受講している生徒たちはアリアに気づいていないようであった。


 「わぁー……」


 授業風景をアリアは夢中になって眺める。いつかは自分もこの中の一人になって皆と一緒に授業を受けている。そんな姿を空想してにやけ顔を浮かべている。

 ハルトとループスは今まで見たこともないようなアリアの表情を見て彼女がどれほど学校に憧れているのかを改めて理解したのであった。


 「ハルトさん、ループスさん……私もいつかは、あの中に入れますか?」


 アリアは期待を寄せてハルトとループスに尋ねた。二人は夢見るアリアに現実を教えなければならなかった。


 「いいかアリア。学校に入るためには入学試験というものを受けてそれに合格しないといけないんだ」

 「入学……試験?」

 「そう。魔法学校に入学しようとする魔法使いたちは常にいる。でも入学できる生徒の数は決まっているから試験を課してそこでいい成績を収めた奴だけが入学できるようになっているんだ」


 ハルトは入学試験の仕組みをアリアに説明した。かつては彼女もループスも一度は通って来た道であり、学校に入学するためには避けては通れない道でもあった。


 「もし、合格できなかったら……?」

 「残念ながら入学できない。入学試験は一年に一度きり、落ちれば次の年まで再挑戦のチャンスはない」


 ハルトはあえて厳しめに語った。一年に一度というスパンは寿命の概念がないハルトとループスにとってはさしたる問題ではないが、歳を重ねる純粋な人間であるアリアにとってかなり長いものであった。


 「今の私に……その試験は合格できますか?」

 「うーん……難しいだろうな。特にこことかエリアル魔法学院は」


 ハルトはアリアの力量から合格の可能性を推察した。今のアリアはハルトとループスから魔法のことをいろいろと教わってはいるが習いたてに毛が生えた程度であり、魔法学校の試験に挑むにはまだ厳しいものがあった。中でもソルシエールの魔法学校やハルトたちの母校エリアル魔法学院は指折りの名門校であるため、付け焼刃で挑んでどうにかなるようなものではない。 

 アリアは現実を知って呆然としたものの、すぐに気を取り直す。


 「私、勉強します……試験に合格して、魔法学校に入学します」


 アリアは魔法学校への入学により強い意気込みを見せた。素の学力以外にも入学金や授業料などの問題があったが経済力を事情にするのはあまりにも残酷であることをハルトは誰よりも理解していたため、それを口にすることはなかった。いざという時は自分たちがアリアの学費を工面すればいいだけのことである。


 「よく言った。頑張れよ」

 「はい……!」


 やり取りを交わしていると、教室で授業を受けていた生徒たちが一斉に席を立った。どうやら今受けている授業が終わったようであった。

 教室の中の音を聴き取ったハルトの脳裏にいつぞやのような嫌な予感が駆け巡った。


 「見学者の子だ!」

 「貴方は入学希望者?」

 「どこから来たの?」


 アリア、ハルト、ループスの三人は教室から飛び出してきた生徒たちによってもみくちゃにされた。以前に訪れたときと全く同じ反応である。

 初めての同年代の生徒たちとの会話にアリアは目を輝かせながら応じた。そこにはかつての臆病で引っ込み思案な姿は見えなくなっていた。


 

 校内散策、授業風景の見学、生徒たちとのコミュニケーションを通じてアリアは初めての学校見学を満喫したのであった。

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