出口はあちらです
おや、お戻りになられたようですね。
四つの物語、いかがだったでしょうか?
とても嫌な気分になった?
ええ、そうでしょう。
最初にそう申し上げましたので。
え? 大した事は無かった?
それは、それは……。
きっと、それは良い事なのでしょうね。
ご満足された方も、満足されなかった方も、いることでしょう。
皮肉を理解出来る方と、出来ない方がいるように。
いえ、決して貶しているわけではございません。
私がそう言うように、作られているだけの話でございまして。
さて、御用がお済みの方はあちらが出口となっております。
足元に気を付けながらお進み下さい。
貴方が現実で悪夢に遭遇しないよう、お祈りいたしております。
おやおや、良くここが分りましたね。この場所に気付くなんて、よほど不満を持っているのか、嫌気が差しているのか……。
何? 違う?
出口から出た筈なのに入り口に立っていた?
ほほう……はぁ、……んんん?
なるほど、どうやら貴方は元の世界に戻れなくなってしまったようですね。
その内、時間が経てば帰れるでしょう。
その間に、次の四つの物語を、貴方が書いてはいかがですか?
ええ、暇つぶしにです。
大丈夫です。誰にも初めてはあるものですよ。




