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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
6章 ケモミミ少女、冒険者になる
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狙い撃つ

 ドクヤアラシの討伐を引き継いだ翌日、ハルトとループスはドクヤアラシ探すための作戦を実行に移した。

 クラフテアの冒険者ギルドから市民に昼まで外に出ないように通達され、クラフテアの街は子供一人すら外に出ていない閑散とした状態になっていた。クラフテアの人々はドクヤアラシの危険性を認知していたため、全面的な協力を得ることができたのである。


 ハルトとループスは見晴らしの良い通りにドクヤアラシが好むという木の実を大量に置き、その匂いを魔法で起こした風に乗せて山の方へと送った。匂いの強さはループスからのお墨付きである。

 もしドクヤアラシが人里に行けば食べ物があることを理解しているのであれば匂いに釣られてここへとやってくるはずである。ハルトは双眼鏡を使って視認できる距離から罠を仕掛けた個所をじっと観測し続けた。


 時刻は午前十時、市民が外出を抑えてくれる時間は残り三時間。限られた時間の中でハルトとループスはドクヤアラシを討伐しなければならなかった。

 そんな中、ループスは木の実の匂いとは別に獣臭さと苦みの入り混じった匂いを感じ取った。ループスはその匂いがドクヤアラシのものであるという確信を抱いた。


 「なんか来たな」

 「アレか?」


 ハルトは双眼鏡を覗いているとそこには罠に近づく一匹の野生動物の姿があった。赤色の毛を持ち、背中からは真っ黒な針が無数に伸び、大きな体躯をしていた。話に聞くドクヤアラシの特徴と完全に一致していた。


 「仕留めるぞ」


 ハルトは大型銃を構えると弾を装填し、昨夜取り付けたスコープを覗いてドクヤアラシへと照準を合わせた。

 

 「まだ撃てないのか?」

 「目標が動いてる。足を止めたところを狙う」


 ハルトは耳を伏せ、集中して狙いをつけ続ける。ドクヤアラシは警戒するように罠の周囲をぐるぐると回っており、遠距離からの狙撃が可能と言っても流石に動く相手に当てられるほどの技術はハルトにはなかった。


 ハルトはスコープを、ループスは双眼鏡を通してドクヤアラシの行動をじっと観察した。しかしドクヤアラシは一向に足を止める様子を見せない。

 相手が本能と感情のままに動く野生動物とはいえ、十数分も思うようにいかないことに二人は次第に苛立ちを覚え始めた。


 「直接気を引いた方がいいか?」

 「馬鹿か。それで逃げられたらこれまでの全部がパーだ」

 「じゃあどうしろと」

 「根気よく待つしかない」


 痺れを切らして陽動を仕掛けようとしたループスをハルトは諫めた。警戒心と攻撃性の強い性格をしたドクヤアラシ相手にそんなことをしようものなら逃げられるのがオチである。最悪の場合ループス自身が毒針の餌食になる可能性すらあり、それでは今回の作戦を取る意味がなかった。

 

 時刻は午前十一時、ついにその時は訪れた。

 ドクヤアラシが用意された木の実に手を付けるような素振りを見せ始めたのである。周囲を見回し、誰もいないことを確認したドクヤアラシは貪るように木の実を食べ始めた。


 ハルトは木の実を食べるために足を止めたドクヤアラシの頭に狙いを定めた。野生動物相手であれば直撃すればどこに当たろうが仕留められる威力はあるができることなら急所を狙いたかった。


 「…ッ!」

 

 完全に油断しきった一瞬の隙を見逃さず、ハルトは引き金を引いた。次の瞬間、銃口は大量の魔力を噴き上げて超弾速の魔弾を撃ちだした。

 発射された魔弾はまったく軌道をブレさせることなくドクヤアラシの真正面をぶち抜き、見事に一撃で仕留めてみせた。倒れたドクヤアラシを観測し続けても動く素振りすら見せない。完全に沈黙していた。


 ハルトはスコープから目を離すとボルトアクションで薬莢を排出し、視界を慣らすように眼を擦った。一時間以上もスコープを覗いていたせいで周囲の物体が普段より小さく見えてしまっていたのである。

 

 「まだ終わってない。死んでるかどうか確かめに行くぞ」


 ループスはハルトの手を引いてドクヤアラシが本当に死んでいるのかどうかを確かめに行った。これで仕留め損ねているようなことがあれば大変である。


 「うお、すっげ……」


 間近で見るドクヤアラシの体躯は想像以上の迫力であった。針も見たところハルトの手首から肘ぐらいまでの長さがある。こんなものに毒を含ませて飛ばしてくるのだから近づくだけで危険と言われるのも納得であった。


 「どうしても不安だっていうなら」


 ハルトは小型銃に弾を込めるとドクヤアラシの遺体に一発弾を送り込んだ。ドクヤアラシはピクリとも動かない。死んでいると見て間違いなさそうであった。


 「やはりとどめは念入りにやっておくべきだな」


 ループスは剣を抜くと刃を白熱化させ、その一刀でドクヤアラシの首を刎ねた。その首こそがドクヤアラシの討伐を完了したという証明であった。



 「あの毒針一本ぐらい取っときたかったなぁ」

 「アレ、一本一本に細かい返しが付いてるから素手で触るだけでも毒に侵されるぞ。諦めろ」


 刎ねたドクヤアラシの首を振り回しながらハルトとループスは討伐完了の報告をすべく冒険者ギルドへと向かうのであった。

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