178、折り紙
「ルーランさんからは見えなくて申し訳ありませんが、代わりにお嬢様がご覧ください」
なんか怪しげなマジシャンのようなセリフを吐きつつ、器用なメイドはサクサクと半紙を三つ折りにし、更に捻るように折っていった。
「これはミウラ折りという折り紙の折り方でございます。ちなみにこの技法はこれを発明した東京大学の名誉教授の方のお名前が由来です」
「なんで東大に折り紙の教授が!?」
「折り紙が専門ではなくて、航空宇宙工学者の方です。この技法を使えば、大きく広い紙をコンパクトに折りたたむことが出来、しかも瞬時に広げることが可能なのです」
「ど、どういうことよ!?」
「よいですかお嬢様、例えばロケットで機械を宇宙に打ち上げる場合、あまりにも大きなものを載せるのはスペース的に困難なので折りたたむ必要があります。しかし宇宙でそれを展開する場合、あまりにも複雑な動作は失敗の原因ですし、単純なやり方が理想的です。ミウラ折りですと、対角線部分を押し引きするだけで、このようにあっという間に収納したり開いたりすることが出来るわけです」
なんと彼女は説明しながら見事な孔雀を折り上げていた。その羽根部分はまさに今言ったミウラ折りから成っており、平行四辺形の折り目が連なっていた。
「へーっ、綺麗なものね」
「子供などにプレゼントすると喜ばれますよ。さて、というわけでこの技術は人工衛星の太陽光パネルに使用され、見事成功を収めました。他にも地図や路線図など、幅広く使われtれております」
「……つまり、この通路の群れは、ミウラ折りで小さくされていたOBSの一部だったってことですの、アロエさん!?」
ようやく仕組みを理解したルーランが、教師に正解を尋ねる生徒のごとく、息せき切ってアロエに問いかけた。




