177、鳥
「やれやれルーラン、あんたスーパードスケベッティだから今朝のスタート時のへそ出しアナに釘付けだったかもしれないけど、あの時いたじゃないの、鳥っぽい奴が」
「ななななななにを仰いますか!? さすがに妾は女性の裸には興味はありませんですわよ! ……って、今朝のスタート時!?」
「ほれ、このさっきの通路みたいなほうれん草っぽい色したやつよ。一昨日だって見かけたでしょ?」
「あっ!」
これだけ大盤振る舞いでヒントを出してやったためか、やっと思い当たったのだろう。ルーランの機体の動きがピタッと止まった。
「あの孔雀型の機体のことですわね! 覚えてますわよ! 確かに開会式にもいましたわ!」
そう、あの時勢ぞろいしていたOBSの中に、何十枚もの尾羽からなる翼を生やしたきらびやかな見かけのロボットが、バルコーゼの金粉ショーまがいの【アバロン】並みに人目を引いていたのだ。先ほどの通路の、翡翠の玉のごとき深い緑色は、まぎれもなくあの名の知れぬ機体と同一のものだった。
「ということは、つまり、これは……」
真相に気づいたメマリーが、衝撃のあまり声を震わせる。
「そう、どうやってか知らないけど、その孔雀明王野郎は先行して自分の羽根を通路に見せかけて罠を張り、迷い込んできた他の参加者たちを中で機体ごと押しつぶして殺していたってわけよ。道理で主催者側の仕業にしては、放送や動画配信出来ないような場所でも気にしないわけだわ。そんなことどうだっていいもの」
「……ですが、そんなこと、技術的に可能なんですの?」
「かなり難しいとは思いますが、理論的には可能だと思われますよ、ルーランさん」
突如私の横で折り紙を始めたアロエが話を引き継ぐ。てかあんたこの緊急時に何やってんの!?
「しかもそれ昨日お習字していた半紙じゃないのよ! 再利用!?」
「まあ、そんな些細なことはどうでもよいのですが、今からこれをきれいに折りたたみ、その後即座に広げてみせます」
主人である私を差し置いて、なんかショータイムが始まった。




