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太陽の花

 

 あるところに少女がいました。

 少女は新しい白い家に引っ越して来ました。

 庭には大きな花壇があり、そこには何も植えられていません。


「まあ! 素晴らしい花壇だわ、お花の種を買ってきて撒きましょう」


 少女は花屋さんで、太陽のような花を咲かせる植物の種をいっぱい買いました。

 花壇に撒かれた種は数日後に芽を出し、少女は一生懸命世話をしました。


 たくさんの芽の中で一つだけ、小さな芽がありました。


「小さな芽さん、がんばって大きくなってね」


 少女はその芽を気に入って、沢山の水をかけてやります。


 時が経ち芽達は立派な草になりました。

 一つを除いて。


「大丈夫よ。がんばればすぐに大きくなれるわ」


 少女はその草に日が当るように、小さな柵を立てます。


 さらに時が経ち、草たちはさらに大きくなりました。

 しかし、小さな草は小さいままです。

 周囲の草は柵を越えるほど生い茂っています。

 小さな草は陰に隠れて見えなくなってしまいました。


「まあ! 皆大きくなったわね。これならきっと綺麗な花が咲くわ」


「あなたも頑張ってね」


 少女は生い茂る草たちを掻き分け、小さな草に毎日、声をかけます。


 そして、その時が来て、草たちは一斉に花咲きました。

 どの花も太陽のように輝いています。


「すごい、すごい、すごい!」


 少女は手を叩いて喜びました。

 少女が喜んでいるその時の事です。

 小さな草は小さいままで枯れ果て、その命を終えました。

 小さな草のその下、地面の中には小さな石があったのです。

 小さな草はその石のせいで、根を伸ばすことが出来なかったのでした。


 大きな花壇は太陽のような綺麗な花でいっぱい。

 少女の顔も太陽のような笑顔でいっぱい。


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